- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422320564
作品紹介・あらすじ
対人援助職場の職員同士が、「聴くこと」と「自己覚知」をキーワードに良好な人間関係を築き、質の高い利用者支援と職員集団の成長をめざす。全10話の物語仕立てで架空の特別養護老人ホームを舞台に、介護職のみならず他の対人援助職にも当てはまる巧みな設定と事例で構成。
感想・レビュー・書評
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ストーリー仕立てになっていて、「あるある」と思いながら読み進んだ。感情労働の場合、労働としての側面と、人間関係の側面の両方が入り交じる。読んで鍵になったと感じたのは、話を聴いて、聴いた相手に、振り返りをする余裕を与えてあげること。ストーリー仕立ての限界で、振り返りさえすれば、登場人物たちは、レジリエンスを取り戻して、何のためにここで働いているのか?を取り戻していく。(それが自己覚知)お互いがお互いを聴きあい、支え合うことで、職員の人間関係が改善され、ひいてはそれが園全体の良好さをうむという流れ。最後は特老固有の、人が亡くなるということ。死に立ち会うということの意味までいく。
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対人援助は感情職。だから、量的に仕事をこなすだけでは不十分。自分の感情に気づき、願わくば未解決を信頼できる上司と相談したい。それができれば、介護、看護の離職率は改善されると思う。
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特別養護老人ホームで起こる職員同士のトラブルや、ぎすぎすしてしまった人間関係を、スーパーバイザー研修を受講したフロア主任が一つ一つ解決を試みていく話。1章につき1つのトラブル。それぞれの登場人物の設定が絶妙にいそうな感じだし、「この人とこの人はぶつかりそうだよね…」という自然な流れ。
トラブル解決のキーワードは「聴くこと」と「自己覚知」。
人それぞれの価値観・考え方にはそれぞれそのように形成されていった理由がある。それを受容する。
「人は、育てられたように育て、教えられたように教える。」それでも、その後の人間関係で意識的によいものにかえることができる。 -
新人とベテランの対立、仕事のやり方での対立、自分の悪口を聞いてしまう、管理職同士の対立‥介護施設を舞台に、分かりすぎるぐらいよくある現実的なケースが書かれていました。
(個人的に、少し本の趣旨とそれるかもしれませんが、いじめのようなきつい指導を受けてきた女性職員と、見かねて側で助けていた上司の話にぐっときました)
この調整にあたっていく、スーパービジョンを受けている女性職員の視点や、話し方がとても心に残りました。(どちらの面子もつぶさないで、尊重、傾聴しながら、なるべく穏やかに大切な事を言葉にして相手にちゃんと伝える力がある)
職場、集団では必ず、対人関係の対立はある事をあらためて覚えておきたいし、その時にこの女性の視点が1つ自分の中にあると、弱りきらないで、力になるような気がしました。