いとしいたべもの

著者 :
  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418065110

作品紹介・あらすじ

おいしいと、笑顔にちょっと泣き顔がまじるのは、なぜだろう…。ひと口食べれば思い出す、あの時、あの時代。昭和と平成をつむぐ、おいしい記憶をめしあがれ。

感想・レビュー・書評

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  • いとしいたべもの…読んでいてさらにいとしい気持ちになりました!日常生活になくてはならないたべもの、いただきもの、自分へのご褒美にっ♪森下典子先生のいとしいたべものに関するエピソードがいっぱい詰まっています。作中気になったたべものをちょっとだけ…。

    オムライス世代:オムライス、私も大好きです!子供の頃オムライスの日はルンルンでしたね…今は作る方になっちゃったけれども、食べたくなったので近いうちに作ることにします。
    わが人生のサッポロ一番みそラーメン:うちにも常備してます!ロート製薬のCMとコメットさん(九重さんじゃなく大場さんの方ね)が懐かしいっ!(あ…私の年がバレちゃう((^-^;))
    カレー進化論:昔も今もうちはバーモントカレー使ってます!他のルーも使ったことがあるけれどやっぱり、コレに戻ります…。西城秀樹さんのCMも覚えてるっ(あ…墓穴掘ったかな((^-^;))
    父と舟和の芋ようかん:そう、芋ようかんは舟和でしょうっ!私、コレ大好きっ!!これで、晩酌もできるほどに好きです。お取り寄せしようかな…。

    森下典子先生の挿画も忠実で、ますますおいしそうで、いとしくなります。たまらない一冊です。これ、文庫版では「こいしいたべもの」も出てるんですねぇ…そっちも気になります。

  • いや~美味しかったです♪
    真っ赤なケチャップのオムライス・定番サッポロ一番みそラーメン・桐箱に入ったカステラ・たねやの水羊羹・ハウスバーモントカレーだよ~♪・舟和の芋ようかん・鶴屋吉信栗まろ・丹波産松茸・メロンパン・初めて作ったポテトサラダサンド・柳屋の鯛焼き・中村屋のカレーパン・崎陽軒のシウマイ弁当などなど…。
    次から次へと登場する”いとしいたべもの”たち。
    「懐かしい~」「わかる~」「食べたい~」とつぶやきつつ読了。

    特に印象的だったのは、
    #茄子の機微
    十代の頃は、味も香りも栄養だってなさそうな茄子が苦手で、
    小津安二郎監督の映画も退屈に感じられたらしい。
    でも大人になり、その味わいの深さがわかるようになったという。
    (最近そう感じることがよくあります。)

    #鯛焼きのおこげ
    一匹一匹、微妙に焼き上がりの違う鯛焼き。
    人間もどこかがはみ出したり偏ったりして、できが違う。
    そのデコボコがあるから他人から愛され可愛がられる。
    (いいことおっしゃる!)

    #カレーパンの余白
    カレーとパンの間の空洞はパン屋さんがケチだからと思っていたらしい。
    (私もそう思ったことあります。笑)
    しかし、もし空洞がなかったら、かぶりついた途端にカレーが飛び出す。
    何でもみっちり詰まっていればいいわけじゃない。
    (うん、”余白”は大切ですね。)

    #この世で一番うまいもの
    病気のときに母が丸い土鍋で炊いてくれたおかゆ。(同感…。)

    森下さんの食に対するいとしさが、たくさん詰まっていました。
    素敵な挿絵も森下さん作。
    食べ物の本には目がない私の№1になりそうです。

    まずは崎陽軒のシウマイ弁当からいきますか~♪

  • 昭和の食卓や食べ物を通した家族の風景を
    優しく描いている。

    私は遅い子供で、祖母も長命だったので、味の文化としては
    昭和から平成にかけての味を大事に頂いてきた人間と
    思っている。

    だからどの食べ物にまつわるお話も、

    「ああ、わかるわ。」

    と思うことばかりなのだ。

    カップ麺などはおとなになった今でも殆ど食べないし
    インスタント麺も口にしないで生きてきてしまった。
    他の方にお話すると、驚かれるが。

    それ以外、特にオムライスのお話などはよく分かる。
    母も祖母も手際よく作ってくれたっけなと懐かしい。

    カステラも木箱に入ったものを、お菓子のお皿に移し
    祖父と一緒にお紅茶を淹れてゆっくり頂く。

    お到来物のカステラは、大人になればコーヒーとも
    よく合う事がわかる。コーヒー党の祖父なのに
    子供の私に合わせてお紅茶を飲んでくれていたのだと
    気がつくこの頃だ。

    金で縁取られたカップのハンドル。
    すりガラスから入るミルク色の光。
    そんなことまで思い出す。

    たねやの水羊羹は、母とこっそり女同士の相談事を
    しながら食べた。悩みも一瞬忘れる味だった。

    ブルドックソースは今でもキッチンにある。
    バーモントカレーもお馴染みだ。
    ごはんですよは、ちょっと甘いかなと思うけど
    あのロゴとアニメのCMは知っている。

    舟和の芋ようかんは今の住まいに移って
    近くにお店があって頂いた。
    優しい、ひといきつくような味で、ほうじ茶と頂くのが好きだ。
    どういうわけだか和服を着たくなったりもする。

    わかばのたい焼きは、高校三年の夏。
    そばにあった予備校のお昼休み。
    英語の長文が苦手で、半べそで解きながら食べた。

    茄子は好物。ごま油で軽く炒め、甘辛く煮る。
    焼き茄子もいい。しょうがとお醤油、かつぶしを
    ほんのちょっぴり。

    初めて茄子のお味噌汁を作ったら
    茄子が浮かぶことも知らず、ものすごく大きな鍋に
    作って、当時の許婚者に笑われて。

    何も知らないお嬢さん育ちだった自分がおかしい。

    ポテトサラダのサンドイッチは実家を出て
    お手伝いに来て下さる方から美味しいと教わった。

    崎陽軒のシウマイの味は、二度目に結婚したいと
    思った人から、美味しいからとごちそうしてもらった。
    陶器のお醤油差しは、行儀よく食器棚にあるはずだ。

    メロンパンは、パン屋さんで母が、たまにはあなたが
    食べたことがないのにしましょうと選んでくれた。
    この世にこんなおいしいパンがあるの!と
    子供の私は感動した。

    一緒に買ったクロワッサンやプリオシュも、
    マリー・アントワネットのエピソードと一緒に聞きながら
    お紅茶と一緒に頂いた。

    森下さんと私は、世代的にはかなり違うのに
    何故この本が愛おしいのか。

    少しずつ家庭によって違うのだけれど
    慎ましく、食事と家族を大事にしてきた歴史や
    口にしてきたものの共通点が私達を結んでいる。

    恐らく多くの読者の方も、自分なりの味や、記憶の風景を
    呼び起こされておられるのではないか。

    苦しい熱の日のおかゆ。
    ゆきひらで作ってもらったおうどん。

    幸福・口福。

    ああ、本当に。

    私達は、愛されていたのだ。

  • 本のセンスがとても良かった。
    絵もとても素敵。
    たべものが大好きな私が、こんな風に感じてた人が他にも居た事に喜びをかんじた。
    もしや皆感じているのか。
    なんだか心強く嬉しくなった。
    久しぶりに食べてみたくなった、サッポロ一番、カステラ、舟和の芋羊羹
    食べてみたくなった、たねやの本生水羊羹、鶴屋吉信の栗まろ

  • とてもよかった。食べ物や食べた時の表現が絶妙にエロくて面白かった。食べたくなった。

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    おいしいと、笑顔にちょっと泣き顔がまじるのは、なぜだろう…。ひと口食べれば思い出す、あの時、あの時代。昭和と平成をつむぐ、おいしい記憶をめしあがれ。


    エッセイも素敵だけれど、イラストがもっと素敵。
    美味しいものってあったかい、そんな文章とイラストの本。

  • 著者は近い世代なので、色々と頷くことが多かった。
    サッポロ一番味噌ラーメンは父の好物だった。
    ラーメンと言えばそれしか買い置きがなかったくらい。
    人気商品だったのだと改めて知った。
    読んでいるうちに食欲がわいてくるエッセイ。
    挿絵も素敵。

    • 円軌道の外さん
      mow168さん、はじめまして!
      関西出身で東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がない元プロボクサーです。
      かなり遅くなりまし...
      mow168さん、はじめまして!
      関西出身で東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がない元プロボクサーです。
      かなり遅くなりましたが
      フォローありがとうございました(^o^)
      (実は多忙のため2年ほどブクログを休んでおりました)

      この本、僕も読みたいリストにチェックしていて忘れていたのを
      レビュー読ませていただいて思いだしました(笑)
      サッポロ一番はうちの家でも
      塩ラーメンと味噌ラーメンが定番でしたね。
      あと僕は関西出身なので、大阪に本社がある日清食品のチキンラーメンも
      半分はお菓子みたいに生でかじって(笑)、
      残り半分をお湯を入れて、ラーメンにしてました。

      しかし、なぜ世のお父さんと呼ばれる男たちは
      「俺流ラーメン」「俺流焼きそば」をやたらと作りたがるんですかね(笑)
      幼い頃に亡くなった僕の父親も
      月に一度の休日のお昼はたこ焼きか焼きそばを嬉々として作ってくれたし(笑)、
      母親が作る焼きそばと違って
      父親のそれは、ちくわとウインナーとコショウととんかつソースが大量に入っていて
      今まで食べたことのない不健康な味で(笑)
      ホンマ衝撃的でした((((((゜ロ゜;

      だけど、そのワケの分からない真っ黒クロスケな焼きそばが何故か妙にクセになる味わいで…(笑)

      親父のドヤ顔と共に今でも忘れられない思い出です。


      ではでは、これからもよろしくお願いします!

      あっ、コメントやいいねポチいただければ
      必ずお返しに伺いますので、
      こちらにもまた気軽に遊びに来てくださればと思います。
      (お返事は仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが、そこは御了承願います…汗)

      ではでは~(^^)
      2018/01/17
    • mow168さん
      はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      私は関西に住むオバサンです。(笑)
      円軌道の外さんのお父様はクリエイティブな方だったの...
      はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      私は関西に住むオバサンです。(笑)
      円軌道の外さんのお父様はクリエイティブな方だったのですね。私の父の作るラーメンは割と普通で、ただただ、サッポロ一番でした。(^^ゞ
      円軌道の外さんのレビュー、面白く読ませていただいてます。また読む本、参考にさせていただきますね。
      お忙しいとのことですが、お体に気を付けて。
      2018/01/17
  • 同じような世代かなと思ったらもうちょっと上だった。私の世代が無意識でやってたことを、意識してやれる世代かな。
    食べ物は大きく変化しなかったのか、ほぼ一緒だった。

    たべものは、思い出とともにある。母親のおかゆはやっぱり最高においしかったかも。

  • ついニンマリしてしまうので、電車やバスの中で読むのはオススメしません(笑)
    サッポロ一番みそラーメンから、くさや、マツタケまで。豊かになり始めた時代の日本の美味しいものが、それぞれにまつわる思い出とほんわかした挿絵とともに語られれ、どのページも「あるある」と楽しくなる。自分の記憶の奥まった部分が刺激され、そういえば同じような思い出がふんわりと残っていたことに気づく。
    読後、ちょうど届いていたお中元のパンフレットでたねやの水羊羹を見つけてしまい、気になって仕方がない。自宅用に送ろうか、それとも先様にも?
    さてさて、今夜はオムライスとポテトサラダでも作ろうか。

  • 文庫のランキングに入っていたので、読んでみました。
    「わかるわかる」とさらさら楽しく読めました。絵もいいです。イラストレーターの方が書いていると思っていたのに、ご本人が書かれているということで驚きました。

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

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