ラカン 患者との対話: 症例ジェラール、エディプスを超えて

制作 : 小林 芳樹 
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409330517

作品紹介・あらすじ

唯一残るラカンによる臨床現場のドキュメント

1976年2月、精神科医ジャック・ラカンはパリのサンタンヌ病院において、患者ジェラールと対話する。本書はその貴重な記録の、初めての邦訳である。ラカンによる具体的な臨床の手つきが伝わるとともに、自閉症との鑑別が重要な現代の軽症化精神病(普通精神病)に対するラカン派精神分析の原点が示される、生々しいドキュメント。十全な解説を施し、ラカン思想への入門としても最適。

感想・レビュー・書評

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  • フロイト精神分析の中核概念、エディプス・コンプレックスは、フロイト以後の主流派(自我心理学、対象関係論)では「母子関係」の探求に向かったのだが、異端とされるラカン派においては、いやこっちこそ元祖フロイトの旗印のもとに「父の名」「象徴界」というちょっととっつきにくいタームで父性をメインに掲げた。
    本書はそのラカンが後期に至って、時代の流れとともにどうその理論を修正していったか(父の名の欠如)をたどったものだが、とにかく唯一と言われるラカン自身の公開セラピーに惹き込まれる。
    そして想うのは、どちらの学派も、どうもポストモダン世界ではナラティヴの方向をたどらざるを得ない状況になっているということだ。そう考えると精神分析がずっと引き寄せられてくる。
    これを知っていたら、先日の東京精神分析サークルの会合で、あれほどたじろがないでも済んだかもしれない。精神疾患の大衆化とはラカンの大衆化ということだったのかな。そろそろオタク趣味から脱却しなければいけないのである。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784409330517

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著者プロフィール

1901-81年。フランスの精神分析家。パリ大学医学部などで学び、サン=タンヌ病院などで臨床に専念。1964年にはパリ・フロイト派を創設した。1953年から始められたセミネールは多くの聴衆を集めるとともに、大きな影響を与え続けている。著書に、『エクリ』(全3巻、弘文堂)。

「2019年 『アンコール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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