宮沢賢治の地学教室

著者 :
  • 創元社
3.65
  • (4)
  • (10)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 299
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422440101

作品紹介・あらすじ

宮沢賢治の作品に織り込まれた地学の知識を手掛かりに、高校までの地学の基礎を学び直せる、新感覚の参考書。作品を引用しながら、関連する地学の基礎知識を多数のカラー図版とともに解説します。地学の苦手な文系のあなたも、文学好きの理系のきみも、森の動物たちのためにケンジ先生がひらいた地学教室に遊びに来ませんか。《本書の特長》◆「銀河鉄道の夜」「グスコーブドリの伝記」「楢ノ木大学士の野宿」など、多く宮沢賢治の作品を引用。そこに描かれている地学の世界をひもときながら、関連する地学の基礎知識を学べます。◆宇宙、地球、鉱物、地史、気象と高校の基礎地学に合わせた5章立てで、学校での学習時も参照しやすくなっています。◆オールカラーの図版をたっぷり用い、話題のスケールが大きく全体を把握しづらい地学の内容を、視覚的に理解できるようにしました。◆新しいテーマへの導入や、やや複雑な内容、学習者が抱きがちなちょっとした疑問などは、動物の生徒たちとケンジ先生との会話でフォロー。「わからない・むずかしい」のストレスを減らせるように工夫しました。◆本書を通じて地学の基礎知識を身につけ、ふたたび宮沢賢治の作品を読み返せば、これまでとは違った発見や味わいがあることでしょう。***星空をめぐる列車の旅を描いた「銀河鉄道の夜」や、独特のリズムを持つ風の歌が印象的な「風の又三郎」、素朴で愚直な生き方への憧れを歌った「雨ニモマケズ」など、宮沢賢治の作品は、現在も多くの人に読み継がれ、愛されています。国語の教材や芸術作品のモチーフ、映画の原作などにもしばしば使われていますから、詩や童話の一節なら、誰しもどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。いっぽう賢治は、作家であると同時に、非常に熱心な地学(地球惑星科学)の研究者でもありました。子どもの頃から「石ッコ賢さん」と呼ばれるほどの石好きで、岩手山に登って好物を集めたり、イギリス海岸と名付けた北上川の河床で化石の観察をしたり、故郷周辺の地質調査をしたりしていました。また、賢治が生きた時代、東北地方は地震や津波が集中したり、天候不順による凶作が起ったりと、自然災害に翻弄されました。不作に苦しむ農民を助けるため、賢治は地質や肥料の研究にいそしみ、病気に冒されながらも、死の前日まで農民たちの相談にのっていました。そうして得た地学の知識や、厳しい自然に直面して感じた畏敬や素直なおどろきを、賢治は多くの作品に織り込んでいます。賢治の文学が持つ深遠な世界観は、地学を通して世の中を見つめた結果、生まれたと言っても過言ではないかもしれません。本書は、賢治がさまざまな作品に埋め込んだ地学の知識を発掘しながら、それに関連する地学の基礎知識を学べる新感覚の参考書です。舞台は森の学校。宮沢賢治の大ファンであるケンジ先生が、賢治の作品集を片手に、動物のたちに楽しく地学を教えています。あなたもぜひ生徒のひとりなって、地球や宇宙のしくみを学んでみませんか。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高校の基礎地学を学ぶにはちょうどいい内容。宮沢賢治とはあまり関係ないかなあと思う。いいと思う。

  • 宮沢賢治が地学に精通していて、その知識が作品にたくさん散りばめられていることが分かった。

    この本はあまりにも面白い。

    岩手県のことが中心に、大切に書かれている。
    書いている人は大阪の人なのに、岩手県と宮沢賢治への愛をとても感じる。

    地学基礎の知識もたくさん分かりやすく盛り込まれていて最高。

    三高文系全員読んでほしい。

  • ミニコメント
    宮沢賢治の作品に織り込まれた地学の知識を手掛かりに、高校までの地学の基礎を学び直せる、新感覚の参考書。作品を引用しながら、関連する地学の基礎知識を多数のカラー図版とともに解説します。
     
    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1203449

  • K450
    「地学教師でもあった宮沢賢治が作品内に描いた地学的な知識や表現を手掛かりに、中学・高校で習う地学の基礎を学びなおせるの参考書シリーズ。全5巻。
    賢治の童話や詩を引用しながら、カラー図版とともに宇宙・地球科学の世界を解説。」

    「土神ときつね/イーハトーボ農学校の春/双子の星/銀河鉄道の夜/グスコーブドリの伝記/気のいい火山弾/十力の金剛石/台川/楢ノ木大学士の野宿/イギリス海岸/春と修羅序/柳沢/東岩手火山/風野又三郎/雨ニモマケズ。宮沢賢治作品を多数引用し、そこに描かれている地学の世界をひもときながら、地学の基礎を学ぶ。高校の地学基礎科目に合わせた5章立て。カラー図版をたっぷり収録、森の学校のケンジ先生と、動物の生徒たちとの会話で授業が進むので、地学が苦手な人も楽しく学べる、文系のための地学の本。」

    目次
    1限目 宇宙のしくみ(太陽系;太陽 ほか)
    2限目 地球のしくみ(地球の内と外;プレートのしくみ ほか)
    3限目 岩石と鉱物(岩石と鉱物;火成岩 ほか)
    4限目 地球の歴史(化石;先カンブリア時代 ほか)
    5限目 大気と海洋(大気の構造;大気の役割 ほか)
    放課後(引用作品の解説;宮沢賢治と地学の関わり)

    著者等紹介
    柴山元彦[シバヤマモトヒコ]
    自然環境研究オフィス代表、理学博士。NPO法人「地盤・地下水環境NET」理事。大阪市立大学、同志社大学非常勤講師。1945年大阪市生まれ。大阪市立大学大学院博士課程修了。38年間高校で地学を教え、大阪教育大学附属高等学校副校長も務める。定年後、地学の普及のため「自然環境研究オフィス(NPO)」を開設。近年は、NHK文化センター、毎日文化センター、産経学園などで地学野外講座「天然石探し」「親子で化石探し」「名水めぐり」「地学散歩」などの地学関係の講座を開講。インドネシアの子供のための防災パンフ(地震、津波、火山)の仕掛け絵本を作成し現地で頒布する、ボランティアの普及活動を行っている

  • 宮沢賢治の物語や詩を足掛かりに、高校の地学の内容をおさらいする本。
    賢治先生と、たぬきくん、きつねくん、くまくん、ねこさんの対話を通して展開する。

    宇宙と地球のしくみ、岩石と鉱物、地球史、そして大気と海洋の順に話が進んでいく。
    これは高校のカリキュラムに即したものであるよし。

    全編カラー図版で、読んでいて楽しい。
    ゆるっとしたキャラクターのイラストと、説明のためのかっちりした図版や写真の対比も面白い。
    プレートの移動の模式図や雲形十種の図はとても分かりやすく、現役で地学の勉強をしている高校生さんたちにもきっと有用だろう。

    概ね内容はよくわかった。
    とても良い本だと思うけれど、こちらの知識不足のせいだろうが、わかりにくいと感じたところもある。

    p86の地層についての解説部分のところなどだ。
    地層に見られる模様とあり、斜交葉理と級化成層、漣痕、ソールマークが取り上げられる。
    斜交葉理と漣痕は水平面の模様だと思うけれど、級化成層は断面のことらしい。
    そして、ソールマークは写真になっているのだが、残念ながら解説文を読んでも写真のどの部分がその特徴的な部分かがわかりにくい。
    斜交葉理と級化成層はモデル図になっているのだから、写真の中に書き込みがあってもよいのでは?
    あるいはモデル図に書き起こした方がわかりやすい?
    ここに関しては、ちょっと他の本で調べてみないとな、と思った。

  • 2017 高校の地学の基礎科目に合わせた章立て

    1宇宙のしくみ
    2地球のしくみ
    3岩石と鉱物
    4地球の歴史
    5大気と海洋

    1
    土神ときつね
    イーハトーボ農学校の春
    星めぐりの歌 双子の星
    銀河鉄道の夜

    2
    グスコーブドリの伝記
    気のいい火山弾

    3
    十力の金剛石
    台川
    楢ノ木大学士の野宿
    イギリス海岸

    4
    春と修羅 序
    柳沢

    5
    東岩手火山
    風野又三郎
    雨ニモマケズ


    「記録や歴史 あるいは地史というものも
    それのいろいろの論料(データ)といっしょに
    (因果の時空的制約のもとに)
    われわれがかんじているのに過ぎません
    おそらくこれから二千年もたったころは
    それ相当のちがった地質学が流用され
    相当した証拠もまた次次過去から現出し
    みんなは二千年ぐらい前には
    青ぞらいっぱいの無直な孔雀が居たとおもい
    新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層
    きらびやかな氷窒素のあたりから
    すてきな化石を発掘したり
    あるいは白亜紀砂岩の層面に
    透明は人類の巨大な足跡を
    発券するかもしれません」 春と修羅 序

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/713987

  • とても読みやすく、地学の基礎もわかりやすい。

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

理学博士
自然環境研究オフィス代表

「2022年 『海辺で写す天然石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柴山元彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×