撤退戦の研究 (青春新書インテリジェンス)

  • 青春出版社
3.05
  • (4)
  • (10)
  • (17)
  • (4)
  • (6)
本棚登録 : 179
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413044608

作品紹介・あらすじ

戦後70年の今、あえて問い直す──日本人はあの戦争に「何を」置き忘れてしまったのか!情報を軽視し、成功体験を追いかけ、撤退のタイミングを見誤る…繰り返される失敗の本質を浮かび上がらせ、21世紀を生きる私たちに大いなる示唆を投げかける渾身の対談書。同名の名著に新たに加筆の上、リニューアル復刊!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 先の戦争を引き合いにだしたリーダー論。
    学ぶべきところは多々あるが、年寄りの後知恵を延々聞かされることへの嫌悪感をどうにかして抑える必要がある。

  • 2023/03/11
    1.ミッドウェー海戦の総括・反省
    責任は山本五十六司令官 VISION・グランドデザインを部下に徹底していなかった コミュニケーション下手では済まないトップリーダーの責任
    2.教育と出身者の派閥力学→日本の硬直化
    大艦巨砲主義をいち早く脱却できた貴重な体験
    ①真珠湾攻撃
    ②プリンス・オブ・ウェールズ、レパルス撃沈
    海軍のエリート序列は変えられなかった



    2015/08/11撤退戦の研究 半藤一利 江坂彰
    1985年プラザ合意 ドル本位制の転換 歴史の転換点
    ドル安バーゲンセール
    冷戦の終結 軍事資源を民間へ転用 米国の復権
    日本経済の凋落が始まった
    山本七平(1990年)
    「日本がすごいスピードで少子高齢化社会と人口減少を迎えようとしている」→日本の確実な衰退

    ミッドウェー海戦の失敗
    リーダーのビジョン、リーダーのグランドデザインが部下に徹底していなかった
    戦略目的が共有されていない
    コミュニケーションの重要性
    日本海軍は「大鑑巨砲主義」「艦隊決戦主義」

    リーダーには「偉さの旬」がある
     (ラ・ロシェフーコー)
    老害 鈍った判断力で重大な時期の決断ができない

    「マネー敗戦」も負けるべくして負けた(江坂)
    ドルで米国と戦争をする愚かさ
    (石油工業力で戦争した愚かさと同じ)
    1985年プラザ合意 平成のノモンハン
    驕りと油断がバブルと敗戦をもたらした

    「バトルで勝ってもウォーで負けては無意味」
    経営と業務の違い 増してやオペレーション
    ビジョンがないと「戦略無き膨張」に走りがち
    リスクが少ないと思って、実はリスク最大
    時代に適合しない

    リーダーは生涯勉強
    驕り・油断が謙虚さをなくし勉学心を失わせる
    優秀な経営者は歴史を勉強している
    戦前の陸大・海大は「戦術の勉強ばかり」
    正解がある 点数で序列がつく

    日本には「大戦略」がない
    1.トップマネジメント不在 たこつぼ
    2.情緒的・ムード的思考が支配 理性の否定
    3.主観的・独善的 国際評価の無視
    4.現象面の成果を急ぐ短兵急発想
    5.自民族の利益のみを追求するエゴイズム
    →北洋銀行にも当てはまる

    150811撤退戦の研究ー3
    日本の戦死者260万人
    半分は餓死
    残りの多数は輸送船沈没
    戦闘で亡くなった者は少ない!
    →こんな戦争はない
     トップマネジメントの責任

  • 半藤先生追悼読書。

  • タイトルと作者から、第2次大戦の撤退作戦の分析的な、歴史カテゴリの本だと思ってました。
    もちろんそういう内容でもありましたが、半分くらいは経営者の資質とか企業の在り方とか、がっつりビジネス書でした。
    や、十分面白く読みました。

  • 太平洋戦争の失敗を通して、現代日本にも潜んでいる「失敗の本質」を読み解いた本。

    作家・半藤一利さんと経営評論家・江坂彰さんの二人が、太平洋戦争の失敗から、今も繰り返されている「失敗の本質」について語り合う内容になっています。

    失敗の研究は重要なことです。失敗を研究し改善することで、成功の確率が上がります。
    また、経験した成功に囚われると、成功が失敗へと変化していきます。成功体験に囚われてしまうことを、本書では「成功の復讐」と呼んでいます。

    本書で書かれている「失敗の本質」は現代日本にも引き継がれています。失敗を繰り返さないためにも、日本は本気で「失敗の研究」に取り組む必要があると思います。

  • 企業経営の参考となる視点多数。日本の会社員はもっと勉強しないといけない。自分もまだまだと自覚出来る内容だと思う。

  • やっと読了。日本社会の問題点はのぼせ上がること、そして大局観なく、学歴至上主義、年功序列主義。まさに三菱だ。これから通用しない考えなのはわかるが、果たしてこれがなぜ延々と続いているのか? アメリカは反省をするーつまり問題点を徹底的に改善させるところが違う。そのためにシステム投資も惜しまない。さらには、アングロサクソンは仮借なき(容赦ない)攻撃の徹底性特に金銭に対する欲望ーやはり外資にいた人間にはよくわかる考えだ。
    一方、日露戦争以降陸海とも組織が硬直化し保守的になったというがその根拠がよくわからなかった。
    ヨーロッパのような深く関わらなく親しくー今後自分が取るべき戦略と思う。ちょっと深く関わりすぎ、そこで人を厳しく見ていたかもしれない

  • ・賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ。
    ・未来というものは誰にも分からない。だから、歴史に学ぶのがいちばんよい。
    ・成功の復讐。
    ・撤退戦は決して負けではない。どうやって次の勝ちにつなげていくかの組織再構築なのです。

  • 戦後70周年、映画「日本のいちばん長い日」が公開された頃に平積みになっていたのを手にしてそのまま積読。歴史から失敗を学ばないといけないんだよなと思い、読了。
    昭和史の大家の半藤一利と経済評論家でもある江坂彰の対話の形式なっていて、撤退を知らない日本軍がいかにして負けたかの振り返りの話とそれを今の企業経営に置き換えての話が続いていく。
    肝に銘じないといけないのは、撤退戦は次に勝つために不可欠な戦略ということ。

  • 太平洋戦争での指揮官の戦いぶりを対談形式で。

    なかには優秀な指揮官もいたけど適材適所に配置されず、活かせなかったんだ。平時と戦時の切り替えができていれば、って思うけど、時代背景から無理だったんだろうな。

    太平洋戦争の頃から、すでにトップは責任を取らない体質になってて、悪いことを今でも引き継いでるんだな。

    ミッドウェーの敗因として指摘された、
    ・戦力分散
    ・コミュニケーション不足
    ・成功体験の復讐(成功体験に寄りかかる
    ※アメリカは失敗から学ぶ)
    は今も変わらない。

    情報を正しく読み解く心得として、
    ・成功体験を捨てる
    ・先入観を持たない
    ・判断するときは2つ以上の違った意見を参考にする
    ・情報が100パーセント完全に集まることを期待しない
    もすごく重要なこと。個人的には先入観をいかに持たないようにできるか、がいちばん難しいかな。

    ”判断力や知識、教養といったものは勉強すればある程度身につきます。しかし、決断力は勉強だけでは養えません。判断力と決断力のあいだには、命がけの飛躍があります。”
    決断力を養うには経験しかないよな。

    ”大本営発表は自国民は騙せても、戦争相手は騙せない”って、戦争相手を外国に置き換えると今のマスコミやってるんじゃないかな。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

半藤一利の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
又吉 直樹
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×