星野智幸コレクションI スクエア

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  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409150252

作品紹介・あらすじ

ディストピアではない。これが現実だ。星野智幸の代表作を4テーマに分類。単行本未収録の作品等とあわせた初の自選作品集〈第Ⅰ巻〉

私はなぜ権力になびくのか。人々が政治に求める欺瞞と暴力をえぐる「在日ヲロシヤ人の悲劇」、大幅改稿「ファンタジスタ」、短篇三篇の他、単行本未収録「先輩伝説」を収録。

「何度でも読み返されるべき小説。この社会の酷薄さ(リアル)を知るために。星野さんはずっとひとりで、最悪を想像し、現実の醜さを暴き、警鐘を鳴らし続けてる。」―中島京子氏(作家)

感想・レビュー・書評

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  • 文学

  • 難しかった・・・

  • 2017年3月5日、読了。

  • 星野智幸の作品は文藝賞『最後の吐息』三島賞『目覚めよと人魚は歌う』、大江賞『俺俺』と読んできて、若干テイストの違う『俺俺』はさておき難解な作品を書く人だという印象が強く、読んでもほとんど何が言いたいのか理解できなかった印象が強かったのですが、今回コレクションの刊行ということで手を出してみることにしてみました(まあ、読んだのが若いときだったのでまだ読書慣れしてなかったというのもあると思うけど)。
    今回のコレクション1には長編「在日ヲロシヤ人の悲劇」、中編「ファンタジスタ」と短編群が収録されているのだけれども、作者があとがきで触れているように、政治色のかなり強い作品になっている。作者のいうように日本では(正直、自分はこれは東日本大震災以降も実際のところほぼ変わっていないと作者と違って思うんだけど)政治的な話題を日常で出すのはほとんどタブーみたいになっていて、特に文学の分野では、かつては政治的テーマを取り扱ったものもあったけれど、現在はそこに真正面から切り込んだ作品は少なく、忌避される傾向にあるので、自分はそれを不満に思っていたのだけれど、いやあ、自分が知らなかっただけで星野智幸がここまでチャレンジングな作品を書いていたとは。他の文学作品ではほとんど取り扱われないテーマをがつんと取り上げていて、普段使わない脳回路を使う読書になった。
    また、その政治的テーマだけでなく、著者の奇想というか、実に奇妙なリアリティの出し方が面白く、他のコレクションを読むのが楽しみになった。

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著者プロフィール

1965年、 アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、 早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年 「最後の吐息」 で文藝賞を受賞しデビュー。2000年 「目覚めよと人魚は歌う」 で三島由紀夫賞、 03年 『ファンタジスタ』 で野間文芸新人賞、11年 『俺俺』 で大江健三郎賞、15年 『夜は終わらない』 で読売文学賞を受賞。『呪文』 『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

「2018年 『ナラ・レポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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