- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416716700
作品紹介・あらすじ
日本のマンガ界が真剣に対峙することを避け続けた「日本犯罪史上最悪の凶悪事件」を、
フランス人の作家がバンド・デシネ作品として描き出した!
事実に着想を得、かつて実在した宗教団体のテロ事件をめぐる真実の物語、その衝撃の問題作が遂に邦訳化!
1994年、日本の小都市松本。
物語の登場人物のひとりである宗教団体の教祖は、30以上の会社を束ねるコンソーシアム代表をも兼ねていた。
しかし、信者たちにとって、彼はヒンドゥー教の神シヴァの生まれ変わりであった。
だが、宗教に名を借りた彼の組織の真の目的は、「ハルマゲドン」を引き起こし、
日本政府を転覆させることであり、組織の実行部隊を指揮する指揮官は、
松本で致死性の神経性ガス兵器の開発を極秘に進めていた。
しかし、松本は彼らの計画の第一歩にしか過ぎなかった。
1年後の1995年3月20日――後に「地下鉄サリン事件」として世に知れわたることになる恐るべき計画。
それは、第二次世界大戦後、日本で起きた犯罪史上、最大最悪のテロ事件として現実のものとなる!
『テラ・アウストラリス(南方大陸)』(Terra Australis)の作者LF・ボレとフィリップ・ニクルーが手を組んで贈る、
想像を絶する事件の真実を後世に伝え、理解のための手がかりを与えてくれる、驚愕のバンド・デシネ作品、迫真のオールカラーで登場!
【巻末特別対談LF・ボレ×切通理作】
巨大な悲劇、サリン事件とは何だったのか!――事件から20数年。
今なお混沌として、さらなる悲劇を繰り返し続ける現代社会への黙示録と化したこの事件の虚実を、気鋭の評論家、切通理作と『MATSUMOTO』原作者、LF・ボレが徹底解明するスペシャルインタビュー&解説を特別収録!
【切通理作プロフィール】
1964年東京都生まれ。文化批評。著書『お前がセカイを殺したいなら』など、映画、コミック、音楽、文学、社会問題とジャンルをクロスオーバーした批評で注目される。
『宮崎駿の<世界>』でサントリー学芸賞受賞。映画雑誌、文芸誌、新聞など幅広いメディアで時評・書評・コラムを執筆している。
感想・レビュー・書評
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こうして振り返ってみると実に戯画的な事件だったんだなぁと思う。漫画の中のお話としか思えないことが、実際に起きてしまった。
警察の不手際が地下鉄サリン事件に繋がったことは確かだろう。加えるなら、メディアの罪も大きかったと思う。メディアは事件後も彼らを徹底的に異物として扱い、私たちとは違う何かである、と決めつけることでトラウマを乗り越えようとしたが、言うまでもなく、オウム真理教の加害者の一人一人は、我々と同じ社会に生きている人だった。オウム真理教自体、殊更に特別な集団ではない。末端のひとりひとりは普通の小市民で、救いを求めて日々懸命に修行をしていた。
彼らがなぜ暴走してしまったのか。
同じことを繰り返さないために、その構造をわたしたちは明らかにしなくてはならなかった。しかし地下鉄サリン事件以降、日本はオウム真理教と宗教に対する忌避感だけを強め、多くの加害者は法の元に殺された。最早真相を知る手立てもない。漫画同様、後味の悪い幕引きだったことを思い出して、とてもやるせない気持ちになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017/08/19 050
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松本サリン事件を中心に前後の流れを被害者の視点や教団の視点から描いた漫画。丹念に冷静に描くことで当時の警察の捜査力の低さが際立ってしまっている気がする。現在はこうではないこと祈ります。