「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413044400

作品紹介・あらすじ

厳しさを増すこの時代を生き抜くには、実直に頑張るだけでなく、ときには「ズルさ」を発揮することも必要だ──。社会全体が敵になるような大きな困難を乗り越えてきた著者が、「人と比べない」、「嫌われることを恐れない」、「問題から目をそむけない」など、誰でも直面する11のテーマを解き明かしていく。2014年上半期ベストセラー『人に強くなる極意』待望の第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 外交官として生きていくなかで培った「酒は度数が強いものから飲ませて感覚を鈍らせ、低い酒をどんどん飲ませ酔わせて本音を引き出す」など実際に使えるテクニックから、外交という厳しい世界のなかで自分のメンタルを保つ考え方など、私達のような一般人でも参考になる良書、外交という日常とかけ離れた世界の一部を垣間見れるこの本は佐藤氏の語り口で一種の小説のような面白さもあり、外交という世界を知ることができる教養書としての側面もある1冊で色々な楽しみ方ができる本。

  • 著者の本は初めて読んだ。経歴的に、過激なことを書くのかと思いきや、某エンジェル投資家よりもよほど優しい文章な印象を受けた。タイトルに反して良い意味でズルくない。外交の裏話も面白い。他の書籍も読んでみたい。

    以下、印象的な箇所と感想

    人生にとって大切なのは、いかに負けるか、では。不条理な事などいくらでもある。相手に勝とうとするのがアニマルスピリッツなら、負けることから新たな自分だけの人生のテーマを作り出す力こそ、ヒューマンスピリッツと言えるのでは。別の思考や世界観をもち複線化することも、リスクヘッジになる。

    約束は破らない。遅刻や会議延長で人の時間を奪ってないか?
    低信用社会は発達しない。多分人間関係もおなじ。

    恩を忘れない。受けるより与える方が幸い。

    就活で若者の承認欲求はぼろぼろになっている。
    年配者の若い頃はエネルギーが〜論は時代錯誤では?という指摘。

    11章は特に印象的だった。
    ー組織である以上、上司の命令には背けない。
    (数字を毎回出す人と専門知識や特殊能力のある人は多少は意見を言える。)
    人間は自由や平等を求めるが、組織はもとより上下関係や権力構造を前提に構築されている。(人間が組織をつくり社会を作らなければ生きていけない以上、そこに属する我々は常に上下関係と権力構造の中で生きていかなければならない)

    コモディティ化が進むなかで、生き抜くには、特殊技能や能力を身につけて代替不可能な人材になること。与えられた仕事をこなすだけでは専門能力は身に付かない、部署トップを目指して頑張る。今後の10年でどうなりたいか、から逆算し、どんな知識とスキルを身につけるべきかを明確にして、計画的にスキルアップする。自分の人生を自らコーディネートする。
    銀行員にとっての簿記三級的なスキルも役に立つ。
    趣味の世界で肩書きを持つのもいい。権力や組織が牙を剥いてきたときに、もう一つの世界に逃げることができる。逃げる事は重要で逃げられる環境があるのは大きい。

  • 約束を破らない
    恩を仇で返さない
    失言しない
    酒に飲まれない
    時間に遅れない
    時間に追われない

    当たり前のことをちゃんとやることだなと思った

  • 外務省出身の佐藤優さん。いろいろあり、退官後、作家として活躍中の方です。

    「ズルさ」という日本語は、微妙な表現に感じる。
    でも、他国後では、肯定的な意味になると教えてくれる。

    ◆人と比べない
    ◆問題から目をそむけない
    ◆頭で考えない
    ◆時間に追われない
    ◆酒に飲まれない
    ◆失言しない
    ◆約束を破らない
    ◆恩を仇で返さない
    ◆嫌われることを恐れない
    ◆人を見た目で判断しない
    ◆上下関係を軽んじない

    1つ1つの章の内容に意外性はなく、常識的。
    ズルさって何?とタイトルを見直してまうほど。

    ただし、モスクワのトイレ掃除の話は、なんとも驚きましたが、やはり、外務省の序列環境の話も、予想はしていましたが、厳しい現実なのだと知りました。

  • 耳が痛い本だったなぁ。
    より良い自分になりたいと日々やってきてるけど、色々足りてない部分を突きつけられた感じだ。
    後回しにしてることいっぱいあるし、危機管理も不十分。
    やりたいことはあるのに結局日々の生活に流されほとんどができてないよね。
    若い時に無駄にした時間が本当にもったいない。

    外交の裏側がちらりと知れたのは面白かったです。外交官、経験豊富すぎてすごい。

    勉強とかじゃなくて人として生きていく頭の良さが欲しい…

    タイトルは別にもっとリンクしたものがあるのではと思ってしまった。

    第1章 人と比べない
    第2章 問題から目をそむけない
    第3章 頭で考えない
    第4章 時間に追われない
    第5章 酒に飲まれない
    第6章 失言しない
    第7章 約束を破らない
    第8章 恩を仇で返さない
    第9章 嫌われることを恐れない
    第10章 人を見た目で判断しない
    第11章 上下関係を軽んじない

  • タイトルから得られるイメージのような尖った内容ではない。まえがきに「本書には、もし私が企業か役所につとめていたら、あるときは職場の会議室で、別のときには居酒屋で、若い世代の人たちに伝えていたであろう内容を盛り込んだ」とあるように、若い人がこれから社会人として柔軟に生きていくために必要な心得について書かれている。大学生~20代向けだと思うが、中堅社会人でも、初心に帰りたいとき、ちょっと疲れてきたときにサラっと読める内容。

  •  著者のいう「ズルさ」とは、社会で生き抜く「賢さ」のことだ。

     この世は必ずしも公平には作られていない。また、組織の中で勝ち残っていかなければならないにも関わらず、組織の中でうまくやっていかなければならないという、矛盾した状況にある。
     そんな中でよりよく生きていくには、教養と知恵を蓄えることにより直観力を磨く。ビジネスという経済的合理性を求める場以外に、地域、趣味、ボランティアなど仕事以外の場で信頼しあえる誠実な人間関係を築く。複数の価値観を持つことにより、どんな状況にも対応できるしなやかさを持つ。それが、著者の勧める処世術である。

     外交官という、文化も利害関係も異なる二つの国の関係を取り持つ経験をした著者による、実例をふんだんに盛り込んだ啓発書。参考になった。

  • なぜか二枚カバー。
    佐藤さんの顔を全面に出したほうが売れるだろうっていう、マーケティング的な理由からだろうと、そんなことも推測してみた。

    元外務省主任分析官で、在ロシア連邦日本大使館に勤務。偽計業務妨害で逮捕された佐藤優さんの著書はたくさんあるけど、この顔は一度見たら忘れないと思う。いい意味で。

    佐藤さんの言う「ズルさ」とは、悪い意味のそれではなく、賢いとか、創意工夫するとか、すばしっこいとかいう意味をもつもので、言葉の使い方や言い回し、お酒とのつき合い方や上司との接し方が書かれてあった。

    内容は、本業と違う収入源をもって、心に余裕を持たせたり、仕事とは別のグループにも属して、違う人間関係を楽しもうっていうことは共感できるけど、期待した「ズルさ」とは少しちがってたかなと感じた。

    規律正しく、違ったことには必ず物申す、毎日一生懸命っていうのも素晴らしいけど、それだけでは疲れてしまって息切れして、自分の理想とすることは何一つ達成できないっていうことにもなりかねない。

    スポーツでも、教科書通り、基本に忠実なプレイより、どこかズル賢いようなプレイのほうが「巧い」と表現されることもある。

    人生の中に「ズルさ」を加えてみるのもいいと感じた。

  • この本の中で一番琴線に触れたのは、『賢者の時間』を大切にする、というところである。『孤独は人を賢者にする』良い言葉だ。自分と向き合う孤独な時間の中で、それぞれに発見できるものがある、そう書いてあった。私も、そういう時間を大切にしたい。むしろ、そういう時間を持てる、ということはすごく贅沢なことだと思う。
    『受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ』という言葉も印象に残った。
    新約聖書の言葉も引用されていて印象に残ったので、新約聖書を読みたくなった。
    章ごとのオススメ本も好きな構成。

  • チェコ語にヒートリー【創意工夫に富んだ】というワードがあり、日本に無い概念なのか日本語へ変換出来ない。

    今の日本に創意工夫は必用だが残念な事に日本でのパラダイムシフトは世代交代で起こり個人では起きないらしい。

    先ずヒートリーのワード化をして型から入るべきだろう。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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