注目すべき125通の手紙:その時代に生きた人々の記憶

著者 :
制作 : ショーン・アッシャー 
  • 創元社
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本棚登録 : 167
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422900322

作品紹介・あらすじ

女王陛下から作家、学者、俳優、市井の人たちまで、時代を越えて人々の心を動かす手紙125通を厳選、手紙原本と解説を添えて紹介する「手紙の博物館」。励ましの手紙もあれば、別れの手紙、抗議の手紙、恋の手紙、詫びの手紙もある。手紙に込められた人々の率直な思いを追体験することは、平凡な歴史書を読むよりもはるかに学ぶものがある。書架におき、折に触れて読み返したくなる1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 世界でもっとも有名なスープ缶、キャンベル社からの手紙にテンションが上がる。そういえば、コロナ禍真っ最中(今もだけど)のときに、キャンベルのチキンクリームだけ手に入らなかった。家族が好まないので他のスープは買ったことがない。意図しないルートで本国でもチキンクリームが一番人気なのだと知ることになった。おいしいもんね。

  • 手紙とは本来他人には知らせたくない想いを記したものである。従ってこの本は人の秘密を覗き見ている側面がある。その秘密は古今東西全く変わらない物である事を教えてくれる。学はないけど、暖かい人柄がわかるルイアームストロングの手紙。南北戦争時の愛する妻と子供を思う手紙。リチャードファインマンの亡くなった妻への手紙。特に愛する人への手紙は心打たれる。一方で元奴隷が雇い主へ送った手紙やヒットラーの甥が書いたアメリカ軍への入隊願いの手紙は強い怒りを感じ別の意味で心打たれる。
    大きいのがなんてんですが、ステキな本です。

  • ノンフィクション

  • 片手に持って読むと手首が折れそうなくらいサイズがでかく重い(フルカラーで紙質が良い)。ファインマンさんとイギーの手紙が心に残った。

    『That's you(きみのことだよ)』なんてイギーに言われたらそれだけで生きていけるんじゃないかしら。

  • 図書館の出入りの本屋さんのおすすめで、比較的大きい本。
    8割くらいカラー。

    手紙のコピーも、そのまま掲載できるものはしてくれている。
    外国語で読めないけど。

    手紙ってものがとても好きで、
    この本にはインターネットや電話とかない時代の手紙も載っている。

    とにかく好奇心が刺激される。
    手紙って、プライバシーの塊だしね。

    これしか通信手段がないとき、人はどんなこと書いたんだろう、とか、
    有名人、芸能人、犯罪者、王妃、
    手紙を書いた人もさまざまなら、
    その書いているシチュエーションも。

    犯罪者から自警団へ送られた手紙、
    元奴隷から前の主人、
    妻から亡き夫、

    いろんな思いが、状況があって、
    もうとにかく、読むの大変なんだけど、
    すごく印象深かった。

    やっぱし手紙っていいもんだな。

    本当に世の中には様々なことが起こってるんだ。
    ほんの一部分、ほんとにほんの一部分にすぎない手紙が、
    こんなに多くのことを伝えてくれるなんて。

    なんか世界中を、
    いろんな時代を見たような気になった。

  • 数年前、皇居三の丸尚蔵館で行われた特別展で、皇后陛下が
    学習院初等科3年生だった時の秋篠宮真子内親王殿下に送った
    手紙を見た。

    「お年寄りの世代が行っていた手仕事について調べよう」との
    宿題について、真子内親王殿下の質問に皇后陛下がお答えに
    なった手紙である。

    明治天皇の后・昭憲皇太后から代々の皇后に伝えられた養蚕に
    ついて、丁寧に綴られている手紙から皇后陛下がお孫様へ
    向ける愛情が溢れていた。

    手紙って、やっぱりいよね。近年はメールでのやり取りばっかり。
    先般も『百年の手紙 日本人が遺した言葉』(梯久美子 岩波新書)
    を読んだが、本書は世界各国の有名無名人の手紙125通を紹介しな
    がら、その時代を感じようというもの。

    「真珠湾、空襲される。これは演習ではない」

    日本の真珠湾攻撃に際して、アメリカ太平洋軍最高司令官から
    ハワイ地域の全船舶に対して贈られた電文だ。演習だったら、
    どんなによかっただろう。

    ウォーターゲート事件に続き、肺炎での入院が重なり踏んだり
    蹴ったりのニクソン大統領の元には、自身も肺縁で入院した
    ことのある8歳の少年から励ましの手紙が届く。

    北軍に解放され自由のみとなった元奴隷は、つましいながら
    も家族一緒に幸福な生活を築いていた。その彼の元には元
    主人から、帰ってプランテーションの再建に協力してくれ
    との手紙が届くのだが、元主人の支配下で送った生活を
    振り返りながら正義正しくもきっぱりと提案を拒否する
    返事には感動さえ覚える。

    徴兵されたエルビス・プレスリー。ファンの女の子3人が連名
    で大統領宛てに出された手紙には「どうか彼のもみ上げを切ら
    ないでっ!」との悲痛な叫びが。ファン心理だよね、分かるわ。

    「寝言は寝て言え」

    白人至上主義者に送られたアラバマ州検事総長の手紙は簡潔
    にして痛快。

    難題が山積して気難しくなっていく夫ウィンストン・チャーチル
    を心配し、「あなた最近冷たくなったわね」と諌める奥様の手紙
    も素敵だ。

    物理学者リチャード・ファインマンが最愛の妻の死後に書いた
    ラブレターの追伸が哀しい。「すまないが投函はしないよ。
    きみの今の住所を知らないんだ。」

    実際の手紙や電報の写真も掲載されており、どこから読んでも
    大丈夫。ただ、大型本なので私は家の中でしかよめなかった
    けどね。通勤時に持っていく勇気(?)はありませんでした。

    内容はいいんだ。手紙か書かれた背景の解説もあるし。でもね、
    このセンスのないタイトルはどうにかならなかったのかしら。

  • メールやLINEに慣れた今、手書きの手紙はそれだけで心を打つ何かがあります。

    自由を得た黒人が元主人に宛てた手紙。
    アフリカ系アメリカ人の少女4人が死んだテロ事件の再捜査を命じたアラバマ州検事総長が、白人至上主義者であるエドワード・R・フィールズから受け取った、再捜査を非難する脅迫状に対する返事。(一言だが痛快!)
    統合失調症患者の女性が夫に書いた「来て、来て、来て」の文字だけがびっしり並んだもの。

    手紙の書き手は著名人から無名な方とさまざまですが、語り継いでいくべき価値のある、心を打たれるものばかりでした。

    重いし高価な本ですが、こういう本こそ書棚に置いておきたいと思わせる本です。

  • 女王陛下から作家、学者、俳優、市井の人たちまで、時代を越えて人々の心を動かす手紙125通を厳選、手紙原本と解説を添えて紹介する「手紙の博物館」。励ましの手紙もあれば、別れの手紙、抗議の手紙、恋の手紙、詫びの手紙もある。手紙に込められた人々の率直な思いを追体験することは、平凡な歴史書を読むよりもはるかに学ぶものがある。書架におき、折に触れて読み返したくなる1冊。

  • 20150507読了
    大判の分厚い本。イギリスの文筆家が編者。128通の中には、直筆の手紙がそのまま掲載されているものもある。どれもそれぞれに興味深い。特に印象的だったもののメモ。●No.8 19世紀、身体的な奇形を患っている男性(通称エレファントマン)を収容しているロンドン病院が、一般の支援を求めるためタイムズ紙に送った手紙。●No.36 20世紀。ノーベル賞を受賞した物理学者ファインマンが、亡くした妻宛てに綴ったラブレター。すごく切ない悲しみに満ちた手紙でじんとしたが、調べると彼は3回結婚しており、これは死別した1人目の妻宛てだった。このときの悲しみを乗り越えていたのねと思った。●No.101 1971年、レーガン大統領から養子の息子へ。息子が結婚するにあたって書いたもの。残るフレーズが多く、思いやりにあふれた手紙だった。「おまえは人生で最も意義深い関係を築き始めたところだ。この関係はおまえの決意次第でどんな形にもなりうる。」「結婚という器に自分が持っているものの半分しか入れない男は、得られるものも半分だけだ。」「真の立派さとは、自分の男らしさも魅力もたったひとりの女性に示し続けていくという挑戦にこそあるのだ。」●No.125 1945年、のちに「スローターハウス5」等の作品で世に知られるアメリカ人作家カート・ヴォネガットが、第二次大戦中にヨーロッパから書き送った手紙。ドイツの捕虜となり、あのドレスデン爆撃を経験している人。小説を読んでみたい。

  • 図書館で予約していたら少し大きな本でびっくり
    便箋の味わい、その人特有の字体が実寸大で感じられてとてもよかった
    補足説明や日本語訳もわかりやすく、なによりも読んでいると手紙を出したくなる

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著者プロフィール

北川玲(きたがわ・れい)
翻訳家。『美しい電子顕微鏡写真と構造図で見るウイルス図鑑101』(創元社)、『メタモルフォシス:リック・ベイカー全作品』(河出書房新社)など訳書多数。

「2022年 『世界を変えた146人の子ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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