阪神・淡路大震災と新潟県中越大震災の教訓 トイレが大変!―災害時にトイレ権をどう保障するか

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著者 : 山下亨
  • 近代消防社 (2005年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784421007237

阪神・淡路大震災と新潟県中越大震災の教訓 トイレが大変!―災害時にトイレ権をどう保障するかの感想・レビュー・書評

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  • (2013.06.22読了)(2013.06.15借入)
    災害時にトイレ権をどう保障するか
    【東日本大震災関連・その122】
    「有坂汀」さんのレビューでこの本の存在を知り、図書館から借りてきました。残念ながら「有坂汀」さんが読んだものとは、版が違うようです。
    電気が止まり、水道が止まると快適トイレ生活はできなくなります。
    ましてや避難所暮らしとなると、トイレが不足してしまいます。トイレが使えようが使えまいが、排尿・排便をしないと生きてゆけません。
    かといって、そこらじゅう排泄物だらけでは、衛生上よくありません。
    そこで仮設トイレの登場ということになります。最低100名に1基は必要ということです。設置すればそれで終わりかというとそうはいかず、清潔に保つためのルールが必要であり、一杯になれば汲み取りが必要です。そのためには、管理者が必要であり、使う人の協力が必要です。避難所が解散になれば、撤去も必要です。
    この本を読むと、その辺のところがよくわかります。また、仮設トイレにも、色々なものがあり、使う場面によって、長所や短所がありますので、せっかく入手しても役に立たない場合もあるということです。
    人工肛門や身体障害の方もいますので、その方達のためのトイレも必要ということです。
    トイレが不自由なために水分の摂取を控えて、体調不良になる方もいるということなので、たかがトイレ、というわけにはいきません。エコノミークラス症候群も水分摂取の十分でないことが原因となるということです。

    【目次】
    推薦のことば
    まえがき
    第Ⅰ章 阪神・淡路大震災でのトイレ大混乱
    第Ⅱ章 オストメイトたちの阪神・淡路大震災
    第Ⅲ章 新潟県中越大震災と避難所のトイレ事情
    第Ⅳ章 災害用トイレは進化したか
    第Ⅴ章 トイレ生活危機管理のポイント
    第Ⅵ章 保育園トイレ・シミュレーション
    第Ⅶ章 災害トイレ元年のマンホールトイレ
    第Ⅷ章 阪神・淡路大震災以前の災害トイレ事情
    あとがき
    参考文献
    索引

    ●トイレ場所(17頁)
    非日常の無理難題が続発する中で、やがて、人々は「トイレ場所」を探しはじめた。その場所は拡大していった。体育館脇の排水溝やグランド、子どもが遊ぶ砂場へと……。
    ペーパーの不足、水の不足、囲いのない状態での排泄などのさまざまな制約条件の中で大小便の排泄や生理の処理をすることになった。
    ●生存の基本(22頁)
    「トイレの確保は利便性の問題ではない。市民の生存の基本に関わる問題だ。下水道などのライフラインが回復するまでの間は、仮設トイレとバキューム車によるし尿収集が絶対に必要だ。」
    ●教師が学校に行ってみたら(37頁)
    校舎内の水洗トイレの便器は「便のてんこ盛り」。グランドでは避難住民が「素掘りの穴」を造り排便していた。グランドに張ったテントとテントの間にも平気で排便したから、たばこの吸い殻のようにうんこが落ちていた。これを教職員たちが拾って回った。側溝もすべて「即席のトイレ」になりうんこだらけ。校舎の壁際も同様であった。
    ●天然水利用(73頁)
    須磨区のある自治会の人の話では、須磨では地下水がものすごく豊富に流れていて震災のときも多くの人がこの水を利用していたが、これは町のごく一部の人しか知らなかった。こうした天然水利用の情報をもっと知らせておれば、震災時にも水を利用できて助かったはずだ。
    (僕の場合も東日本大震災の際に、近所の湧水を利用させていただいて、大分助かりました。)
    ●避難所へ(76頁)
    被災者は学校に行かないと給食とか情報が得られないから学校に行くのであって、学校に行かなくても給食も情報も得られるという仕組みにすれば学校に殺到しなくてもいい。学校に行かなくても済む対策も必要ではないか。
    ●食料の配布(141頁)
    避難所で水や食料を配りはじめたら避難所以外の人が殺到して、水や食料が足りなくなった。これは当たり前のことだが、避難所に避難した人以外に自主的にいろんなところに避難している人が大勢いてその実数は掴めていなかった。
    (東日本大震災でも、津波で家を流された人は、避難所か親戚の家に避難し、津波の届かなかったところは、自宅で暮らしたけど、電気が止まり、水道が止まり、店舗が営業できなければ、食べることができなくなるのは、みんな一緒でした。避難所の方の中には、自宅にいる人が、避難所に食料をもらいにゆくと、お前らにはやれないといやがらせをする人がいました。新聞などもそうでした。)
    ●小千谷市(155頁)
    小千谷市内の小中高・総合体育館など八五カ所の避難所・避難場所に設置された仮設トイレは九五五基にのぼった。その結果、総じて「約三○人に一基」という設置率であり、阪神・淡路大震災(神戸市内)で約百人に一基(最終的には六○人に一基)の設置率をはるかに上回ったのである。
    ●エコノミークラス症候群(163頁)
    阪神・淡路大震災でもあったが、新潟県中越大震災でもトイレに行くことを控えたいために水分を摂らないようにする人たちがいた。新聞ではエコノミークラス症候群で死者が出たことと仮設トイレ不足をからめて報道されていた。
    「エコノミークラス症候群の主要因は、水分を充分にとらず血液が濃縮された状態になること。」
    ●一長一短(174頁)
    トイレにはそれぞれの利便性に「一長一短」があるから、組み立て式仮設トイレ(便槽型)のみならず椅子式ポータブルトイレ(囲いが要る)、コンポスト式のバイオトイレ(電気・水が要らない)、常流循環式の仮設トイレ(電気が要る)、「便袋」(ビニール製の使い捨て・受け箱が要る)など、トイレの一長一短の特徴に合わせて協定を締結しておくことをお勧めしたい。
    ●灯り(192頁)
    街灯の下に仮設トイレ二基を移動して明りを取って利用していた。
    ●川口町(198頁)
    町の汲み取り委託費は結局約一千万円の支出となった。こうして、もろもろの避難所トイレ関係経費は一カ月で約三千万円の支出となった。
    ●マニュアル(221頁)
    絶対的に必要なことは、避難所に仮設トイレの使用方法を具体的に書いた「トイレ使用マニュアル」を備えておくということである。

    ◆阪神・淡路大震災
    「災害救援の文化を創る」野田正彰著、岩波ブックレット、1994.11.21
    「大震災復興への警鐘」内橋克人・鎌田慧著、岩波書店、1995.04.17
    「神戸発阪神大震災以後」酒井道雄編、岩波新書、1995.06.20
    「災害救援」野田正彰著、岩波新書、1995.07.20
    「わが街」野田正彰著、文芸春秋、1996.07.20
    「神戸震災日記」田中康夫著、新潮文庫、1997.01.01
    「ヘリはなぜ飛ばなかったか」小川和久著、文芸春秋、1998.01.10
    「復興の道なかばで」中井久夫著、みすず書房、2011.05.10
    「阪神・淡路大震災10年」柳田邦男著、岩波新書、2004.12.21
    (2013年6月24日・記)
    (「MARC」データベースより)amazon
    都市型マルチ災害だった阪神・淡路大震災、都市生活機能を備えた中山間部災害の新潟県中越大震災。この二つのトイレ混乱を回顧して、国民一人ひとりの災害トイレ対応のあり方を問い直し、災害時のトイレ対策の箍を締め直す。

  • 震災の度に叫ばれるトイレの問題、人間の尊厳は守れるのか、いつの世にも臭いものには蓋をする。

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