少年少女のための文学全集があったころ

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著者 : 松村由利子
  • 人文書院 (2016年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409160985

少年少女のための文学全集があったころの感想・レビュー・書評

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  • 朝倉めぐみさんのカバーイラストと導入の面白さにそそられて手に取ってみた。始まりこそ「メロンと菓子パン」といった、おいしそうな甘目テイストな児童文学エッセイで、ずっとこんな感じなのかと思ったら…いい意味で「思ってたんと違う」な内容で、目からウロコでした。
    著者の松村由利子さん、名前だけは聞いたことがあったけど著作を読むのは今回が初めて。英文科卒、元新聞記者で歌人でもあるという彼女の経歴が生きた内容で、気になるところをとことん掘り下げていく姿勢が、エッセイなのにちょっとノンフィクションっぽいところもありで、読んでいてワクワクした。作品の考察と、彼女の思い出話のミックス加減が絶妙。甘すぎずユーモラスで、ノスタルジックすぎないのがまたいい。
    若草物語、赤毛のアン、あしながおじさん、クマのプーさん、ちびくろさんぼ…といった有名どころから、名前しか知らなかった戦前の児童文学など取り上げてる作品は多岐に渡り、名作については「そんな見方があったのか」(特に翻訳について)と新鮮な気持ちになる。名作の抄訳のよさ、時代や価値観の変遷と共に変わる表現など…なるほどの連続!児童書の古本屋さんに行きたくなりました。

  • すごい人に出会ってしまった。
    こんなにも少年少女文学が好きな人に
    これまで会ったことがない。

    一冊一冊の本に対して、またその本たちを受け繋いでいくことに対しての愛があふれる本。
    何冊か読みたい本メモしたので、翻訳者も意識して読んでみたいと思う。

  • 子ども時代の読書についてこんなにも鮮明に記憶しているものだろうか・・・同じように本を読んできたような気になっていたが、それは全く似て非なるものだった。(と、感じることが多い今日この頃なんだけど)

    作者はみんな記憶している場所が違うと書いているけれども、私の浅い記憶にはこんなにいろいろなことが残っていない。読んだはずなんだけどなぁ~なにを読んできたのか?それだけでもう頭の質を感じるのであった・・・orzあぎのがらが

    Ⅰ食いしん坊の昼下がり
    メロンと菓子パン
     にんじんルナール
     くまのパディンドン ボンド
     小公女 バーネット
     ロールパンチームの作戦 カニグスバーグ
     ひとまねこざるレイ
     アンの娘リラ

    プリンをゴクリ
     ちいさなうさこちゃん
     ホビットの冒険
     ライオンと魔女
     朝ひらき丸東の海へ
     三びきのやぎのがらがらどん
     おだんごぱん

    チョコレートの誘惑
     ムギと王さま
     ドリトル先生t月へゆく
     チョコレート工場の秘密
     とぶ船

    お茶をどうぞ
     クマのプー
     不思議の国のアリス
     長くつしたのピッピ
     長い冬ワイルダー


    Ⅱ記憶のかけら

    プーと私と薄謝
     クマのプー
     ウィニー・ザ・プー
     あらしのあと
     風にのってきたメアリー・ポピンズ
     
    物語のうしろ
     木かげの家の小人たち
     黒馬物語
     トムじいやの小屋
     ガリヴァー旅行記

    その名にちなんで
     ナルニア国
     ツバメ号
     スウ姉さん
     あしながおじさん
     赤毛のアン

    忘れられない十一月五日
     パディントンのクリスマス
     とびらをあけるメアリー・ポピンズ
     

    Ⅲ読むという快楽
    私の隠れた読み人生
     悲劇の王妃
     大きな森の小さな家
     君たちはどう生きるか
     心に太陽を持て
     天正の少年使節 松田翠鳳
     クワトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国若桑みどり
     天正遣欧使節 松田毅一
     活版印刷人ドラードの生涯 青山惇夫
     みんな彗星を見ていた 星野博美

    本の中の本
     赤毛のアン
     天路歴程
     四人の姉妹
     若草物語
     ピクウィック・クラブ ディケンズ
     
    マクベス、万歳!
     マクベス
     魔女ジェニファとわたし
     新訳マクベス 河合祥一郎
     I LIKE THIS POEm

    少年倶楽部と私
     蛸の八ちゃん 田河水泡
     少年倶楽部名作選 面白づくし、知恵くらべ珠玉全集
     人間失格
     ああ、玉杯に花うけて

    新しい女の東上
     愛、理性及び勇気
     ドリトル先生の楽しい家
     あしながおじさん
     ドリトル先生の世界
     

    Ⅳ編愛翻訳考
    ドリトル先生のとの再会
     井伏鱒二 ドリトル先生航海記
     福岡伸一 〃 
     河合祥一郎〃
     校正の散歩道 古沢典子

    正しい発音とは
     風にのってきたメアリー・ポピンズ
     赤毛のアン
     フラニーとズーイ
     若草物語
     タンタンの冒険
     フランダースの犬ムーミン

    きものとドレス
     百まいのきもの
     百まいのドレス
     四人の姉妹
     若草物語

    ああ、完訳
     ジャン・ヴァルジャン物語豊島与志雄
     レ・ミゼラブル鹿島茂
     とぶ船
     星の王子さま

    アンの悲しみ
     赤毛のアン 村岡花子、中村佐喜子
     東大の教室で赤毛のアンを読む
     若き母を語る
     案の思い出の日々
     アンのゆりかご



    Ⅴ読めば読むほど
    読書感想文の憂鬱
     黄金のファラオ
     子どもの図書館
     いたずらきかんしゃちゅうちゅう
     ちいさいおうち

    持っていなかった本
     あしながおじさん
     二年間の休暇
     海の見える窓 杉森久英
     とぶ船

    時代を越えて
     ノルウェイの森
     ちびくろ・さんぼ 光吉夏弥、川崎大治
     さよならサンボちびくろサンボの物語とヘレン・バナマン
     大草原の小さな町
     ビノッキオのぼうけん
     ロビンソン漂流記
     ロシアのわらべうた さらえ
     ガラスのだんなのおよめとり

    美しい本の数々
     星のひとみ
     こまどりのクリスマス
     てまりのうた
     ゆきむすめ
     少年少女世界名作全集 講談社
     書店不屈宣言

    古典に親しむ
      少年少女世界の名作文学 小学館
      岩波少年少女文学全集
      少年少女世界文学全集 学研
      世界少年少女文学全集 創元社
      新編 戦後翻訳風雲録 宮田昇
      ヴィーチャと学校友だち ノーソフ
      スーホの白い馬
      クオレ


    P10 bun パン
    うどんースパ しょくどうーれすとらん
    Creampuff 軽焼饅頭 シュークリーム

    P13Nijntje Pluis ナンチェ=うさちゃん
     プラウス=ふわふわ

    ターキッシュデライト=プリン

    P17the voyage of the dawn treader
    朝びらき(暁に歩むもの)

    P20自動販売機=honour box正直箱

    P25薄紅茶=ケインブリック・ティー
    子どもの紅茶として存在し、決別は大人のしるし

    P32薄謝 くしゃみ

    P34あらしのあとの「しゃcchこだちをしかねまじきようす」
    ベッドのよくない側から起きてしまった
    right とwrong


    P36木かげの~の「クロポトキン」
    ピョートル・クロポトキン(無政府共産主義者)

    P42しずかちゃんsue
    すーざんしっかり者の長女タイプ ナルニア ツバメ号 スウ姉さん

    名前の意味!

    名前検索サイト
    http://www.babynamewizard.com/


    11/5guyfawkesnight
    パディントンのクリスマス
    倫敦塔 夏目漱石
    とびらをあけるメアリー・ポピンズ


    ガイ・フォークス guy fawkes
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9

    P62ウィルヘルム・ケンプ ピアニスト
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%97

    P64少国民文庫
    『人間はどれだけの事をしてきたか』

    P73ピクウィック・クラブ byディケンズ

    P74ジョーが読んでいた本は「レッドクリフの世継ぎ」というロマンス小説

    P76マクベスー魔女ジェニファ(原タイトル)ー若草物語のお芝居ごっこ

    P85身体髪膚(しんたいはっぷ)
    身体髪膚これを父母に受くあえて毀傷せざるは孝の始めなり
    https://kotobank.jp/word/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%AB%AA%E8%86%9A%E3%81%93%E3%82%8C%E3%82%92%E7%88%B6%E6%AF%8D%E3%81%AB%E5%8F%97%E3%81%8F%E3%81%82%E3%81%88%E3%81%A6%E6%AF%80%E5%82%B7%E3%81%9B%E3%81%96%E3%82%8B%E3%81%AF%E5%AD%9D%E3%81%AE%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%81%AA%E3%82%8A-538268

    P95 1912年の「新しい女」 womanly women
    エメリン・パンカースト 婦人参政権運動の闘士
    https://en.wikipedia.org/wiki/Emmeline_Pankhurst
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88
    影響を受けた本
    与謝野晶子、メアリーポピンズのバンクス夫人、ドリトル先生の楽しい家、あしながおじさん

    P101翻訳の妙オシツオサレツ~ドリトル

    完訳でなければならないことはない。
    抄訳でもすばらしいものがある
    怜)ジャンヴァルジャン物語、とぶ船

    P127フォースターのいうところのラウンド的な人物(変わっていく)、フラット的な人物(変わらない)

    P142感想をかきまわしてはいけない

    P154ミンソtレルショー 大草原の小さな家のお父さん

    国別の全集の意味





    P118国家で一ばん大きな仕事をする人間、それはほぼと教師の二つです レミゼ

  • どこかで紹介されていた「子どもの本というものは、子どもの語彙だけで書いてはつまらなくなる。少々難しい言葉や古めかしい言い回しがあっても、子どもはたくましく呑みこみ、いつの日かその意味を知る。それでよいのである。」という一節に惹かれて読んだ。

  • 2016/12/24 図書館
    オシツオサレツの話は『魔女集会通り26番地』を読んで何年もたってから『魔女と暮らせば』を読んだときのショックを思い出させられました
    グウェンダリンがグウェンドリンに、バヨリンがフィドルに…

    挙げられている作品は読んだことのないものも多いので、そのうち読んでみたいな

  • 2016.10.15市立図書館
    個人的な読書体験を綴った作品で、登場するのは主に翻訳少年少女文学。登場する本に知っているタイトルが多い人なら、なつかしく思い出したり共感したり(ときには「そんなこと書いてあったっけ!?」と意外な読み方や記憶におどろかされたり)しながら読めるし、あまり読んだことのないタイトルばかりという人でも、こんな楽しそうな世界が…と発見が多そう(私の場合は前者)。いずれにしても読後は芋づる式に児童文学を読み返したくなるのがやや危険な一冊。

    瀬田貞二さんといえば「がらがらどん」などの名訳で名高いけど、ああ、「朝びらき丸」ってほんとうに素敵な翻訳だったなぁ!と改めて。

    Ⅰ 食いしん坊の昼下がり
    キャンブリック茶、甘茶、ケンブリック茶、ケインブリックティー(薄紅茶)…訳語と状況から想像する味は? こういうのは同じ本の別の翻訳やシリーズ物、あるいは同じ訳者の仕事をあるていどの量よみこんでいないとなかなか気づかないから、そんな楽しみをみつけた筆者がちょっと羨ましくなる。
    Ⅱ 記憶のかけら
    「面倒見がよくて気配りできるために早くおとなになってしまう」「しっかり者の長女タイプ」のスーザンが、ナルニアシリーズでは早々と冒険から抜けてしまうというエピソードに、早々と大人向けの文庫本を読みはじめ、岩波少年文庫や福音館文庫の世界にそれほど浸りきる暇もなく大人の文学の世界にいってしまったわが長女のことを思い出さずにはいられなかった。
    Ⅲ 読むという快楽
    天正少年使節の話がなつかしかった。そして、同じ思考経路で入手していまだ積読になっている若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ』を今度こそ読み始めようと決意を新たに、さらにその後に芋づる式に読むべき本も(巻末にリストがあって大助かり)。アンやジョーの文学少女ぶりも大人になって改めて読み直すとおもしろいかもしれない。
    Ⅳ 偏愛翻訳考
    新訳や訳語、訳文の時代性、完訳と抄訳、校正などの話は大好物。どれもうなずいてしまう。
    Ⅴ 読めば読むほど
    本の所有、絶版本、造本、そして世界文学全集との出会い。
    私自身、母親の実家から一冊ずつ持ち帰っては読みふけった講談社の少年少女世界文学全集(+伝記全集&平凡社絵本百科)がいまの教養のベースとなっているので、全集を片っ端から読むような読書体験はバカにできないと肌で思う。いまは散逸してしまったあの文学全集をもういちど手元において読み返せればと切望するし、今のこどものためにも宝の地図のような文学全集が企画されてほしいと熱望する。

  • 歌人である著者が子どものころ読んだ本と、その思い出や印象的なシーンを語る。
    なんと素晴らしい読書体験をしてきたのだろうか。そして、とても細かく色々な事を記憶している事に感心。
    懐かしい本がたくさん登場します。

  • 1609Y

  • 再読候補。

    ◆きっかけ
    図書館 新刊棚
    ◆感想
    すごく良かった。松村さんの少女時代の読書遍歴が、生き生きと書かれている。なんて楽しそうに読書をするのだろう!児童文学への、本への愛がひしひしと伝わってくる文章だった。

    家族や親戚、友人にも本好きが多く、本の話を共有できるのが素敵だ。

    小学生の頃にすでに沢山の物語を読み、時代背景や舞台背景が次々にリンクしていっている。そうして更に更に、楽しい本の旅へと向かっていった少女の姿が目に浮かぶ。

    翻訳の違いや時代背景についても話が及び、面白い。どの本も読んでみたくなった。

    抄訳や言葉遣いの改変についても触れられていたが、私も筆者と同じく、賛成派である。今の子供達が読みやすく、登場人物や場面によりそえるもの。敷居は低く、より多くの子供達が名作に触れる機会があればいい。そこから読書の旅に出た子供達が、同じ物語を完訳含めさまざまな訳や表現で再度味わえたなら素敵だ。

    読書感想文について、「心に抱いているものを言葉にした途端に、そのときの思いは変質する。それが言葉というものの本質である。」と書かれており、日頃、言葉にすると意味が限定されてしまって、感じたことが伝えられない…と感じていたので、だよね!!と同調。「本当に大きな感動を覚えたとき、それは恐らく一生、その子の心に残る。言葉にしないまま、そっと胸の奥にしまっておくことで、その感動は子どもの成長と共に熟成し、心を豊かにする。(p143)」とも。娘が言葉を発するようになったら、読み聞かせの後、つい感想を聞きたくなってしまう気がする。が、ぐっと我慢することも大事だなとハッとした。

    ちびくろサンボについて、1988年12月、小学館、学習研究社、講談社、そして岩波書店が相次いで絶版を決め、この絵本をあまり目にすることがなくなった。(p151)とあったが、物語の最後、虎がバターになってしまうシーンはその挿絵をよく覚えている。なんて美味しそうなんだと思った記憶がある。あの絵本は、図書館で借りたのだろうか。

    「どんな作品も時代と切り離せない。現代の感覚や価値観を、古い時代の作者や登場人物に当てはめることはほとんど意味がないだろう。私たちはむしろ、優れた文学作品でさえ時代性から逃れられない面があることを直視し、そこから学ばなければならないのだ。(p156)」→物語のなかの行動や言葉に違和感や嫌悪感を感じることは確かにある。その時代背景や政治的背景を知って学んでいきたい。

    「小学生くらいの子どもたちの読みものの挿絵は、絵本ほどには質がよくないように思える。(中略)幼い子の感性を見くびってはいけない。(中略)本物の美は深く心に浸透し、いつまでもそこにとどまる。だから、幼年向けの読みものの挿絵は、もっと多様性があってほしい。マンガしか知らないより、いろいろな画法や色彩、質感の絵に触れる機会がたくさんあった方がよい。(p165)」

    紹介されている本を読むときに再読したい。また、娘が小学生になったときに彼女に勧める候補をさがすため、再読したい。

    2016/9/27

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少年少女のための文学全集があったころの作品紹介

児童文学への愛にあふれる珠玉のエッセイ

金原瑞人氏推薦!

「ぼくは、ここで取り上げられている子どもの本は、ほとんど読んでいない。それを、こんなふうに楽しそうに語られると、もう、悲しくて、くやしくて……このエッセイ集をまた、最初から読み直してしまった。ぼくの子ども時代は灰色にくすんでいるのに、松村さんの子ども時代はとても鮮やかだ。ずるいなと思う。そして、その鮮やかな読書体験を、こんなに楽しく語る言葉を持ってるなんて、さらに、ずるいと思う。」

少年少女のための文学全集があったころはこんな本です

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