車掌

著者 :
  • ヒヨコ舎
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本棚登録 : 103
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434030673

感想・レビュー・書評

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  • 歌人の「穂村弘」さんと、イラストレーターの「寺田克也」さんのコラボ短篇集(2003年)で、穂村さんの書かれた小説に、寺田さんが絵を付けており、内容は、やんちゃな子どもから、哀愁滲ませた男までと、穂村さんの中にある男の世界を表現しているように、思われました。

    「こどもカー」は、全文漢字の無い、児童書を思わせる雰囲気にぴったりの、男の子なら誰もが一度やってみたいけれど、大人の目があって出来ないことを、実際にやってみたという、子どもの危うさを描きながら、爽やかさも同時に感じられるのが、新鮮でした。

    「車掌」は、ショートショートだからこそ笑える、不条理作品で、この短さには現実感が乏しく、まるで夢か幻だったのではないかと思えるくらいが、ちょうど良く感じられる、一発ネタ的な面白さ。

    「珈琲ビートル」は、タイトル通り、珈琲好きとカブトムシ好きには、たまらない内容で、子どもっぽい勝ち負けの間に入り混じる、大人の芳香が切ないファンタジー。

    「なつ」は、ちょっとやんちゃな男の子の、目まぐるしく移り変わる、ひと夏の思い出を、感じるままに描いた、なんてことないかもしれないけれど、どこか印象に残る作り方が、穂村さんらしくて、冒険心あるところは、映画「スタンド・バイ・ミー」を思い出させたし、第一歌集の「シンジケート」の匂いも感じられました。

    個人的に最も好きだったのは、「フォトグラフ」で、junaidaさんの「の」みたいな感じというか、世界の広さと世間の狭さの面白味を存分に味わえて、ちょっと惚けた雰囲気も良いです。
    それから、寺田さんの「女王さま」の上品な色っぽさが素敵で、こういう描き方、とても憧れます。

  • 2010/7/6

  • ちょっと説明不足の感が。

  • うん、まぁ しかたないよね
    穂村さんは車掌さんを見たことがないんだもんね。
    考えてみたら私も見たことないから、否定できないんだな。
    夜の電車で会ったら怖いなぁ。
    気をつけよう。
    気をつけると言えば、私のとこにはいないのか、つい豆袋をチェックしそうになっている。
    いたら良いなぁぁ。
    と、連想が好きな私は通勤途上に写真館が2件あってちょっとどきどきしている。

  • 短編集、なのか、絵本なのか、童話集なのかわからないけれど、不思議な世界観がうつくしい鉛筆の絵とマッチしていて、なかなかおもしろくて読みやすい。
    車掌はムキムキじゃないし、目も光らないし、乗客の首を絞めたりもしないけれど、まあ穂村さんが車掌を見たことないっていうんだから、しょうがないじゃない。しょうがないんだってば。ストリートファイターに出そうで、夢に現れそうな車掌さん。

  • 掌編小説のような、詩のようなホムラさんの文章と、独特なボリューム感の寺田克也さんの絵のコラボ。
    今さら知ったけど、すごい取り合わせの本があったもんだ。
    こういう本が発売されているという事実に感謝。
    表題作の「車掌」いい。車掌ってこういう感じなんだと思う。

  • ふわふわとした夢の中のような、作者の妄想を味わうお話だと感じました。個人的にはこういうの大好き。とくに「フォトグラフ」はベットタイムストーリーにちょうどいい。
    絵も素晴らしいです。寺田克也さんの絵を見るのは初めてだったのですが、文章と絵がマッチしていて、まさに夢・幻想の世界へ連れて行ってくれる感があります。気に入った絵は「フォトグラフ」のフランケンシュタインと女王さまの絵。調べてみたらこの寺田克也さんはメアリ・シェリーのフランケンシュタインの挿絵も描かれているのですね。そっちも読んでみたいなあ。
    5本のショートショートでしたが、お気に入りは「フォトグラフ」と「珈琲ビートル」。
    今度作者穂村さんの対談を聞くことになっているので、楽しみです。

  • 限りなく絵本に近いショートショート。

  • 独特の世界観と車掌の画にやられたw
    こどもが運転する話が1番印象にらのこってます。
    著者の他作品も気になるー

  • 今まで読んだ穂村弘作品と比べてシンプルすぎるというか、世界が歪まない・・・.

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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