開発経済学 新版: 諸国民の貧困と富 (創文社現代経済学選書 11)
- 創文社出版販売 (2000年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784423895511
作品紹介・あらすじ
新版作成にあたって、資料の全面的な更新や説明の改良などに加え、いくつかの項目を加えた。最も大きな追加は1997年に始まるアジア金融危機についてである。理論的には、ソロー=スワン型の新古典派的成長モデルおよびルーカス=ローマー型の内生的成長モデルについての解説を付加した。
感想・レビュー・書評
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開発経済学のあらゆる領域をカバーしている本です。理論も実証もまんべんなく書いてあって,開発経済学の分野では必読のテキスト(文献)なんだと思います(専門領域ではないので未確認ですが)。
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自分の中で、開発経済学のテキストとしては最高峰。理論・叙述・実証・問題提起、どれをとっても申し分なし。新版はでないのかな。
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開発経済学の入門書として読むならば、トダロ=スミスやアジ研の「開発経済学」のほうをお勧めします。本書はどちらかと言えば、主流の入門書ではないように思えます。開発経済学の基本トピックス+新制度学派+成長エンジンとしてのイノベーションという三つの土台から議論を展開されているのが本書です。
本書の特徴は速水の「誘発的革新論」という独自の視座から経済開発を論じている点です。ロジックはシンプルで「ある生産財Aが相対的に希少となれば、経済成長への制約となる。しかしながらある生産財Aの相対価格が上がることで、経済プレイヤーにはその生産財Aを節約するような新しい生産様式=イノベーションを発見するインセンティブが付与され、経済制約は突破される」というものです。
速水は成長理論として「成長エンジンとしての資本蓄積」を検討したうえで、「長期的成長には資本蓄積は重要でなく、イノベーションが成長エンジンとなる」というソローモデルからの含意を引用し、前述の誘発的革新論を用いて経済変化のダイナミクスを論じます。
もう一つ本書の特徴として、「地域共同体の開発における役割」を論じている点です。レビューが長くなるのでこの点は省略しますが、このテーマに関心をもった読者にはオストロムの"Governing the Commons"をおススメします。 -
開発経済学の日本語の教科書としては完成度が高い一冊。内容も網羅的だし、特に成長パターンを「マルクス型」「クズネッツ型」に分類した解説は分かりやすい。著者の主張への賛否はともかく、便利な本。