引揚げ文学論序説: 新たなポストコロニアルへ

著者 :
  • 人文書院
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409160992

作品紹介・あらすじ

1945年8月、帝国日本の解体とともに満洲、朝鮮、中国から数百万の人々が帰国する。その中には後に作家となり、苛酷な引揚げ体験を苦しみながら表現したものたちがいた。本書では試みにそれらを「引揚げ文学」と名付ける。戦後史が欠落させた外地の記憶と植民者の複雑な経験は、戦後史そのものの再検討を要求するだろう。『和解のために』『帝国の慰安婦』の著者による、画期的戦後文学論。

【占領地・植民地で幼少期を過ごした作家たち】

埴谷雄高、湯浅克衛、森敦、五味川純平、古山高麗雄、清岡卓行、村松武司、安部公房、小林勝、森崎和江、日野啓三、澤地久枝、梶山季之、林青梧、富島健夫、後藤明生、五木寛之、生島治郎、池田満寿夫、宇能鴻一郎、三木卓、大藪春彦、天沢退二郎、別役実、なかにし礼、尾崎秀樹、山崎正和、本田靖春、橋田壽賀子など

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【書誌情報】
    著者:朴 裕河
    定価:2,400円+税
    出版年月日:2016/11/30
    ISBN:9784409160992
    版型:4-6
    頁数:210

    ◆戦後史を揺さぶる画期的論考
    1945年8月、帝国日本の解体とともに満洲、朝鮮、中国から数百万の人々が帰国する。その中には後に作家となり、苛酷な引揚げ体験を苦しみながら表現したものたちがいた。本書では試みにそれらを「引揚げ文学」と名付ける。戦後史が欠落させた外地の記憶と植民者の複雑な経験は、戦後史そのものの再検討を要求するだろう。『和解のために』『帝国の慰安婦』の著者による、画期的戦後文学論。

    【占領地・植民地で幼少期を過ごした作家たち】
    埴谷雄高、湯浅克衛、森敦、五味川純平、古山高麗雄、清岡卓行、村松武司、安部公房、小林勝、森崎和江、日野啓三、澤地久枝、梶山季之、林青梧、富島健夫、後藤明生、五木寛之、生島治郎、池田満寿夫、宇能鴻一郎、三木卓、大藪春彦、天沢退二郎、別役実、なかにし礼、尾崎秀樹、山崎正和、本田靖春、橋田壽賀子など
    http://www.jimbunshoin.co.jp/smp/book/b241571.html


    【目次】
    「引揚げ文学」を考える――序にかえて
      1 引揚げの忘却
      2 「引揚げ文学」とは何か
      3 「日本近代文学」の組み替えは可能か

    第Ⅰ部 総論

    おきざりにされた植民地・帝国後体験――「引揚げ文学」論序説
      1 忘れられた「引揚げ文学」
      2 少年・少女たちの引揚げ文学
      3 定住者の権力と転倒された差別
      4 記憶の抑圧と封印
      5 子どもの可能性――植民地・ジェンダー・階級
      6 当事者=非定住者感覚から

    第Ⅱ部 各論

    定住者と、落ちていく者と――『明暗』における小林登場の意味
      1 明・暗の時代
      2 津田と小林――不安を抱きしめて
      3 小林と朝鮮
      4 定住の条件
      5 恐怖・排除・不安

    引揚げ・貧困・ジェンダー――湯浅克衛『移民』に即して
      1 棄民・移民・開拓民
      2 錯綜する加害と被害
      3 貧困とジェンダー――引揚げ者の戦後
      4 当事者に寄り添う

    「交通」の可能性について――小林勝と朝鮮
      1 痛みと恥――「交通」の回路
      2 支配と恐怖――「交通」の隘路
      3 暴力と「交通」

    内破する植民地主義――後藤明生『夢かたり』論1
      1 「夢」としての植民地
      2 人種化の空間
      3 境界を越えるもの
      4 混交する植民地・混交する言葉
      5 植民者のトラウマ――内破する帝国主義

    植民地的身体の戦後の日々――後藤明生『夢かたり』論2
      1 「夢かたり」「鼻」――「半人前」の植民地風景
      2 「虹」――植民地的身体の二つの精神風景
      3 「南山」――命と死の空間
      4 「煙」――不安とやすらぎと
      5 感覚を描くことの意味

    戦後思想と植民地支配――まとめにかえて
      1 戦争の記憶、支配の忘却
      2 棄民から「記憶」の棄民へ
      3 忘却への警告
      4 当事者の忘却と定住者中心主義

    あとがき
    初出一覧
    人名索引

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1957年ソウル生まれ。韓国・世宗大学国際学部教授。慶應義塾大学文学部卒業、早稲田大学大学院で博士号取得。専門は日本近代文学。ナショナリズムを超えての対話の場「日韓連帯21」に続き「東アジアの和解と平和の声」を立ち上げ、市民対話の場づくりに取り組んでいる。著書に『反日ナショナリズムを超えて―韓国人の反日感情を読み解く』『和解のために』『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』『引揚げ文学論序説 新たなポストコロニアルへ』など。夏目漱石、大江健三郎、柄谷行人などの韓国語翻訳も出版している。

「2017年 『日韓メモリー・ウォーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朴裕河の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×