砂漠 (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408553825

感想・レビュー・書評

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  •  仙台の大学に入学した男女5人。著者は、眩しく且つ物哀しい濃密な学生生活を鮮やかに浮かび上がらせてくれます。キャラクターの個性の書き分けが際立ち、絶妙な設定と関係性は見事です。軽妙な筆致の伊坂幸太郎ワールドも全開で、思わず自分の過去と重ねてしまい、読者の皆さんの高い支持を受けていることも納得です。
     特に西嶋くん。なんだコイツ、と嫌なタイプに思わせておき、ハッとする名言を出しまくり、一途さに周囲に認められていく等々、いろいろな出来事を通して成長していく貴重な時間が描かれ、愛おしいくらいです。
     若い時に読むべき一冊と強く思う反面、歳を重ねて本書の価値がさらに上がるような気もします。
     ままならない社会・世の中を〝砂漠〟に例え、「砂漠に雪を降らせたい」等の無理・無駄のような発想、愚直な行動も、学生の特権と言えるかもしれません。自分が何者かと足掻きもがく時代は貴重な財産だと改めて思います。
     今更ながら、取り戻せない時間を怠惰に過ごしてないか、何も行動に移してない自分は恥ずかしくないのか、と改心しました。
     「なんてことは、まるでない。」

  • 砂漠 伊坂幸太郎さん

    1.伊坂さんファンなら!
    チルドレン、サブマリンのほのぼの系、あったかい系が好きな人は、砂漠、おすすめです。

    2.砂漠の舞台
    仙台の大学が舞台です。
    大学生5人が新入生歓迎会出会ってから、卒業するまでの物語です。

    タイトルの砂漠。なぜ?砂漠?
    は、ぜひ、読んでみてください!
    納得です。

    3.コアメッセージ
    「人間にとって最高の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。」

    そう、星の王子さまの著書の言葉。
    ここが、砂漠の物語の世界のコアとなっています。

    4.学生が遥か昔の私の読了感
    あー、学生時代はよかったなあ。
    なんて気持ちになりがちかもしれません。

    著書にありました。
    「いざ!というときにやるさ。なんて人間は、
     いざ!というときにやらない。
     
     やる人間はいつだって真剣勝負。
     いつだってやる。

     いいわけはしない。」

    そう、逆に、奮い立たせてくれる物語。
    それが「砂漠」伊坂幸太郎さん です。

  • 伊坂先生らしい作品でした!
    個性的な5人の大学生たちの青春物語。
    ちょうどいい距離感で、いざとなったら全力で手を差し伸べる。
    終盤の莞爾と学長の言葉に鳥肌が立ちました。
    砂漠へ出ても変わらない友情であってほしいな。

    『なんてことは、まるでない』のフレーズが好き(笑)

    • みーわさん
      それは凄いすごい!
      私はまだ10冊くらいです(´・ω・`;)積読はたくさんあるけれど(笑)
      殺し屋シリーズ来月出ますね♪
      それは凄いすごい!
      私はまだ10冊くらいです(´・ω・`;)積読はたくさんあるけれど(笑)
      殺し屋シリーズ来月出ますね♪
      2023/08/30
    • 1Q84O1さん
      積読はたくさんw
      さぁ!一冊ずつやっつけていきましょー(^o^)丿
      積読はたくさんw
      さぁ!一冊ずつやっつけていきましょー(^o^)丿
      2023/08/31
    • みーわさん
      はーい♪がんばります(›´ω`‹ )
      はーい♪がんばります(›´ω`‹ )
      2023/08/31
  • これぞ王道のエンタメ小説。構成をわかって状態で読んでも、最高に面白かった。

  • 面白かったです。キャラが特徴的なので単にセリフや行動が笑えるという面白さもあれば、淡々と大学生5人の学生生活が過ぎていく様を眺めてるという面白さもあり、また彼らの成長していく過程の面白さもある。大きな事件が特に起きるわけではないと言うと、ちょっと違うかもしれませんが、いつもの伊坂さん作品の感じからするとそこまでではなく、ほっこり、ひと休み読書用といった印象です。複雑で難しく頭が混乱するようなミステリーとか読み終わった後とかに、息抜き本として丁度いいかなと思いました。
    麻雀、全くわからないので、知ってたらもっと楽しめたのかなと…なので⭐︎3止まりに。

  • 西嶋くん、訳がわからない(笑)
    訳が分からなさ過ぎて、あんまり好きなキャラではありませんがとても印象に残りました。
    西嶋くんとプレジデントマンの崇高?な思想ではありますが、プレジデントマンは結局お金を奪うという...

    大学生の青春的なお話。
    入学から卒業まで色々なことが起きます。魅力的な登場人物達で、とても楽しく読めました。
    鳥井くん、最後カッコよかった(╹◡╹)

  • 大学生中に読めて良かった作品の一つ。
    僕もいつか"砂漠"に出たら、今を懐かしむ気持ちにきっとなると思う。
    そんな青春を送ってみたいと思った。
    まだ猶予は残されている。

    人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。

  • 西嶋くんがめっちゃいいキャラ。ホームページを見てもうすぐ殺処分されてしまう犬を、ホームページを見てしまったからと言う理由で助ける。もう2度と保護犬のホームページは見ないと言いながら。ブティックにあるマネキンの着る服をトータル購入するときもこれって恥ずかしいですかねと店員さんに聞いてしまう。東堂さんは見る目がいい!麻雀のシーンが多くて途中挫折しそうになったりもしたけど、いい青春を一緒に体感した気分になりました。

  • すいすい読めた
    主人公はちょっと冷めたような大学生であるが、その友人は女の子と沢山知り合って周りの女子から警戒されるような男子大学生、感情をほとんど出さない美人女子大学生、超能力でスプーンを曲げたり物を動かせるほんわかした女子大学生、周りに対して臆すことなく堂々と自分の意見を言う男子大学生 こんなにも個性的なメンバーを友人に持つのはとてもすごいことだと思う。
    苗字の頭文字で東西南北が揃ってて、それで麻雀っていうのもイイ。
    ホストと賭けボーリングしたり、空き巣の見張りをしたりと凄いイベントが発生している、させているのにあまり大きな波がないようなたんたんと時が進んで行く感じがした。
    私自身は大学生活を送っていないので共感したりは出来ないが、なんだかキラキラしてて羨ましい感じはする

  • 名作。
    登場人物がみんないい味出してる。お互いを尊敬してて、認めあってるところがいい。
    心に響く言葉も沢山あれば、ユーモアにも溢れている。伏線回収もよかった。
    大学1年の話かと思ってたらいつの間にか4年経っていたのに驚く。

  • 積読になっていたこの小説。久しぶりの伊坂さんの作品。
    あぁ、伊坂さんの作風ってこんな感じだったなと改めて思い起こしました。突拍子もないストーリー性も織り交ぜながら、テンポのいい会話と展開に引き込まれます。
    こんな大学生活をおくれたら最高だな。
    「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである」
    いい言葉だ

  • 伊坂幸太郎が2005年に発表した小説と聞いて驚いた。

    冗長だし、ダラダラしているし、切迫感が無い。
    でもそれこそまさしく、北村達が過ごした大学生活の本当なのだと思う。

    危なっかしくて、愛おしい。。
    そう思うのは私がもう、彼等と同じような価値観を持てないと思うから。

  • 登場人物たちのような学生生活を羨ましく思うこともあるし、学生時代に戻りたいと思うこともあるけれど、社会人なりに彼らのように楽しく一生懸命生きていたいな。

    何度も繰り返されるセリフがここでこう使われるのか〜っていうのは伊坂さん作品ならではの楽しみだなって思う。

  • 「陽気なギャングが地球を回す」と同じ風味。その大学生版という感じ。
    とても読みやすい。
    青春、ですね。

    ただの勝手な願望なんだけど、主人公と仲間たちには、なにか違う進路があって欲しかったな。
    つまり、この大学生活を終えて、入学当時からはおよそ考えられないような意外な進路に行く。と、いうような。
    いろいろあって、辛いこともあって、一生の付き合いになるような友達もできて、恋人もできて、総じて楽しく意義のあった大学生活でした。チャンチャン。
    ではなく、なにか一人一人の中に大きな大きな変化があって欲しかった。
    と、思うのです。

  • 大学生の5人が麻雀に合コンに励み、時には犯罪者だって追いかける!青春エンタメ小説!
    読んだら自分の大学時代を思い出して懐かしくなりました。
    若干ではあるけど、麻雀の解説もあって、大学時代に試験前日なのに徹夜麻雀してた頃を思い出しました。(もちろん寝ずにテストを受けて、なんとか単位貰ったけど笑)

  • なかなかクセの強い大学生5人組(笑)
    めんどくさいことは省いて、でも言いたいことを北村目線で話しているはずなのに、
    なんてことはまるでないんかい!って(笑)

    でもそのなんてことはまるでないことばかりの学生生活ってやっぱりいい時代
    学生生活はオアシスで、社会は砂漠か〜
    “学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。”

    もっと事件が起きてほしかった、とかそういう意味ではなく、ちょっと物足りなかったかな( ˙-˙ )

  • 大学生5人から成る群像劇。
    大学入学のわくわく感や日常の時間を持て余してる感じがリアルで自身の大学生活が懐かしくなる。
    久々に学生時代の友達と会いたくなる素敵な作品。
    西嶋のようなユーモア溢れる芯のある人間に憧れるけどなりたいとは思わないかも。

  • なんてことは、まるでない。

    いつも理想や夢を描いて気持ちよくなって、結局何も起こらない。青春とはそんなものではないだろうか。だから全部諦めて適当な毎日を過ご
    す、、それはそれで少し悲しいのでは無いかとこの小説を読めば感じるはずだ。

    何かできるわけじゃないけど、何かせずにはいられない、、、心の機微を個性豊かな登場人物が伝えてくれる。全く以て論理的ではないけれど、きっと大切だと感じさせてくれる。

    青春という瑞々しい言葉とは、ある意味対象的な砂漠という言葉がタイトルになっている。砂漠は、乾燥している、退屈、厳しいなどのイメージを持つ。日常も出来事だけを切り取れば砂漠と似たようなものだと捉えることができるのではないだろうか。本小説は、大学生の日常を描く。期待されるような大きな出来事はほとんど起きないし、超能力なんてものもほとんど登場しない。読み手次第ではただの日常で退屈かもしれない。

    しかし、退屈な日常もきっと感性で豊かなものになる。きっと自分次第で砂漠にだって、雪を降らすことができるはずだ。

  • 免許合宿が暇すぎて数日で読み終わった。
    自分が大学1年生という事もあり色々と重ね合わせて読み進めていき、今自分はある程度満足しているが、この先この主人公たちのグループのような仲間に出会えるのか?と不安にもなった、なんてことはまるでない、はずだ。

    この作品からは、この先の長いようで短い大学生活自分なりに指針を決めてダラダラしつつ着実に成長していこう、と思わせてくれた。

    「真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係という贅沢だ。」この言葉は刺さるものがあった。
    作品構成も楽しめてとても楽しい作品だった。また読み返そう。


  • 個性的な大学生5人の入学から卒業までの物語

    春夏秋冬で色々の出来事があり、
    また事件にも巻き込まれ、
    それでも乗り越えて進む若者達の逞しい物語

    主人公の北村は鳥瞰的な視野の冷めた男
    鳥のような頭の鳥井は陽気で笑い方が個性的
    西嶋は言動行動が超が幾つものつくほど個性的
    南は芯が強い超能力少女
    東堂はクールな超絶美人

    個性に満ちた登場人物達が、
    絶対にできないような、あり得ない事に立ち向かう
    弱くて強い若者の4年間の軌跡


    本気でどうにかしようと思えば、
    砂漠に雪を降らすことだってできるかもしれない。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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