品格ある知性をつくる24の方法 (青春文庫 は- 8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413093514

感想・レビュー・書評

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  • 林望先生の著作を初めて読んだ。若い人に向けての人生訓といえる24の品格ある知性をつくるための方法だが、共通して書いてあるのは何の変哲もない努力の上に努力を重ねよ。という身もふたもない結論である。がそれだけに自身が歩んできたからこそ言える本当の迫力があり、自分の身を正さずには読み進めなかった。自分はもうさほど若くはない40歳だが最期の章の10年先に備えようという言葉はいくつになっても当ててはまる教訓だと思う。「自助」という言葉の大切さがこの歳になってようやく理解できた。自分を助けるために人のために行動をするのだ。人を助けることがそのまま自分のためになっているのだというのは本当にそうだと思う。この先の人生をどう送るかは今からの自助努力にかかっている。

  •  「知性をつくる」というよりもさらに広く「上達論」という色彩が強い。リンボウ先生の「知」に対する情熱と方法論が集大成されている。他著にくらべて著者特有の「お説教っぽさ」は少ないように思う。

     「品格のない人」と会話してみると極端に前提知識が欠如しており、説明するのに骨が折れるといったことが非常に多い。なんとか説明を試みるも、そうした人達はその小難しい説明を嫌う傾向もある。こんな調子が繰り返されることによって、いつまでたっても前提知識は蓄積されず、意義ある会話には縁がなくなり、発展性なき雑談の連続となる。こうした事態は驕りを呼び寄せ、それが表面化し互いの苛立ちがつのる。悪循環はこうして形成され、それが各分野で生じている多くの問題を生じさせているような気がする。

     本書は「努力」ということについての記述が多い。この言葉も堅苦しいというイメージが先行することもあって敬遠されやすい。逆に「努力を強いることができる立場の人間」が好む言葉が「努力」という概念である。この傾向からも取れるように一般には「努力」は「他人のために強引にやらされるもの」という認識があるのではないか。世の中には「自分自身のために努力をすること」を好ましくないと考えるヒトもいる。しかし人間は自分自身のために行動することが前提であり、そのための「努力」を嫌う理由はない。

     本著のような「教養のススメ」的な主張は「幅広く物事を受容すること」の肯定である。そのため今現在自分の考え方に反対する意見にも耳を傾ける必要がある。そのうえで反論を行えば良い。しかしこれはある程度のスキルがいる。そしてこれができる人は非常に限られるようだ。それぞれの立場において自分を貫かなければならない人もいるだろう。しかし他の考えをわきまえたかどうかによって人間が取り組む行動の質はガラリと変わるのではないだろうか。もっともそうした自己の行動の質すら考慮できないヒトも存在する。「そんな時間も金もない」というヒトもいる。しかし「ちょっと時間とお金の配分を変えれば、あなたが今多大な時間とお金を費やしている楽しいことももっと充実すると思いますよ」。

     またタイトルは「品格ある知性」としているが「知性」は「品格」から創られるともいえる。「品格」気取ったものではなく、気軽にデザインできる自分に関するスタイルである。

  • とても元気付けられる本でした。
    ちょっと仕事や生活が煮詰まってしまっている人にもよいのではないでしょうか。

    もっと若い頃に読んでみたかった本ですね。
    (そんな昔は本を読む人ではなかったですけどね)
    だから、20代の若い人にもオススメです。

  • ちょっと説教臭いけど、うんうんとうなずく点も多数ある。努力家ですね。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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