翻訳できない世界のことば

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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701042

感想・レビュー・書評

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  • 挿絵のイラストがまた素敵です。
    日本のことばも4つほどあり、日本人が説明するのも簡単ではない。外国のことばを読むのはむずかしいが、その国の文化もことばに託してあるみたい。フィンランド語にはトナカイ、ドイツあではベーコン、スペイン語の冒険など、納得してしまう。

    WABI -SABI生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと。

    KOMOREBI 木々の葉のすきまから射す日の光。木漏れ日。

    PAZLIUBIT(ロシア語)恋がさめ、ほろ苦い気持ちになる。

    NUNCHI(韓国語)他人の気持ちをひそかにくみとる、こまやかな心づかい、

    FORELAKET(ノルウェー語)語れないほど幸福な恋に落ちている。

    TSUNDOKUもあります。

  • イラストレーターの描かれた本で実に絵が美しいです。好み。

    題名の通りで、その国独特の単語が見開きで1単語ずつ100語ほど紹介されています。
    例えば日本語では「ぼけっと」「侘び寂び」「積読」「木漏れ日」。
    沢山の知らない単語が出てくるのですが、なんかワンコとかにつけたいとか思いました。自分しか知らない言葉っぽくてさ(犬飼ってないけど

    気に入ったり面白かったものベスト5(犬の命名に引っ張られてる気もする
    mangata(Swedish)_水面にうつった道のように見える月明かり
    kilig(Tagalog)_おなかの中に蝶が舞っている気分。
    pisan zapra(Malay)_バナナを食べるときの所要時間(だいたい2分くらいらしい)
    grufa(Arabic)_片方の手の平にのせられるだけの水の量。
    poronkusema(Suomi)_トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離(だいたい7.5 km)

    確かにどの単語も日本に存在しないよね?

  • 原書タイトルは『LOST IN TRANSLATION』。ここで「翻訳できない」とは英語に1対1対応で翻訳できないという意味である。
    このような翻訳できない言葉を音訳でなく翻訳語(和製漢語)に直すという創作をしてみると面白いと思う。

    YA’ABURNEEヤーアブルニー、アラビア語 名詞
    直訳するとあなたが私を葬る。その人なしでは生きられないから、その人の前で死んでしまいたいという美しく暗い望み。

    DRACHENFUTTERドラッヘンフッター ドイツ語名詞
    直訳すると、竜のえさ。夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント。

    TREPVERTERトレップヴェルテル イディッシュ語 名詞
    直訳すると言葉の階段。後になって思い浮かんだ、当意即妙な言葉の返し方。

  • 木漏れ日という言葉が改めて良い言葉だなと思った。木漏れ日のイラストも良かった。

  •  絵がとてもおしゃれだし、載っている言葉も興味深いものが多かったです。
    この本の指す「翻訳できない」というのは、単語→単語にできないという意味で、よく聞くのはデンマーク語のヒュッゲ/Hyggeだと思うのですが、この本には載ってませんでした。びっくり。
     詩のような美しい意味を持つ言葉や、そう来たか!と唸るようなユニークな意味を持つ言葉、また国民性や民族性の違いを感じる表現など、「翻訳できない」という表現で抱く興味から載っている言葉と同じだけ得られるものがある素敵な本だと思いました。

  • 本書では世界各国の言語特有の、他言語に翻訳できない(りんご=appleのように1語対1語で訳せない)言葉を紹介している。

    「人間がものを考えるときは言語に頼らざるを得ない、言語で思考するのだ」といったことを何かで読んだことがある。言語は国や文化によって違う。ある人にとっては当たり前の感覚・概念を、他国の人は持っていなかったりする。でも、それを表す言葉を知っていれば、感覚・概念を共有することができる。言葉の奥深さを感じずにいられない。

    日本語の単語は「木漏れ日」、「ボケっと」、「侘び寂び」、「積ん読」の4単語があった。
    「侘び寂び」なんかは、日本人でもうまく説明するのが難しい。でも、言葉からイメージされるものがあって、多くの日本人はそれを共有している。言葉があるから、そのイメージを意識することができ、人と共有することができる。言葉を多く知ることは文化を知ることに繋がる。


    気に入ったものをいくつか書いてみる。
    どれも説明を読めば、「ああ、確かにそういう感覚あるな」と思う。でもその感覚を示す言葉を持っていないので、ふとした時に咄嗟に口に出すのは難しい。
    そうかと思えば、なんでこんな言葉が誕生したんだろうと思うようなニッチなシチュエーションのものもあって面白い。

    ・commuovere(イタリア語、動詞)
    →涙ぐむような物語に触れたとき、感動して胸が熱くなる。
     面白い本を読んだ時、こんな言葉で表現できたら素敵かもしれない。

    ・mangata(スウェーデン語、名詞)
    →水面に映った道のように見える月明かり。
     美しい夜の情景がイメージされる。

    ・pisanzapra(マレー語、名詞)
    →バナナを食べる時の所要時間。
     どんな状況で使うんだろう?

    ・hiraeth(ウェールズ語、名詞)
    →帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。

    ・tima(アイスランド語、動詞)
    →時間やお金があるのに、それを費やす気持ちの準備ができていない。

    ・kummerspeck(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「悲しいベーコン」。食べ過ぎが続いて太ること。
     「最近ストレスでkummerspeckだよ」とか使うのか?

    ・ubuntu(ズールー語、名詞)
    →本来は、「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す」という意味で、「人の優しさ」を表す。
     Linuxディストリビューションの名前だと思っていた。こんな語源があったとは。
     
    ・resfeber(スウェーデン語、名詞)
    →旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること。
     遠足の前日みたいだ。

    ・drachenfutter(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「龍のえさ」。夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。
     ドイツ人の夫たちの尻に敷かれぶりがイメージされて面白い。

    ・sgriob(ゲール語、名詞)
    →ウイスキーを一口飲む前に、上唇に感じる、妙なムズムズする感じ。
     ウイスキーを飲むことがないのでわからないけど、そういうもの?

    ・kabelsalat(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「ケーブル・サラダ」。めちゃめちゃにもつれたケーブルのこと。
     自分も日常で使えそうな気がする。

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    前に読んだ『甘えの構造』で、「甘え」という言葉は日本語特有のものだとあった。この言葉が日本人の精神構造に大きく影響を与えていて、日本人はそれを誇ってもいいとまで述べていた。
    「甘え」を英語に訳そうとするとどんな単語があるのか調べてみると、「depend on」、「rely on」、「spoil」、「sweet」、「optimistic」、「underestimate」、「easy」、etc…。多くの単語がある。「甘え」はこれらを一語で併せ持つ、奥深い言葉だ。外国人はこの感覚を持っていない。それと同じように、日本人も外国人の感覚を持っていない。

  • 私たちはいま、伝えることを急ぎすぎるのかもしれない。簡単に伝えられてしまうから。上っ面の言葉だけがどんどんと量産されてあふれて、大事な人を傷つけてしまう。本当に大事にしたい人には、ほんとうにゆっくりと時間をかけて、あなたが大切なんですよ、と伝えたい。

    さて本書は色鮮やかなイラストと短い言葉の翻訳がセットになっていて、一単語につき見開き2ページと、じっくり言葉を味わえるようになっている。

    それぞれがまるで絵はがきのようにすてき。一枚ずつちぎって大切な人に贈りたいくらい。素敵な本です。お家が素敵になること間違いなしのインテリア風の本。

    中身はユーモアたっぷりのあるある!と言ってしまうことから、ああーね、と遠い目になる哀愁系、その言葉いつ使うねんみたいなお国柄ものまで幅広く、心の辞書が豊かになります。

  • あぁ、なんて世界は言葉で満ち溢れているのだろう。
    てっきり辞書絵本のようなものを想像していたのだが、その言葉の意味だけでなく使っている人々や光景をも想像させる本であり、久しぶりに言葉を噛み締めつつ読み終えた。
    旅行本ではないのに、世界を旅した気分。
    絵も素敵だし、本好きな人にプレゼントしたくなった。

  • 他言語に簡単には翻訳できない言葉…

    そこには独特の文化が隠されているようでドキドキします。


  • この絵本に載っている素敵な言葉たちを通して、その言葉を使う人たちの大切にしている感情が少し理解できたような気がします(^_^)v

    同じ現実に生きて、同じ物体を見ていたとしても、世の中には知らない表現がたくさんある!言葉の世界はとってもカラフルだな〜!

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著者プロフィール

エラ・フランシス・サンダース
イギリス在住のライター、イラストレーター。著書に"Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World"(邦題:翻訳できない世界のことば)、"The Illustrated Book of Sayings: Curious Expressions from Around the World"(邦題:誰も知らない世界のことわざ)、"Eating the Sun: Small Musing on a Vast Universe”(邦題:ことばにできない宇宙のふしぎ)がある。

「2021年 『もういちど そばに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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