「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413044400

感想・レビュー・書評

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  • 外交官として生きていくなかで培った「酒は度数が強いものから飲ませて感覚を鈍らせ、低い酒をどんどん飲ませ酔わせて本音を引き出す」など実際に使えるテクニックから、外交という厳しい世界のなかで自分のメンタルを保つ考え方など、私達のような一般人でも参考になる良書、外交という日常とかけ離れた世界の一部を垣間見れるこの本は佐藤氏の語り口で一種の小説のような面白さもあり、外交という世界を知ることができる教養書としての側面もある1冊で色々な楽しみ方ができる本。

  • この本の中で一番琴線に触れたのは、『賢者の時間』を大切にする、というところである。『孤独は人を賢者にする』良い言葉だ。自分と向き合う孤独な時間の中で、それぞれに発見できるものがある、そう書いてあった。私も、そういう時間を大切にしたい。むしろ、そういう時間を持てる、ということはすごく贅沢なことだと思う。
    『受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ』という言葉も印象に残った。
    新約聖書の言葉も引用されていて印象に残ったので、新約聖書を読みたくなった。
    章ごとのオススメ本も好きな構成。

  • 「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)2014
    佐藤優氏の著作。
    2014年12月15日第1刷。
    月刊BIGtomorrowの連載「佐藤優の人生修業」と基に 加筆・再構成したものです。
    生き方上手になるため、ストレスをより少なく生きる為に
    どうするべきなのか著者が組織にどう対峙するべきかを述べている。
    綺麗事だけでは生きていけない。
    本書ではズルさと表現しているが、より良く生きる為の知恵と言っていい。
    印象に残った点をあげていく 「お前、ウソをつくな」と言えば喧嘩になる。
    それを「お互いに正直にやりましょう」と言えば特に角は立たず、 相手も不快な思いをしない。
    表現を少し変化させるだけで、同じ事柄をうまく伝えることが出来る。
    一番よくないのは、出世競争に敗れたからと自暴自棄になって 会社を辞めること。
    特にあなたが正社員なら、今の労働環境では それだけでとても有利です。
    いい意味の「ズルさ」が必要になってきます。
    たとえ出世のラインから外れても、そこそこの立場で仕事ができるなら60歳までは居続けましょう。
    そして同時に、会社の価値観とは別の ライフプランを明確に築く。
    違うコミュニティーの活動をしたり、 趣味を生かしてそれを副業にしたりする。
    その際に大事なのは、最低限の人間的な尊厳を保てる範囲でということ。
    会社に居続けるといっても、自分よりずっと年下の社員に
    「○○さん、コピーとって」なんてぞんざいに扱われ、 それでも歯を食いしばって我慢するなどというのは精神衛生上よくありません。
    インから外れたとはいっても、その道で何十年も仕事をしてきた経験と スキルで、やっぱり周囲から一目置かれるような存在でありたい。
    仕事もできて人間的にも信頼されている。
    主流から外れていても魅力的な人物として人望も厚い。
    そんなトップを目指さない働き方こそが、
    大多数の僕らが目指す 理想像なのかもしれません。
    ただし、最初から競争を拒否していては、向上心も何も生まれません。
    ある時点までは競争の中でがんばり、そこからふっと抜け出した 人物だからこそ競争の虚しさ、自分を取り戻すことの大切さを実感できる。
    毛沢東の言葉に「小さな火花も荒野を焼き尽くす」というものがあります。
    小さな火花が大火災につながる。火が小さいうちなら消し止められても ある程度広がってしまったらどうすることもできません。
    パワハラやセクハラのように、本人は問題と意識していないのに 実は時代や社会は問題だと捉えていることがある。
    それに対応するには、常に意識の中で自分の感覚と社会の常識がズレていないか確認する必要があります。
    イヤな問題こそ直視する 人は見たいものしか見ない
    第三者から見たら明らかにまずいという状況でも、
    当事者の本人は意外に平気な顔をしていることがあります。
    これは本人が鈍感だったり厚顔無恥だったりするからではなく、
    危機的状況に対して防衛心理が強く働いている可能性が大きい。
    人間はイヤなシナリオは知りたくないし、最悪の場面を描くことを 避けたいと思うもの。第二次大戦中の日本の軍部なども、 まさに根拠のない楽観論にとらわれていました。
    敵の実力を見ないようにして、自分たちの力を過大評価したわけです。
    最悪のシナリオを紙に書き出してみる 可視化するだけで、ずいぶん問題に対する気持ちや向き合い方が 変わるはずです。
    考えうる最悪の事態を想定し、それに対するイメージを 膨らませて対応策を考える。
    危機管理の本質というのは、 問題から目をそらさず、
    それを問題として認識することにあります。

    知恵ある者の最高の喜びは、知り得ることを知ろうと努力し尽くし、 知り得ないことを静かに敬うことである(ゲーテ)
    人間関係だけでなく、仕事ができる人は総じて理屈や論理で ガチガチの人ではありません。ある部分では直感力で瞬時に 判断し即行動に移すことができる、やわらかい思考の持ち主です。
    直感・・全く根拠のない想像力とは違います。
    たくさんの経験値と論理的な思考を経たうえで、
    その蓄積によって 途中の論理的な検証を飛び越え、
    一気に結論を導くことができる力です。

    厳しい言い方ですが、異業種交流会に顔を出しているのは本業で イマイチの人物が多い。本業で成果を上げている人は、 そのようなところに顔を出す暇もなければ必要もありません。 仕事の中で異業種の人と強固な人脈をつくっているのです。

    まじめな話は酒の入らない席でやり、酒が入ったらバカ話に 徹するくらいがいいでしょう。 翌日は飲んだ時の話を蒸し返さない 何事も無かったかのように粛々と仕事をするのが正解です。
    男性の場合、絶対に欲しいのが一緒に飲める女友達。
    気心知れた感じで飲めて、セックスがからまない女性の方がいいです。
    異性とこのような関係になるのは難しいですが、
    複数でもいいので 一緒に飲める女友達を見つけましょう。
    →女性は男性とは違った価値観や環境で生きている  
    男性は政治経済、仕事の話ばかりではなく、映画や音楽、旅行や趣味や食事など遊び心のある話題を提供できるようにしなければなりません。
    職場でも失言は避けなくてはならない
    会社では上司にゴマをするくらいの感覚でちょうどいいと思います。
    日々の仕事では上司にはむやみに自己主張をしたりせず、
    上手に上司を立てていました。
    独りよがりの正義感で上司に正面からぶつかるなどというのは、 一番愚かな人間のやることなのです。
    組織とは個人の価値観や正義感を超えた論理で動くもの。
    そこで働いている以上、その論理にある程度は巻かれる覚悟が 必要です。
    そして基本的に部下は上司を選べません。
    合わない上司の下についたら、なんとかうまくやっていけるように 最大限の知恵を絞るしかないのです。
    そのうち異動があり、上司も別な人物に代わるときがきます。
    ですから、不用意な直言や失言などはもってのほか。
    ときには相手の気持ちをよくするようなゴマすりをする。
    サービス、ホスピタリティの一種だと考えるのです。
    それでお互い仕事がしやすくなれば言うことはありません。
    物事には何をするにも時があり、その時を間違えてはいけない。
    様々なトラブルや厄災は時を間違え、失するから起きるのだ
    教養がある人かどうかを見抜くのは難しいことではありません。
    偏見と差別意識が少ないことをポイントに判断すればまず間違いない。
    上司に頼まれた雑用をイヤな顔ひとつせずにこなす。
    それが評価になって、今度は大きな仕事を任される。
    小さな頼み事や約束をおろそかにしているうちは 大きな仕事を振られることはまずありません。
    相手の時間を奪っていないか
    意外に大事なのがお尻の時間を守ること。
    約束の時間に遅れそうな時、連絡をいれること 受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ 上司に対しては過剰な期待をしないようにしましょう。
    8割はおかしな人だと割り切るくらいでちょうどいいですし、 その方が気が楽になって、何かあっても仕方がないとあきらめやすいのです。
    優秀な上司やリーダーの数は組織の中でせいぜい2割程度。

  • 生き方を間違えたくない。自分がきちんと仕事を、よりよい生活を送るためには、何をすべきで、何をしてはいけないか。

    そういったところがわかりやすく書かれている。難しい本ではなく、等身大で生活する者としてはこれほどよい本はない、それぐらい参考になる本である。

    今後も、自己分析や反芻のため、おそらく1年に1回ぐらいは再読すると思う。

  • * 読了日20180320
    * 入手日20171203
    * Amazonで購入した。

    # 読書メモ
    * 『人に強くなる極意』の続編。

  • 「直感力」つまり「違和感に気づく力」がないと理屈だけではズルく生きていくことはできません。
    「違和感に気づく力」は「観察力」が必要です。
    「観察力」は切羽詰まると身につくのかもしれません。
    著書ではロシアやイスラエルといった史上大きな危機を経験した国の人は「直感力」に優れているとのことです。

    この本では僕の好きな飲食店経営の方に批判的な書き方になってました。
    根性論というか努力すれば全て上手くいくという論調が著者は好きではないのかもしれません。
    僕はどちらの著者も好きでよく読みます。
    要は休みとかバッファを入れないと息がつまるということですよね。
    バランスです。

    「受けた恩は石に刻みかけた情けは水に流せ」
    僕は子供達にもこの言葉をよく言います。
    人から受けた恩は倍返しでちょうどいいのかもしれませんσ^_^;

    「スーツ姿に弱い日本人」
    僕が夏もスーツとネクタイなのはこれが理由でもあります。
    クールビズやなんやといってもやっぱり日本人はスーツを信用するしスーツに弱いんやと思います。
    自分がそうなだけに余計そう思います。

    この本も自分の生き方にとても参考になるものでした。
    前著「人に強くなる極意」と同じく良い本でした。

  • すぐに使えるノウハウ本と言うわけではないけど、考え方の肥やしになる、面白い本。何が書かれてたか、空で思い出すものではないけど、ふと、判断を迫られた拍子に思い出しそうな内容が詰まっていると思います。

  • 副題に「いまを生き抜く極意」と書かれている、この一冊。著者の佐藤優さんのこれまでの激動の人生を通じて体得されたまさに、「いまを生き抜く極意」が綴られています。いわゆる勤め人の方にはオススメできる一冊です。付箋は19枚付きました。

  • 適宜ズルさを発揮して、ストレスを最小化するという筆者のスタンスに共感する。
    組織の中でうまくやっていくための、または不条理にうまく対処するための振る舞い方や、心の持ち方についてよく書いている。

    根性論に陥らない柔軟な心が大事というメッセージは特に強く響いた。

  • 本書は処世術。

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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