地中海の覇者ガレー船 (知の再発見双書 88)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422211480

感想・レビュー・書評

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  • 塩野七生さんの”レパントの海戦”を読むための副読本として購入しました。
    前半は、レパントの海戦に至るまでのヴェネツィア共和国のガレー船についてに書かれています。
    地中海交易を支配したヴェネツィア共和国の屋台骨であった海軍の中核をなすガレー船団、それは、レパントのの海戦において黄金時代の頂点を迎え、その後衰退してゆく。
    そのドラマが、レパントの海戦をクライマックスとして語られています
    ヴェネツィア共和国のガレー船団の強みは、自国の自由民が漕ぎ手の中核をなしてい為と思っていましたが、レパントの海戦の時代16世紀の後半には、手工業の発展により漕ぎ手になる国民が激減し、貧者、浮浪者、移民が仕方なく行う仕事もしくは犯罪者が釈放の条件としてやる仕事のなっていた事を知り驚きました。
    後半は、17世紀フランスのガレー船について語られていますが、こちらはもう完全に犯罪者の刑罰であり、ガレー船徒刑囚の話がメインです。こちらの話は、悲惨で残酷なこの刑罰の生々しい実態が、この刑罰を実際に体験したジャン・マルテーユの体験談の引用で描写され、読んでいて気が滅入ってくるほどでした。

    非常にカラフルで当時の雰囲気を伝えてくれるイラストが多数使われており、巻末の資料編では、ガレー船に関する様々な資料が読みやすい形でまとめられていて読んでいて非常に興味深かったです。
    歴史に興味のある方にとっては良書ではないかと思います。

  • 絵が多い。
    絵を描く人間ではないが、ファンタジー世界をかく人には面白いのではないか。
    オール作業の図解などが、個人的に役に立つ。
    読みものとしてなら、ガレー船徒刑囚の手記そのものの方が
    真実は小説より奇なりを地でいく形でお勧め。

  • キプロス島の歴史関係ものとして、図書館で借りてきました。
    ガレー船の存在を知ったのは、SFCの「大航海時代」でした。大きなオールがたくさんついている船ぐらいの認識でした。当時はそのオールが人力で、数多くの人間が劣悪な環境で働かされているとはまったく思ってもみませんでした。
    ガレー船の輝かしい歴史と、その下に潜む暗い影がわかる本です。

  • ●構成
    1 海洋国家ヴェネツィア
    2 ガレー船の黄金時代
    3 レパントの海戦
    4 フランスのガレー船
    5 ガレー船徒刑囚
    資料編
    --
     人間が水の上を航海するためには、船が現在のように推進機関を持つようになる前は、帆で風を受けて航行するか、櫂などで漕いで人力で航行するか、あるいはその両方を採用するか、を選択していた。多いときは200~300人の漕ぎ手を乗せて地中海を駆けたガレー船は。人力で航行する船の代表格といえるだろう。
     本書は、古代ギリシアの時代に既に利用され15世紀末に最盛期を迎えたガレー船について、主に中世の地中海を舞台として、形状や軍船・商船それぞれの使い方、さらには漕ぎ手にまつわる様々な事柄まで、その時々の歴史上の位置付けを見据えながら詳述する。その対象は、十字軍期のヴェネツィアで多用されたヴェネツィアのガレー船、オスマントルコで使用されたガレー船、フランスのガレー船、そして最末期にはバルト海で活躍したスウェーデンのガレー船に及ぶ。
     船の構造や用途だけでなく、ガレー船乗組員の多くを占めた漕ぎ手についても多くの頁が割かれている。初期の志願者としての漕ぎ手と徒刑囚の漕ぎ手の違いも明確にされている。徒刑囚については、その劣悪な環境で想像できないような厳しさの中漕ぎ続けた人々の手記を元に、正面から見据えている。
     全体の半分以上がカラーであり、図版もかなり多く、とても読みやすい。ガレー船に興味がある方は、まずこの本から読み始めることをお勧めする。
    --
    【図書館】

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