忘れえぬ東北・ふるさとの鉄道風景

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  • 世界文化社 (2011年9月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418112296

忘れえぬ東北・ふるさとの鉄道風景の感想・レビュー・書評

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  • 被災地にとっては、ある意味残酷なほど美しい風景。復興を希望して止まない。

  • 「あの日から1年、鉄道写真家が見た東北の風景」

    今週末、3月11日を迎えます。

    本日は震災前の東北の鉄道写真を撮ってこられた写真家のかたの声をお届けします。震災後に当社から刊行した1冊の写真集『忘れえぬ東北・ふるさとの鉄道風景』掲載の、編集委員代表の中井精也さんによる「あとがき」からです。

     * * *

    2011年4月。僕は三陸鉄道(さんりくてつどう)の田老(たろう)駅前で、呆然(ぼうぜん)と立ち尽くしていました。国鉄宮古(みやこ)線時代から何度も訪ねた街は、見渡す限り瓦礫(がれき)で埋めつくされていました。饐(す)えたガソリンの臭いと、潮(しお)の臭いが混じり、この世のものとは思えない世界が広がっていたのです。

    陽が沈み、景色が夜に向かうころ、かすかな線路の音とともに、北リアス線の復興支援列車が現れました。瓦礫のなかに煌々(こうこう)と輝くその列車の光は、三陸鉄道の、いや、今回被災したすべての鉄道を照らす、希望の光に見えました。

    この稿を書いている時点で、震災から5ヵ月が経とうとしています。その間に被災地の瓦礫はキレイに除去されましたが、肝心の政治は空回りし、根本的なことは何も改善されていないような気がします。

    我々写真家も、それぞれが物資を運んだり、ボランティアをしたり、募金をしたりと、少しでも被災地の役にたとうとがんばってきましたが、それでも劇的に変化させることは難しく、自分の無力さをふがいなく思う月日ばかりが過ぎていきました。

    そんなある日、ニュースを見ていると、被災された方が津波で流された街の昔の写真を見て、懐かしそうに微笑んでいるシーンに出会いました。そこで我々は、我々が最も得意とすること、つまり鉄道写真で被災地を応援しようと気づいたのです。

    もちろん写真を見るだけでは、直接不便な生活を変えることはできません。でも懐かしい風景を、それも日常の象徴である鉄道がある風景を集めて形にすれば、被災された人たちの心を癒すことができるのではないだろうか? そんなわずかな望みを信じて我々は動きはじめました。

    どんな大きなメディアも、地元に密着した新聞社も、鉄道だけを見ているわけではありません。しかし我々鉄道写真家は、被災した路線の隅々まで、地元の人よりもはるかに緻密に撮影している自負があります。好きだからこそ、愛しているからこそ撮影し、残すことができた風景を、ぜひご覧になっていただきたいと思います。そしてその写真の1枚でもいいから、被災された方の心に届き、明日に向かう勇気に変わってくれれば、これ以上の幸福はありません。(中略)

    被災された皆様の日常が少しでも早く復旧されることを、地震と津波で引き裂かれた線路がまたつながり、みなさまの笑顔を運ぶ日が来ることを、心から祈っています。

    平成23年8月『忘れえぬ東北・ふるさとの鉄道風景』編集委員代表 中井精也

    ~『忘れえぬ東北・ふるさとの鉄道風景』より

     * * *

    上記を書かれた中井精也さんのブログでは、八戸線の陸中八木駅、三陸鉄道の三陸駅近くで車内から見えた虹、福島第一原発から10km圏内の富岡~夜ノ森で撮影された常磐線など、その写真の一部をご覧いただくことができます。
    http://railman.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-ac13.html

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