戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭

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著者 : 遠藤正敬
  • 人文書院 (2017年5月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409241172

戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭の感想・レビュー・書評

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  • 第39回サントリー学芸賞〔社会・風俗部門〕受賞

  • 戸籍制度の成り立ちから現在の戸籍制度の問題点について書かれている。戸籍は、国家が国民を管理する制度であることが良くわかる。戸籍には、日本人しか記載されない理由とその問題点を提起している。戸籍に記載されていようがいまいが、人間として人権が尊重される世の中であることが民主主義国家の基本であることを主張している。一般の日本人は、普段、戸籍を意識しないが、その意識をしないことで、何気なく差別していることを問題にしている。著者は、戸籍制度の矛盾を提起し、批判的な論調で書いている。専門的な知識がないと少し難しい内容だが、非常に有益な本である。

  • 「戸籍は何のためにあるのか?」と問われ、即答できる人は恐らく少数派だろう。かつて戸籍制度が担っていた役割は住民基本台帳などの他の制度に取って代わられており、戸籍が単独で我々の日常生活に影響を及ぼす局面は限定的。にも関わらず、我々は漠然と戸籍が日本人としてのアイデンティティに不可欠なものであると認識している。これはなぜなのだろう?本書はこの戸籍の不思議さについて、その来歴と運用の実態を大量の文献に当たり詳らかにしながら、現代の戸籍制度が内包する共同幻想=「道徳律」をあぶり出した労作。

    現行制度に先立つこと千年以上の昔から、戸籍は警察的な要請による身元調査のためのツールとして整備されてきた。これが明治維新を経て、富国強兵のための徴税・徴兵名簿としての機能を強めていく。著者は、明治政府が無籍者の自発的な就籍を促す過程で、家の規格化による国民統合、即ち天皇を頂点とする「家」制度への登録こそ道徳的美徳であるという意識が国民の間に植え付けられたとする。この家族国家思想としての「道徳律」こそ、戸籍制度が実体面での有効性を失いつつも今日まで命脈を保っていることの理由だというのだ。

    そして戦後も、登録要件としてほぼ一貫して厳格な「血統主義」を要請することで日本国民の証明としての戸籍の「純度」が高められてきたが、「棄児」や「外国人」を扱うにあたり、その運用は必ずしも一貫性のあるものとは言い難く各種の矛盾を呈している。著者によれば、動態的な「ヒト」の移動を与件とする現代資本主義社会において、静態的な「イエ」をベースにする管理制度に最早実効性はない。今後の日本社会においては、「国民」としてより「住民」としての個人の権利がより重要性を持つのであって、そこでは「規定された家族」を前提とする「戸籍」は柔軟な運用が困難であろうというのが著者の主張。昨今の晩婚化・非婚化やLGBTの権利意識の高まりをみても首肯できるところが多いと感した。

    文章が少々硬くて読みづらく、大量の文献に圧倒されたりもしたが、期待通りのスケール感で歯応え十分だった。

  • 【書誌情報】
    著者:遠藤正敬
    4,200円+税
    出版年月日:2017/05/20
    ISBN:9784409241172
    四-六 380ページ 在庫あり

    近代日本において無戸籍者の存在は、家制度をはじめ徴兵、治安、福祉などに関わる政治・社会問題であると同時に、移民、引揚げに関わる国際問題であった。そして現代では家族生活の多様化に伴い、戸籍の必要性そのものが問われている。無戸籍者の歴史的変遷を辿り「日本人」の輪郭を改めて捉え返す労作。
    http://www.jimbunshoin.co.jp/smp/book/b281579.html


    【簡易目次】
    序章 「無戸籍」とは何か
    第一章 戸籍の役割とは何か――届出によってつくられる身分
    第二章 「無戸籍」という意味――「日本人」の証明なき「日本人」
    第三章 無戸籍の来歴――古代から近世まで
    第四章 近代日本戸籍の成立とその背反者
    第五章 家の思想と戸籍――「皇民」の証として
    第六章 「社会問題」としての無戸籍問題
    第七章 無戸籍となった越境者――移民、戦争、戸籍
    第八章 無戸籍者が戸籍をつくる方法―「日本人」の資格とは
    第九章 「無戸籍」と「無国籍」――「籍」という観念
    第一〇章 戸籍がないと生きていけないのか――基本的人権と戸籍
    終章 戸籍がなくても生きられる社会へ

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戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭の作品紹介

近代日本において無戸籍者の存在は、家制度をはじめ徴兵、治安、福祉などに関わる政治・社会問題であると同時に、移民、引揚げに関わる国際問題であった。そして現代では家族生活の多様化に伴い、戸籍の必要性そのものが問われている。無戸籍者の歴史的変遷を辿り「日本人」の輪郭を改めて捉え返す労作。

戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭はこんな本です

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