哲学の木

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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422114309

作品紹介・あらすじ

成長、生命、開花する姿、発達、下から上への成長とその反対向きの成長、母親的側面、老齢、人格、そして死と再生。豊穣かつ生命力に満ち溢れた木のイメージは、人間の心にとってどのような意味を持つのか。

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  • 樹木絵画は内面世界の象徴として豊富な臨床事例から描画例を紹介しつつ深層心理を考察。カバラ生命の木、シャーマンがチャネルする世界の樹、ユグドラシルを結びつけるユングの数ある錬金術研究のひとつ。

  • 自我と無意識の隣にあった…
    科学以前の錬金術が求めていたものは自己であり、魂であった。ことば以前、存在以前を求めた、ギリシアの最初の哲学と同様に。万物は水、火、水銀だのと言う時、それは、現象としての物質ではない。哲学者は魂や自己と呼ぶが、錬金術師はそれを賢者の石・卑俗ならざる金と呼んだに過ぎない。
    ユングは、その意識でも無意識でもない自己を語ろうとして、歴史にその答えを探し、個性・自己に気付いた人のことばの中からそれを語りだそうとした。どうやってそのひとたちが自己を探究したか、不思議にもそのプロセスは似通っていた。そして、そのプロセスの萌芽は集合的無意識という形で、今もわたしの中に在る。意識はそれに意味を与えようとするから、不可思議な象徴として夢に現れる。フロイト主義の狭さは、この意味を与える(還元する)ところばかりに注目して、なぜ、そういう意味を与えてしまうのか、無意識の探究をしなかったことにある。ユングが、超常現象や錬金術の探究をするのは、どうに自己を言いえたのかを知るためである。これを患者に示し気付かせることで、彼は治療を試みたのだ。
    無意識が投げかける、この途方もない、宇宙のようなイメージは卑小な意識にとてつもない苦しみを与える。吐き気であり、自同律の不快。これがもっとひどくなると、自我肥大や神経症へと落ち込んでしまう。
    無意識の投げかける莫大なイメージから、無意識でも意識でもない自己・個性の分離をユングは訴える。そのための、アクティブ・イマジネーション、考えるという行為なのだ。
    存在しない、わからないと言う時、存在するもの。礼拝堂に移った錬金術師たちは、その途方もない存在に打ちのめされた。一方、現象としての物質を探究し続けた錬金術師たちから、科学が生まれた。そこには、ユングが嘆くように魂、存在が忘れ去られている。

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