僕ならこう読む (青春新書インテリジェンス)

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著者 : 佐藤優
  • 青春出版社 (2017年2月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413045087

僕ならこう読む (青春新書インテリジェンス)の感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優による小説の深読み術。小説を読み、今という時代を理解し、自分が置かれた状況を正確に知ることはとても重要。「火花」「異類婚姻譚」は他者とのコミュニケーションについて。「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」「伊藤くんA to E」は愛することについて。「沈黙」「塩狩峠」は信念を貫く生き方について。「真空地帯」「ニューカルマ」は組織の怖さと残酷さについて。「首飾り」「堕落論」は現実を見つめる力について。「私という運命について」「羊と鋼の森」は運命と選択について。いずれも素晴らしい書評にもなっている。

    自分の居場所をネットに求め、内にこもることが容易な時代。リアルな関係がますます希薄になっている。それが人生を豊かにするとは思わない。「火花」はさまざまなテーマが複層的に重なり合っている。多義的。良い作品とは読み手によってさまざまな読み方・解釈が可能な傑作。作品が勝手に評価され、新たな価値を生み出して行く。マジョリティとマイノリティの断絶。多数派には少数派の気持ちがわからない。多数派の傲慢さは今の日本社会に蔓延している。例えば沖縄の普天間基地の辺野古移設問題。「異類婚姻譚」は各個人がバラバラなまま引きこもり、自分の世界でしか生きられない現代人の病理をえぐった傑作互いに深入りしない夫婦関係。歪んだ自己愛。自分の意識の中に他者の存在がない。

    自己愛性パーソナリティ障害者(根拠のない自信家)は自分を特別な人間だと思い込むが、その裏側(無意識下)には自己評価の低さがある。そして自分の自己像を否定する相手には手段を選ばず激しく抵抗する大きな赤ん坊。極力近づかない方が良い。本来の自己愛とはあるがままの自分を受け入れ認めること。今の自分に足りない能力があればそれを客観的に認識し、足りていない自分を否定しない。

    情報を持つということは組織で生き延びるための大きな力になる。戦略的に意識して動くことが必要。

    スポーツで不自然なくらい熱狂するのは、普段得られない達成感やカタルシスをアスリートに託して昇華しようとしているのでは。強い日本を求め軍事力を強化するのも、脆弱な自らの存在や自我を埋め合わせ、あたかも自分が強くなったような錯覚に陥るもの。自己欺瞞。

    弱くて脆い自分、ダメなじぶんを否定せず、本当の自分の姿を見極めることがすくいになる。生きて行くことは決して綺麗事だけでは済まされない。人間は堕落するもの。

    ところが、日本は敗戦を終戦と言い換え、負けを誤魔化しながら戦後を始めた。自己欺瞞のツケは、この国の政治、官僚、国民に託された。その結果が誤魔化しの連鎖である。

    自己を正しく認識するのは難しい。勝ちたい気持ちが負けを認めない。空虚な自我を認めたくないから権威にすがる。見栄や体裁にこだわる。芸能人の不倫をヒステリックに騒ぎ立てるのも見たくない自己像を他人に投影し非難する。

  • 難しい本には二つの種類がある。第一は、読んんでも意味のない難しい本だ。
    第二は、読む価値があるが、そのための準備が必要とされる本だ。

  • 読書感想文的な一冊。

  • 本書の中で取り上げられている小説の登場人物への洞察が深く、「ああ、これはあの人に当てはまるなあ」と私の周りにいる人たちを想像しながら読めました。紹介されている小説で何冊か読んでみたいと思うものがあったので、順番に読んでみようと思います。

  • 解釈の基礎となる知識の深さ。

  •  昨今の小説から、時代・現代・思想・生き方を、著者なりに腑分けしていく書である。
     面白くないわけではないが、しかし、今は詳読スタイルで読まずとも良かろう。

  • 自分や時代を考える名著を紹介
    根本には、世の中には様々な価値観があり、多様な価値観を認めることに自身の成熟があるといいう考えがあるように思う。
    その上で、名著には時代を生き抜く武器となる考え方価値観を読み取ることができ、著者ならこのように読み解く、このようなことを学んだと話す本

  • 虚構としての小説を読むということの意味を,他者の視点の獲得にこそあると説く.年齢によって意義は変化してくるが,本書の想定している読者層を考えると,その意義に強く同意する.殺伐とした現代の創成は本離れに一因があることは間違いないだろう.

  • しっかり読み込んでいるなぁ。こんな風な読み方ができるようになりたい。

  • 自分勝手にお互いの関係が成り立っているという前提に立つ。これこそがストーカーの論理です

    この国は沼地だ。どんな苗もその沼地に植えられれば、根が腐りはじめる 遠藤周作 沈黙

    自我の成熟には、自己を突き放して客観的に見る目が何としても必要 客観的に自分を見ることができない原因には、虚栄心や不安感、自信のなさなど様々な要素がある

    自分でストーリーをつくれる人が強い
    その際には、やはり読書が大きな力になります。古今東西の良書を読んでさまざまな人生を疑似体験すれば、ストーリーを組み立てる力が高まるからです

    私という運命について 白石一文

    選ばれなかった未来、選ばなかった未来はどこにもないのです。未来など何一つ決まっていません。しかし、だからこそ、私たち女性にとって一つ一つの洗濯が運命なのです。

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僕ならこう読む (青春新書インテリジェンス)の作品紹介

「小説を読むことは、読書力をつける最短コースである」──。『羊と鋼の森』、『火花』、『沈黙』、『堕落論』など、話題のベストセラーや名作の読み解きを通して、佐藤流の“小説を深く読む技術”を大公開。優れた本には現代社会の潮流や普遍的な人間心理など、さまざまな意味が内包されていることがわかります。そして、読書でいくつもの人生を仮想体験すれば、この混迷の時代を生き抜く力になります!

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