- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409001028
作品紹介・あらすじ
"いま"を考えるための新たな知の指針。倫理学の基本がわかる基本30冊。
感想・レビュー・書評
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「基本の30冊」シリーズは、その分野の古典から最前線まで見渡せて、とても便利で、かつ面白い。
「基本」といいながらも、「最前線」までカバーするので、結構、評価の定まっていない論争的な本も入っていて、なんでこの本が入って、あれが入らないの、などなど、思うものの、その偏り具合も含めて、面白い。
で、この「倫理学」の偏りは、結構、思い切ってて、清々しい。
なんと、プラトンもアリストテレスもでてこないのだ!
スタートは、ローマ時代のセネカやキケロ。
モンテニューやカント、ベンサム、ニーチェなど、古典的な本も紹介しつつ、フーコー、ドゥルーズ、イリガライ、バトラーなど、ポストモダーンなところも一通りおさえる。(でも、ここでもスピノザやヒュームが入ってないじゃんとか、突っ込みどころは満載である)
が、面白いは、全体の構成が、最初の方は、「倫理学」で主たる関心となるようなテーマ、例えば、生と死、徳と力、快楽と欲望、資本主義の精神、市民の道徳などを一通り外観した後、「倫理の臨界」「倫理の超越」と展開するところ。
つまり、ある倫理的な立場を徹底すると、なんかちょっと自己矛盾してしまうようになってしまうというのが、「倫理の臨界」で議論される。ここが、ちょっと脱構築ぽくて、面白い。
そして、倫理を超えちゃう、過激な本が紹介されるというわけです。で、そこで紹介されているのは、ルター、ライプニッツ、キルケゴール、ジジェクなど。
著者の思い切りがとても清々しい本でした。
このシリーズ、編著で色々な人が書いているのより、単著の方が、ラジカルで面白いな。詳細をみるコメント0件をすべて表示