「売る」から、「売れる」へ。 水野学のブランディングデザイン講義

著者 :
  • 誠文堂新光社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784416115152

作品紹介・あらすじ

いまの時代に、どうすれば「長く売れつづける」のか──。
あらゆるビジネスパーソンが抱えるこの課題をデザイン視点から解決する、
慶應義塾大学の名物講義「ブランディングデザイン」がついに書籍化。

「中川政七商店」「茅乃舎」「東京ミッドタウン」「相鉄」などで
コンサルタントとしても活躍するクリエイティブディレクターの水野学が、
ビジネスや経営における「デザインの正しい使い方」を
わかりやすく解説した1冊です。

■目次

第1講 なぜ、いいものをつくっても売れないのか?
・どんな仕事にもデザインの視点が必要になる
・デザインを武器としたコンサルティング
・「売れる」をつくる3つの方法
・商品が“選ばれづらい”時代
・ブランドとは“らしさ”
・アップルは“すべてが”かっこいい
・「コントロールできる人」が求められている

第2講 デザインは誰にでも使いこなせる
・“美大”にひるむのはなぜか
・そもそもセンスとはなにか
・王道、定番を知る
・「市場のドーナツ化」が起こっている
・流行を見つける
・「受け手側」で考える
・「コンセプト」は「ものをつくるための地図」
・共通点を探る
・説明できないデザインはない 

第3講 ブランディングでここまで変わる
・世の中をあっと驚かせてはいけない
・ブランド力がある企業の3条件とは
・ジョン・C・ジェイ氏が起用された理由
・経営目線なのか、クリエイティブ目線なのか
・ブランディングはあくまで手段
・なにがどう変わったら、もっと魅力的になる?
・頼まれてもいない提案
・なぜ段ボール箱までデザインしたのか
・企業の活動は「目的」と「大義」からはじまる
・「大義」は企業活動に幅をもたらす
・経営とデザインの距離は近いほうがいい

第4講 「売れる魅力」の見つけ方
・“似合う服”を着せる
・「らしさ」は「なか」にある
・「完成度」に時間をかける
・東京ミッドタウンの「らしさ」
・東京ミッドタウンは「いい人」
・宇多田ヒカルさんの「らしさ」を映し出す
・究極のプレゼンは、プレゼンがいらないこと
・正しいと思うことほど、慎重に伝える
・ブランディングはやっぱり見え方のコントロール
・知りたいのは、データを集めたその先
・デザインを武器とするために

あとがき

感想・レビュー・書評

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  • ・話題作りのために広告は出すので、ブームをつくれないような広告はあまり意味がない。
    ・どの商品もあるレベル以上の機能やスペックを備えているので、どこの企業のものか問われるようになった。
    ・日本にはいいものを作れば売れるといった、ものづくり信仰が根強いけど、もうどれも優れていて差がない
    ・売れるにはブランド作りが大切な時代になった。ロレックスのように
    ・ブランドとは「らしさ」
    ・ブランドとは見え方のコントロール
    ・センスとは集積した知識をもとに最適化する能力
    ・使う人の立場で考えて問題を発見し解決していく
    ・コンセプトとはデザインを作るための地図
    ・はたらくのはお金のためでもあるけど、大事なのは自分が働くことが世の中のためになっているという実感
    ・企画書は相手がこれを聞きたいだろうな、これを言って欲しいだろうなと思うことを書くようにしている
    ・きちんと対話して、コミュニケーションを取ることで伝わる
    ・プレゼンはいいことを言おうとか、うまいことをやってやろうとかぜったいに思ってはいけない。自分はしょせん自分でしかないと思って、考えたことを丁寧に伝えていく。

  • デザインと聞くと、関係ないとかデザイナーだけが関係することと考えがちだが、あながちそうではないと思わされた本。ビジネスとデザインの両軸で考えられる人がいると、強いということがよくわかった。

    ・「デザインを依頼する側はデザインがわからなくて、依頼される側もいろんなビジネスのことがわかっていない。そこにある大きな溝が売れないものが作られてしまう原因になっている。」


    ・機能デザインと装飾デザインの2つを混同していることが多い

    ・(1)センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力


    ・センスを磨く3つの方法
    ①王道、定番を知ること
    ②流行を見つけること。
    ③共通点を見つけること


    ・(2)世の中をあっと驚かせてはいけない

    差別化ばかりを考えてはいけない。
    あっと驚かされたものは、大抵世の中に受け入れられない。

    驚かせるような提案をしない


    ・(3)ブランドは細部に宿る

    ・らしさを大切にする

    その企業なら企業の歴史を調べる

    ・正しいと思うことほど慎重に伝える


  • 企業や商品のらしさを徹底的に演出し人々にらしさを伝えること、それがブランディングデザイン。

    「らしさ」の追求が「売れる」ブランドを作ること。

    慶應義塾大学のブランディングデザインの講義をまとめ、編集した内容。
    元々デザイン関連の学部ではない学生を対象としていることもあり、デザインを仕事にされてる方には当たり前とも思える内容ではあるものの、普段なんとなくフワッと理解していたデザインやブランディングのあるべき姿を、わかりやすく表現されている。
    差別化のしにくいこの時代に、企業や商品を徹底的にその本質を表現する形で「らしさ」を押し出すブランディングをすることで「売る」ではなく「売れる」状態になる、ということを水野学さんが携われたプロジェクト事例から丁寧に伝えられている。
    昨今ではデザイン思考としてユーザー側の視点に立った物事の進め方が広く知られているが、改めて勉強になる。
    デザインとはアートやセンスではなく対象の情報を整理し理解し大多数の第三者がしっくりくる着地点を目指すこと、全てのデザインは説明が出来るものであること、改めて理解できた1冊だった。

  • 大学生向けの講義内容で書かれているのでとても読みやすい。
    ブランディングとは何かという概念的な話なので、こういう考えを持っておくというのは分かるが、
    実用的なものではないので、タイトルの印象とは違った。

    市場のドーナツ化の話はは共感。
    奇抜なものを作ろうとして世の中にはいらないものが溢れていて、本当に欲しい日常的で直球なシンプルなものがない。

    探すのが大変ですね買うという行動が少なくなっているのかも。

  • 慶應SFCの「ブランディング・デザイン」の講義を書籍化したもの。

    デザインというと、奇抜だとか天性の才能が必要といったイメージがあるが、実際には徹底したリサーチ(世の中の流れ、クライアントの背景や良さ)、クライアントとの信頼関係を作っていくことが重要。「センスは知識から始まる」というのは、言われてみれば「確かにそうだ」と思えるけれど、それに気づいて発信できるのは素直にすごいと思う。

  • ブランドとは、見え方のコントロール

    センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力

    「受け手側」で考える

    1. 王道、定番を知る
    2. 流行を見つける
    3. 共通点を見つける

    「人がたくさん入っている店舗の共通点」
    床の色は暗め
    通路がやや狭め
    商品がごちゃこちゃと置いてある
    天井が低め、もしくは入り口の上側が高すぎない

    世の中をあっと驚かせてはいけない
    差別化に注意

    「ブランド力がある企業の3条件」
    1. トップのクリエイティブ感覚がすぐれている
    2. 経営者の“右脳”としてクリエイティブディレクターを招き、経営判断をおこなっている
    3. 経営の直下に“クリエイティブ特区”がある

    ブランディングはあくまで手段

    企業の活動は「目的」と「大義」からはじまる

    経営とデザインの距離は近いほうがいい

    「完成度」に時間をかける

    いい人
    企業を擬人化する

    正しいと思うことほど、慎重に伝える

    マークには大きく2種類ある
    1. ロゴマーク(文字)
    2. シンボルマーク(装飾された図や星や動物、文字以外のマーク)

    ブランドは細部に宿る

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000048280

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  • 「ブランドとは"らしさ"である」

    様々な課題解決の手段としてのモノが溢れ、飽和状態になっている昨今、良いモノを機能やスペックで差別化するのが難しくなり、選んでもらうには「ブランド」をつくることが大切だと説く水野氏。その通りだと思う。新しいビジネスを考えるにも差別化戦略は絶対に必要だなと感じる今日この頃。いかにしてブランド力を高めていくか、企業の生き残りには欠かせないキーワードだと思います。

    この本は慶應のSFCで実際に講義で話された内容をまとめたもの。Appleやダイソンといった名の知れた企業がなぜ売れるのか、デザインやブランド価値の観点から紐解き、過去にご自身が携わった事例も、何にこだわって提案してきたか、その結果どんな効果が生まれたか等、こんなにオープンにして良いの?というぐらい細かく載っています。これを読んでいると「あ〜自分もこういう人になりたい。こんな仕事がしたい」とかなり強く刺激を受けました。
    本書にも「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」と載っていますが、前著である【センスは知識からはじまる】も個人的にはかなりオススメです。

  • 水野学氏の本をもう一冊読んでみようと思って読んだ本。
    (○○の)センス(がある)とは集積した知識を用いて(○○を)最適化する能力(を有する)のこと、など、既知の事柄の確認もあったが、クライアントの歴史や背景を深く知ることや、アイディアをポンポン出した上で完成度を高めることに時間をかけるなど、事例としてふと思い出せそうな事柄が多く書いてあったように感じる。うまく血肉にして活用したい。

  • 具体例があるから理解しやすい。シンプルなメッセージ。

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著者プロフィール

水野 学:クリエイティブディレクター/クリエイティブコンサルタント/good design company代表。1972年東京生まれ。1996年多摩美術大学デザイン学科グラフィックデザイン専攻卒業。パブロプロダクション、ドラフトを経て、1998年good design company設立。ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。主な仕事に、NTTドコモ「i D」、相鉄グループ「ブランドアッププロジェクト」、熊本県キャラクター「くまモン」、「中川政七商店」ほか。自ら企画運営するブランド『THE』ではクリエイティブディレクションを担当。主な受賞に、London International Awards(Gold、Silver)、The One Show(Gold、Silver、Bronse)、D&AD賞(Silver、Bronze) CLIO Awards(Silver、Bronze)、朝日広告賞部門賞、毎日広告デザイン賞部門賞、日経広告部門賞、JAGDA新人賞など。

「2018年 『アイデア特別編集 good design company 1998-2018』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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