アラビア科学の歴史 (「知の再発見」双書)

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制作 : 吉村 作治  Danielle Jacquart  遠藤 ゆかり 
  • 創元社 (2006年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422211916

アラビア科学の歴史 (「知の再発見」双書)の感想・レビュー・書評

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  • 哲学や今日の科学に分類される行為、すなわち学問の考究は、「大学」という制度が創り上げられる前から、知識人により営まれていた。注意するべきことは、学問の発展は、古代ギリシアからすんなりと今日に至っているのではなく、一度中世ヨーロッパで断絶し、その間アラビア文化圏で成熟したことである。

    大学史の前史を紐解いても、この辺りの記述は必ずしも多くなく、もう少し強調されてもよいことだと思った。本書を通読すれば、ヨーロッパで整備された自由七科は、急に12世紀に生まれたのでなく、アラビア・イスラム科学を始原とする部分が、かなり多いことがよくわかる。

    また意外なのは、哲学・科学を研究する目的は、学問のための学問や真理の探究が第一義ではなかった。天文学・占星術・幾何学・医学・錬金術(化学)といった諸学は、人間生活に必要な「実学」そのものだったことである。数学は、測量や貿易等に用いられたという。現代日本の小学校で習う算数(算術)の代数的な分野は、9世紀のインド算術を元にアラビアで発達した成果を、学習し直していることになる。例えば、代数で学ぶ、移項、同類項をまとめるといったことが挙げられる。ちなみに小数が考案されたのは12世紀だった。

    このように大学で扱う内容を、飲水思源で考えてもよいのではないかと感じた。

  • 数学や物理などの定理や公式の発見者を見ると、古代ギリシャか近代ヨーロッパの人物ばかりで中世の話を聞かない。 中世のヨーロッパは教会が支配していたこともあり、自然科学とは相容れない世界だったのだろう。この本によると、古代ギリシアの合理的思考の伝統はそのまま近代ヨーロッパに伝わったのではなく、合理的思考の伝統を継承し発展させたのはアラビア文化圏であるとのことである。本はカラーで挿絵や写真も多く、当時の科学がどういうものだったのかということが、雰囲気でわかってよいが、文章は読みにくく体系的ではなかった。

  • 衰退し暗黒の時期に入ったギリシャ・ローマ世界から科学と文化を受け継いだのは実はアラブ世界だった。そこで栄え発展した科学の歴史についての話。good

  •  サイン・コサイン・タンジェントは占星術だったのですね…。あらゆるものが占星術に結びつき、そのために数学や代数学が発達したというシステムがすごいと思った。医学も占星術の影響を受けている。
     平安時代の陰陽道に通じるものがあるような。質は全く違うけど。
     軽くさわりだけ説明しているのに内容が難しいというか、光の分解や代数や血流が手さぐりだった時代ってすごい。
     そして、言葉の壁って大事なんだなぁと。その言葉を使う人がいなくなると、とたんに内容がわからなくなったりとか。

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アラビア科学の歴史 (「知の再発見」双書)の作品紹介

西欧の歴史家たちは、長いあいだ「中世」という時代を、たんに科学が停滞していた時代だと考えてきた。だが近年、9世紀から15世紀にかけてのイスラム文明が、科学全般においてきわめて高い水準であったことがわかってきた。700年ものあいだ、イスラム世界のなかで文化的中心地が何度移動しても、科学の研究は絶えることなくつづけられたのである。

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