本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (戦後再発見」双書2)

制作 : 前泊 博盛 
  • 創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422300528

作品紹介・あらすじ

原発再稼働、不況下の大増税、オスプレイ強行配備、TPP参加、憲法改正…日本はなぜ、こんな国になってしまったのか?「戦後日本」最大の闇に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 【岸田政権】基地問題に詳しい沖縄国際大大学院・前泊博盛教授「『領域主権論』で日米地位協定は改定できる」|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301188

    マガ9レビュー|本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」|マガジン9 | マガジン9 (2013年6月12日)
    http://www.magazine9.jp/article/rev/5198/

    本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 | 斎藤美奈子 | AERA dot. (2013/4/3)
    https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2013040300011.html

    商品詳細 - 本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3675

  • 米兵が少女を強姦・殺人しても、加害者の人権が被害者よりも尊重されます。オスプレイが皇居に墜落しても、エリアは封鎖され日本人は排除されるでしょう。現行法や憲法を超える規定が日米地位協定です。独・伊などの敗戦国にも見られない米優位の協定の実情を明らかにします。ただ、問題の所在は日本側でしょう。密約にし、責任を逃れ、保身に走る政治家・官僚が付け入るスキを与えているのではないですか?機密文書の公開義務は民主主義の根幹と知りました。

  • 薄々は感じていたさ。日本はアメリカの属国じゃないのかって。
    属国どころじゃなかったよ。敗戦後のGHQによる占領期と
    なんら変わってないんだよな。

    今はGHQじゃなくて、「在日米軍」って呼び方が変わっているだけ。

    本書は「高校生でも分かる」をコンセプトに企画されたシリーズ
    もの第2弾。テーマは「日米地位協定」である。

    先日、姪に「なんでアメリカの軍隊が日本にいるのか」と聞かれて
    日米安保条約と日米地位協定を説明しようとした。ところが、自分
    の頭の中でこのふたつがごっちゃになっていることに気付いて
    勉強し直した。

    Q&A方式で一見分かりにくい日米地位協定について実例を引き
    ながら詳細に解説している。

    日本のどんな国内法より、日本国憲法よりも上位に位置している
    この協定がある限り、日本は「独立国家」なんて言えたもんじゃない。

    在日米軍の人数がどれくらいか日本政府が把握していないのは
    勿論、米軍基地からの出入国なんてオール・フリー。どんな人物が
    いつ入国して、いつ出国したのか。まったく分からない。

    きっとCIAがうじゃうじゃいるんだ~。と、頭の中で陰謀論が発生
    しそういなったよ。まぁ、満更外れてはいないのだろうけれど。

    「思いやり予算」という根拠のない上納金は言うに及ばず、在日米軍
    所属の人間のすることなら犯罪だろうと日本の司法は手を出せない。

    先日、政治家のテレビ討論を見ていた。テーマは集団的自衛権の
    行使について。この番組で自民党のエライ人が「集団的自衛権の
    行使はアメリカの希望だ」みたいなことを言っていた。

    アメリカの為に自衛隊に戦争をさせ、アメリカの為にTPP交渉に
    参加する。あぁ、図らずも日本の政治家の「アメリカ様様」の姿
    を見てしまったよ。

    なぁ、そんなにアメリカが大事?「日米同盟」というけれど、日米地位
    協定が現行のままじゃ日本とアメリカは「対等」ではないよね。

    アメリカ国内では禁止されているオスプレイの低空飛行訓練も、
    日本国内じゃOKっておかしいでしょ。しかも、あいつら、大気や
    土地を汚染する物質を日本の基地に持ち込めるし、万一、汚染が
    ばれた場合も原状回復の義務がない。除染等は日本政府が
    費用を持つのよ~。キーッ。

    「在日米軍基地の問題なんて沖縄だけの問題じゃないの?」って
    思っていたら大間違い。フェンスの向こう側以外でも、在日米軍という
    特権は有効なのだ。

    原爆を落とされ、無条件降伏し、GHQに占領され、戦後復興で
    経済大国になればアメリカに貢がされ。

    日米地位協定と日米安保条約の全文並びに解説も掲載されて
    いるので、今一度、日本とアメリカの関係を考えるのに最適。

  • 全国民、必読の書。
    ただ、一点。Q&A14で、砂川判決の統治行為論を根拠に、アメリカとの条約が憲法よりも上位にあるとしている箇所はいささか議論が雑ではないかと感じた。現実に起こっている事象からしてそう結論したくなる心情はわかるが、本書のタイトルにも関連する大事な論点だったはずなので、もっと丁寧に議論してほしかった。

  • いつまでもアメリカの意向を気にして、いつも何かを押し切られ続けているのを、どうしてなのかと素朴に感じ続けていました。
    原因が、敗戦にあるのはわかっているものの、それでもなぜ?と思っていた謎が、一冊で全部解けます。

    団塊世代は豊かな日本を作ってきた、ということになっていますが、大事なことを棚上げしたまま30年ほどたってしまったように感じます。

    「失われた10年」とばかり目を向けられてきましたが、実際は、「取り戻せない70年」が続いていることがよくわかります。

    東アジアの国が攻めてくることより、何か動きがあって、日本の主要都市のインフラをアメリカが封鎖することの方が、現実におきる可能性が高いのでは、と思わされてしまいます。

  • 日米地位協定自体の不平等ぶりと、その協定にさえない、より不可思議な不平等な話。
    アメリカ人のほとんどが、沖縄自体を知らないのではないかという。アメリカの無関心が、この協定の改訂へのハードルの一つ、ではあろうけれど、とうぜんもう一方の我が国側でどんな力が働いているのか。それこそ原子力問題と似た構図がある。
    ところで、民主党政権がオスプレイ配備に対して、日本からはどうしろこうしろという話ではない、と言ってしまったが、これは図らずも地位協定による権利(の無さ)を白日のもとにさらしたわけで、自民党だったら「厳重に抗議する」などという演技をして、バレないようにしたのであろう、と。さて、では今度の政権は、どうやって「日本を取り戻す」のであろうか。それはそれで、怖いのだ。

  • 本書は「戦後再発見」シリーズの2冊目で、「日米地位協定」の内容や問題点をQ&A形式で解説するPART1と、外務省で地位協定の運用マニュアルとして書かれたという機密文書「日米地位協定の考え方」を紹介するPART2の二部構成である。編著者の前泊博盛は『琉球新報』で記者・論説委員長を務めた人で、現在は沖縄国際大学で教鞭を執る。専門は沖縄経済や日米安保論である。

    日米地位協定は米軍の日本での法的な地位を定めている。この協定に根拠があればこそ、外国軍隊である米軍は日本国内に基地を保有し、訓練などを行うことができる。ところがこの協定には重大な欠陥があり、その欠陥からさまざまな問題が生じている。問題がなぜ起きるのか。本書は具体的な事例を取り上げながらその原因を論じる。

    まずは本書の主張をまとめておこう。

    日米地位協定は「治外法権にもとづく不平等協定」であり、「いかなる場合も米軍の権利が優先する」という特徴をもつ。米軍が駐留するドイツ・イタリア・韓国などが米国と結んでいる同様の協定と比べても、日米地位協定は著しく不平等である(188頁)。

    たとえば、地位協定第2条によって、米軍基地は日本国内にありながら日本の国内法が適用されない。そのため基地は事実上、米国の領土となってしまっている。すべての米軍基地がイタリア軍司令官のもとにおかれているイタリアとは状況がまったく違う。また、地位協定第4条によって、米軍が基地の土壌などを汚染しても、返還時に米軍はそれを元通りに(原状回復)する義務がない。「環境条項」のある米韓間の協定と対照的だ。

    不平等で米軍優先の地位協定は、実際に多くの問題を引き起こしている。

    刑事裁判権について定めた地位協定第17条には、「公務外で罪を犯した米兵について、日本側が起訴するまでは、犯人の身柄を米国側は引き渡さなくてもよい」といった内容のくだりがある。起訴するためには犯人を取り調べて証拠を集める必要がある。しかし日本側は基地に逃げ込んだ犯人を逮捕できない。結果としてこの犯人は罪に問われずに済む可能性が高い。この条項によって「女性をレイプしようと、自動車で人をひき殺そうと、米兵が正当な処罰を受けずに終わるケースが多発する」(142頁)。

    この条項は米兵による犯罪の誘因を高める。2012年10月に起きた米兵(海軍)2人によるレイプ事件はこの典型例である。著者はこう書く。

    「このふたりの米兵は、早朝に女性をレイプしたその日、グアムに移動する予定になっていました。そのタイミングをねらって犯行におよんだことは、ほぼまちがいありません。米兵が日本で女性をレイプしても、基地に逃げこんで飛行機に乗ってしまえば、まず逮捕されることはない。身柄を確保して、とり調べを行なって事件を捜査することが不可能になるからです。」(142頁)

    (彼らを16日未明に集団強姦致傷容疑で逮捕できたのは幸運だったと言える。)

    同じく地位協定17条によって、日本側は基地の内外を問わず、米軍の財産を捜索したり差し押さえたりできない。米軍が17条を盾に取って米軍ヘリを「財産」だと主張すると、警察も含めて日本側は事故現場へ立ち入ることができなくなる。2004年8月13日に沖縄国際大学のキャンパスで起きたヘリコプター墜落事件では、「事故直後、隣接する米軍普天間基地から数十人の米兵たちが基地のフェンスを乗り越え、事故現場の沖縄国際大学構内になだれこんだ」うえで、「事故現場を封鎖し、そこから日本人を排除」した(30頁)。当然、事故原因を調べることはできず、米軍に過失があったのかどうかを知ることも不可能である。

    民事裁判権について定めた地位協定18条によると、民間人に対する損害について米軍のみに責任がある場合でも、日本側には25%を賠償する義務がある。1998年5月に確定した第1次嘉手納基地爆音訴訟の損害賠償金は15億4千万円、横田・厚木も含めると賠償金の総額は25億2千万円にのぼる。つまり、日本は自らに原因のない騒音に対して、6億円ほどを支払う義務が生じた。ところが実際には、米軍の負担額を日本が全額(19億円ほど)立替えて以降、米軍は支払いを踏み倒したまま1円も日本に支払っていない(85--86頁)。

    さらに日米地位協定に基づいて定めた「航空特例法」によって、アメリカ本国では実施できないような住宅地での危険な低空飛行訓練を米軍は日本で行なっている。

    「日米合同委員会」による密室協議で決まったかずかずの「密約」が問題を悪化させている。公務と無関係に(基地の外で)罪を犯した米兵に対して、協定17条は日本側に一次裁判権があると定めている。ところが密約によって、著しく重要な事件以外は日本が裁判権を放棄することになっている。実際、「米兵の公務執行妨害や、文書偽造、詐欺、恐喝、横領、盗品など」の「基礎率は、なんと『0%』。つまり不起訴率100%。まったく罪に問われていない」(76頁)。

    多くの問題をはらんでいるにもかかわらず、日米地位協定の改廃は実現的に見て難しい。「日米地位協定の考え方」を上梓した元外務官僚の口から出た「改定はありえない」という言葉が、著者には非常に印象深かったという。「遠まわりかもしれない」と前置きしたうえで著者はこう指摘する。地位協定を改定するためには、不平等・不条理な日米安保条約や地位協定、沖縄の基地問題にアメリカ人の関心を向けさせること、そして改定を支持する世論を形成することが不可欠である。著者の念頭にあるのは米軍による沖縄での暴政を暴いたフランク・ギブニーの「沖縄-忘れられた島」だ。ギブニーの記事は米国内で議論を呼び、沖縄の占領統治を終わらせるきっかけになったという。

    仮に日本から米軍が撤退した場合、日米関係が悪化し、安全保障上の問題が生じることを懸念する声がある。しかし著者は実際に米軍が撤退したフィリピンを例に挙げながら、この懸念が必ずしも正しくないと指摘する。撤退後もフィリピンと米国の関係は特に悪化しているわけでもなく、米比相互防衛条約はそのまま存続している。他方で、フィリピンからの米軍撤退が中国による南沙諸島の実効支配を招いたという見方がある。しかし中国が得たのは広いエリアの中の小さな島ひとつのことで、この見方は事実とはおよそかけ離れていると著者は反論する。

    日米地位協定について知りたいと考える人にとって、本書はうってつけの入門書だ。付録として掲載された地位協定全文とその解説、PART2で取り上げた「日米地位協定の考え方」による解釈の説明は非常に有用である。またPART2で描かれた「考え方」の全文公表に至るまでのエピソードは、新聞記者としてこのスクープに直接かかわった編著者ならではものだろう。全文を入手してから実際の報道までにかかった7年という年月の長さが、スクープにかかわった人たちの意欲と情熱を伝えてくれる。

    他方で本書全体に流れる感情的なトーンが、ひょっとしたら読者を白けさせてしまうかもしれない。編著者は地位協定の前身である「日米行政協定」を「講和条約や安保条約には書き込めない、もっと属国的な条項を押しこむための『秘密の了解』」(60頁)であり、地位協定を「アメリカが占領期と同じように日本に軍隊を配備し続けるためのとり決め」(17頁)だと見なす。そして地位協定が「現在の日本の混迷の根源」(61頁)だと断言する。こういった見方を大げさだと感じたり、地位協定と原発問題が同根であるとの議論をこじつけだと思ったりする読者も少なくないだろう。書き方を変えれば無用の反発を減らせただろうにと、個人的にはやや残念に思う。もっとも多くの人が地位協定や安保条約の問題点を理解せず、そもそも地位協定の存在すら知らないという現状を踏まえれば、編著者はあえていらだちを隠さずに問題を論じたのかもしれない。

    本書が広く大勢の人に読まれることを望むが、同じ問題を扱いつつも調子を抑えて書かれた、吉田敏浩さんの手による以下の2冊の書籍を薦めたい。1冊目は本書と同じシリーズに収められている『「日米合同委員会」の研究』。もう1冊が『日米戦争同盟』(河出書房新社)である。どちらも地位協定を含めて、関連する問題を広く知ることができる。

  • 今日の日米の外交・軍事における不平等と引き換えに経済的繁栄を優先させた当時の政治家の判断をどう評価すべきか。アベスカに比べればマトモ、私腹のためではなかったハズ⁉︎
    歴史の理解は無論だが、9条と合わせ、では我々はどうすべきか?

  • 芸人の小籔さんに影響を受けて手に取った作品。
    もっと多面的に勉強しなければと思った本でした。

  • 覚え書(手を加えた箇所もあります)

    日本が国連の常任理事国になろうとして外務省が一生懸命画策していたとき、各国から「そんなことをすればアメリカに2票あたえることになるだけだ」という強い反対があった。(p.63、65より)…そういうことだったか。

    1998年確定した、嘉手納・横田・厚木基地騒音訴訟の賠償総額の内、地位協定で定められた75%の米側負担金18億9000万円は結局踏み倒され、日本側が立て替えた。(p.86より)…つまり総額25億2000万円、全部日本がってこと…⁈。

    サンフランシスコ講和条約の日本語の条文は「正文」ではなく「仮訳」。(p.98〜より)…正文がないだけでなく、訳にも「仮」が付くって⁈

    安保条約は「基地を使用する権利ではなく、米軍を日本国内とその付近に『配備する』権利」のこと。(p.156より)…これは知らなかった。

    「米軍基地返還」→「全自衛隊基地の共同使用」→「米軍の永久駐留と駐留経費の大幅削減」(p.165)すごい目論見では…?

    高江のヘリパッド建設の反対運動は、60年代のベトナム戦争時、ベトナムの地形に見立てた演習の場だった。(p.129より)…こういう歴史を背負っているなら反発は当然。

    「在日米軍基地を提供する代わりに、日本全土を守ってもらう」正しくは、その時のアメリカの国益にしたがって、守ったり守らなかったりする。こういう言説を振りまいたのがいわゆる「安保村」の人々。(p.180より)…やはり幻想でしたか。

    同じ敗戦国のドイツやイタリアと比べても、日米地位協定は不平等。韓米地位協定では「環境条項」が創設され、基地内の汚染について米軍の浄化義務を負う。(p.188-189より)…あまりに不条理。

    アメリカは艦船の核兵器搭載について「肯定も否定もしない」という原則(NCND政策)を掲げている。これに対し、ニュージーランド政府は積んでいるかかわらない艦船の入港を認めていない。日本は明らかに積んでいるだろう艦船にも出入国を認めている。「非核三原則」の形骸化。(p.190-191より)…ずっとこの先も弱腰なの?

    60年代には最大1200発もの核兵器が沖縄に配備されていた。日本の国家的方針である非核三原則のうち「持ちこませず」は虚構。(p.210-211より)

    イラク外務省の関係者たちは、米軍地位協定を結ぶ5ヵ月前、5日間の日程で日本を訪れ、日米地位協定について熱心に研究した。(p.213より)…日本が役に立ったのかな。

    フィリピンの場合。「基地の存在はフィリピンの指導者たちを米国の政策や利益に従属させ、米国による内政干渉をまねく」として、中立と非同盟を外交の基本政策とすべきと訴えた。(p.218より)
    フィリピン側は前政権下で結ばれた外交協定を白紙にし、そのうえで新条約を結ぶかどうか米国と交渉をした。(p.220より)
    …このフィリピンのプライド、うらやましい。

    「砂川裁判」。米軍基地をめぐる最高裁での審理において、最高検察庁がアメリカの国務長官の指示通りの最終弁論を行ない、最高裁長官は大法廷での評議の内容を細かく駐日アメリカ大使に報告したあげく、アメリカ国務長官の考えた筋書きにそって判決を下したことが、アメリカ側の公文書によってあきらかになっている。(p.239)

    日米合同委員会。問題は発表されない「内容」の実態。どんなやりとりがあって、なにが合意され、なにが合意されなかったのか。日米安保のかかえる課題に、日米両政府はどのような判断をしているのか。詳細な議事内容の開示が必要なものばかりですが、実際には「表題だけ」が開示されているというのが実態。(p.265より)

    結局TPPとは、いままで安全保障の分野だけに限られていた、「アメリカとの条約が国内の法体系よりも上位にある」という構造を、経済関係全体に拡大しようという試みなのです。(p.267)

    1951年に成立した「吉田秘密外交」の最大の負の遺産、それが日米合同委員会だといえるでしょう。(p.270-271)

    APECの首脳会議でTPPへの交渉に参加することを表明した野田首相(当時)が、ISD条項というTPPの基本知識について、なにも知らなかった。(p.271より)

    国内外の学者、研究者からは「いまだ米国の属領か、被占領国」「米国の植民地」という指摘。(p.281より)

    米軍基地は沖縄県面積の10%、沖縄本島面積の18.4%なのに、県経済全体(3兆9000億円)の5%(約2000億円=基地関連収入)しか経済貢献度はない。また、基地従業員総数は9000人で、沖縄の全労働人口(約62万人)の1.5%にとどまる。成田国際空港は沖縄基地全体の25分の1の面積で経済効果は約5倍もある。嘉手納飛行場を国際ハブ空港化すれば1兆円の経済効果をあげることも可能。(p.391-392より)

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著者プロフィール

前泊 博盛 (マエドマリ ヒロモリ)
1960年生まれ。琉球新報論説委員長を経て、沖縄国際大学大学院教授。2004年、「地位協定取材班」として、JCJ賞、石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞などを受賞。著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門』(創元社)、『沖縄と米軍基地』(角川書店)、『もっと知りたい本当の沖縄』(岩波書店)などがある。

「2023年 『世界のなかの日米地位協定』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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