Yチェアの秘密: 人気の理由、デザイン・構造、誕生の経緯…、ウェグナー不朽の名作椅子を徹底解剖
- 誠文堂新光社 (2016年7月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416516270
作品紹介・あらすじ
名作椅子の中でも特に有名で人気の高いYチェア(ハンス・ウェグナー)について、
その人気の秘密、どこが優れているのか魅力があるのか、なぜこのようなデザインや構造になっているのかなどを
詳細に解き明かす本(座編みのやり方についての詳細解説付き)。
・なぜYチェアは人気があるのか。
その人気の秘密を、デザイナー、木工家、販売店、日常生活で使っている人などの感想を踏まえて探っていく。
・デザイン・構造の秘密
それぞれの部位のデザインには意味がある。なぜYの曲線が必要なのか(人が横向きになってリラックスして座れるように背はY形に)。
作り手の作業効率を考えた構造(座編み作業がしやすいように、座の後ろに隙間があいている)。各部位ごとに詳細に解説。
・Yチェア誕生の秘密
Yチェアが生まれる背景を探る。
1940年代のデンマークデザインの状況、ハンス・ウェグナーと中国・明代の椅子との出会い、どのようにYチェアが広まっていったのかなどを紹介。
・日本でどのようにして評判になっていったのか
戦後日本に世界のデザインが紹介されていった経緯、Yチェアが日本でいつ頃から販売されているのか、
どのようにして日本で年間5000脚以上も販売されるようになったのかなどを解説。
価格の推移なども紹介。
・コピー商品を見分ける方法
オリジナルのYチェアとコピー商品との違いの見極め方ポイントを解説する。
コピー商品対策としてYチェアの立体商標登録を取得するまでの過程を紹介。
・Yチェアの修理とメンテナンス
座編みの達人が、座の編み方のポイントを写真と共に詳細解説。
・様々な視点からYチェアの写真を掲載
初期のYチェア、60年代、80年代、最新といった年代別Yチェアの比較写真を掲載。
Yチェアの発想の源になった中国・明時代の椅子「圏椅」、ウェグナーデザインのチャイニーズチェアやザ・チェアなどの写真を掲載し、
デザインの変遷を見る。
感想・レビュー・書評
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この本を読んで衝撃を受けたこと:
Yチェアは立体商標権取得されており、商標権の侵害には罰則があること。
模倣品を買うことはグッドデザインの循環を断つ行為と言えること。
この本を読んで実践すること:
模倣品(リプロダクト、ジェネリック家具)は買わない -
たった一種類の椅子について、これほど念入りに論じた本はあるまい。アカデミックな検証もなされ、てっきりデザイン専攻の博士論文を本にしたのだろうと思いながら読み進めた。
デザインと構造の細部のもっている合理性についての詳細な解説は実に綿密で、このYチェアが近代建築と相即するまぎれもないモダニズムのデザイン作品であることを納得させられる。
後半の、模倣品との戦いも興味深い。様々な方法を検討した上で、立体商標登録という手法をとるまでのストーリーと、模倣品はオリジナルとどうちがうのかについての解説は大変に迫力がある。「ジェネリック」や「リプロダクト」などの耳障りのない言葉で語られてはいても、結局はニセモノであって、本物に織り込まれたデザインの豊かさを備えているわけではない。
なにより、模倣品を買うことは、デザイナーとメーカーと販売店とユーザーからなるグッドデザインの「循環を断つ行為」に加担することになるのだという。その通りだと思う。 -
Yチェアとは1950年に発表され、今でも人気のある椅子である。
特に日本で人気があり、自分も何処かで見た事がある。
日本で人気がある理由は、その機能美から来るシンプルな造形だと思う。
いつかは、自分もお気に入りの場所に置いて外を眺められたらいいな -
・ソープフィニッシュ
デンマークではスーパーマーケットにいけば、ソープフレークという袋に入った、フレーク状の石鹸が簡単に手に入る。
デンマークでは、昔から床や家具を石鹸で洗っていたそう。
木の表面が汚れたら、石鹸で洗うときれいになる。汚れが染み出した石鹸溶液を洗い流し、拭き取っても木材には石鹸の脂肪分が残る。
それを繰り返すうちに、木材に石鹸分が蓄積し、汚れがしみこみにくくなる。
汚れたら石鹸で洗うという前に、最初から石鹸で洗ったというわけである。
・デンマークでは、ペーパーコードを石鹸溶液で洗うことを説明している場合があるが、日本で向かない。
デンマークは湿度が低いため乾燥が速い。日本は湿度が高く、ペーパーコードがなかなか乾かない。
・J39は、今でもデンマークではYチェア以上に普及している国民椅子。
・ザ・チェア
JH501
JH503
PP501
PP503
・あるデザインが他のデザイナーに与えた影響について解説される際に、よく取り上げられるのがプロペラスツール。
コーア・クリント「プロペラスツール」
木製フレームで、畳むと脚が1本の丸棒になる。
ポール・ケアホルム「メタル・プロペラスツールPK91」
スチールのフラットバーをプロペラ状に捻った脚
ヨルゲン・ガメルゴー
スチールロッドを溶接して、プロペラ形状をワイヤーフレームで作成
・Yチェアに次いで人気のあった「スーパーレッジェーラ」