地域通貨入門―持続可能な社会を目指して

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著者 : 広田裕之
  • アルテ (2005年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434062612

地域通貨入門―持続可能な社会を目指しての感想・レビュー・書評

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  • 地域通貨に関する話と金利についての問題は、必ずセットで語られる。指摘すべき問題点は確かに的を射ている。しかしその解決策が減価するお金・地域通貨ですよとなると、同じ通貨の話でも語るべき階層が異なるように思えてならない。
    減価通貨のように無理矢理通貨の回転率を上げたところで、結局それは通貨保蔵が嫌われた結果にすぎない。確かに雇用は生むだろう。しかしそれが有益な投資に向かう保証はなく、ただの無駄遣いに使われる恐れだって十分ある。それにみんなが保蔵を嫌えば、資本の蓄積は起こり得ず、資本主義の根底原理が崩れることになるだろう。だからダブルスタンダードだとなるのだろうが、それなら最初に提起した金利負担の問題解決につながらない。
    減価するお金を導入するより、今の円を金利負担なく貸し付ける仕組みを広げるほうが効果的だろうし、地域通貨導入と金利問題・経済活性は分けて考えるべきである。地域にある資源でもって、そこに住む人々を効率よく支えるための仕組みとして、地域通貨を位置付けるべきではなかろうか。

  • とうとう政府紙幣という概念が出てきました、無利子の国債だそうです、とうとう財政破綻がせまってきて利子を払う国債を発行するのが難しくなってきたのでしょうか。

    国が破綻した場合には、その国の通貨は使うことは事実上できなくなります、外国ではその場合には地域通貨を使用して、人々は生活していたようです。地域通貨というのは、つい最近までは、失敗した例ばかりが取り上げられていて、イメージがあまりよくなかったという印象を受けていましたが、国の破綻が起こりそうな雰囲気になってきた今、それらのメリットはどこにあったのかを勉強しておくのは良いと思い、この本を読んでみました。

    本当は今のままの通貨を使い続けたいのですが、10年後が不安でもあり、少しだけ楽しみでもあります。

    以下は気になったポイントです。

    ・初めは航海ごとに資金を集めては儲けを清算していたが、そのうちに永続的な事業体にしたほうが効率であると気づいて、株式会社となった、出資者は定期的に配当金という形で儲けの一部を手にするようになった(p12)

    ・今の金融制度では、お金の管理という観点からは、政府も一般市民も違いが少ない、特に外国から投資をたくさん受け入れている場合(p18)

    ・金利システムとは、ガン細胞の成長曲線と同じで、がん細胞が宿主を食い尽くす(p26)

    ・地下鉄、高速道路などの公共財を建設する場合、金利の存在が大きな障害となる(p29)

    ・減価する貨幣を導入した場合、利率がマイナスでもお金を貸す人が現れる可能性がある、100万円が1年後に88万円となる場合、95万円で貸すほうが有利(p37)

    ・日本円というルールに問題があるのであれば、日本円と同時並行に自分たちの「交換手段」を使っても良い、これが地域通貨を使う理由(p44)

    ・大恐慌の時代から1950年代にかけて、ドイツ・フランス・アメリカなどで、減価する貨幣をとりいれた地域通貨が発行され、成功した(p64)

    ・古代エジプト文明において、庶民が少ない労働時間でぜいたくな生活を楽しめたのは、諸外国との取引で使用する通貨以外に、国内取引において、小麦を担保にした減価する貨幣が使われていたからである(p70)

    ・政府が自分の手で(担保がないまま)直接お金を発行し始めると、お金が余ってインフレが起きて大混乱となる、軍票を発行して軍事物質の調達に支払って、戦後に紙切れとなったのと同様(p105)

    ・アルゼンチンの地域通貨(交換クラブ)が失敗したのは、企業間取引向けの仕組みが整備されていなかったことによる(p117)

    ・イタリアのLIBRAシステムでは、1週間で1%、1年間で約半分というペースで、ポイントをNPOへ支援することになる(p130)

    ・ドイツのREGIOでは、1ヶ月で1%減価する仕組みが採用されている(p139)

    ・世界貿易の10~15%に及ぶ1兆ドルの商品・サービスがお金を使うことなく、現物交換で取引されている(p168)

    ・1つの国全体で苦しくなった場合には通貨を切り下げられるが、国内の一地方が苦しくなった場合(西ドイツが東ドイツを合併)には、膨大な予算をかけて、その地域の立て直しが必要となる(p177)

    ・19~20世紀にかけて欧米、日本が植民地の拡大に熱心になったのは、販売先・仕入先を確保するのに植民地化が手っ取り早かったから(p180)

  • 世界は行きつ戻りつついながら少しずつ良くなっている。
    長い人類の歴史を見る中で間違いなく僕はそう思っています。

    但し、多くの先人の努力、意識や技術の変革を繰り返しつつスパイラルに良くなっている。
    今の時代は、経済に関する意識とシステムの変革が、良いベクトルに向かうかどうかの分水嶺になっているのだと思うのです。

    経済に関するイデオロギー論争。資本主義と社会主義の二極論が冷戦終結で国際経済での雌雄がほぼ決してしてしまってから、アメリカ型の資本主義・個人主義が暴走していまったように感じています。そして資本主義の機能不全が顕在化することで、改善しいくことが必要な問題も明確になっているように思います。

    これからの経済に関する社会システム、特に貨幣制度の革新をもたらすことができるかどうかが鍵だと思っています。

    エネルギー・資源問題とデジタルデバイドに関する対応をしながら、Web補完通貨による二重通貨制度が実質的に運用できるよようになれば、プラスのベクトルへの強力なツールになると思うのです。

    この本は、入門の名の通り200にも満たないページの中で(視点の偏りは多少あるかも知れませんが…)関連する一通りをまとめた大変わかりやすい良書だと思います。


    ということで備忘録としての読書Memoです。


    ■今の経済の問題点

    経済成長について

    ○成長曲線
    ・自然界の成長
    ・比例の成長
    ・指数曲線=がん細胞=複利システム
    ○トービン税
    ○ヨベルの年
    ユダヤ・キリスト教のシステム
    ○ブレトン・ウッズ体制/金本位制廃止
    ○現在の通貨システムは中長期的な投資に不利
    (シュテファン・ブルンフーバー「将来の経済」)

    【まとめ】

    1.お金の3つの機能&矛盾
    ・価値尺度&交換手段←→貯蓄手段
    2.株式会社の使命
    ・株主の利益
    3.グローバル経済化による先進国での雇用
    4.お金の管理者=中央銀行は無力
    5.富の格差の拡大
    6.持続可能でない今のシステム
    ・自然原則から逸脱した成長=金持ち優遇システム
     ⇒福祉/教育に十分お金が回らない(特に発展途上国)
    7.アメリカに有利な米ドル本位制
    8.持続可能な事業にお金が回らないシステム
    ・中長期的な事業/環境保護事業などにお金が回らない


    ■お金について

    ○「お金とは、何かを交換手段として使おうという地域社会内での合意である」
    ○現在の通貨システムの特長
    ・私有制で、私企業の手で私企業の利益に沿う形で運営
    ・コスト高
    ・退蔵可能
    ・80/20の法則
    ・持続不可能


    ■シルビオ・ゲゼルから続く意志

    ○「ここで議論される経済秩序は、まさに人間の『自然なあり方』にかなったものである、というような意味で自然的である」
    自然、本質、本性
    ○減価するお金
    ○補完通貨:ベルナルド・リエター「マネー なぜ人はおカネに魅入られるのか」陰陽経済論
    ○電子通貨による「減価する貨幣システム」
    ○ソーシャルバンク
    ・ボランティア労力銀行、さわやか福祉財団「ふれあい切符」
    ・倫理銀行
    ・JAK銀行
    ○高齢者「子守」⇒地域通貨⇒生活費
    ○地域通貨
    ・REGIO
    ・LETS
    ・タイムダラー
    ・アルゼンチン「交換クラブ」
    ・エコビレッジ「EKO」
    ・クレディット
    ・LIBRA(ラテン語てんびん) ミラノのボッコーニ大学 ボーナスポイント⇒ドーナスポイント
    ・LAVA
    ・NGOストロハイム LETS
    ・WIR銀行(ヴィア)
    ・キームガウアー紙幣
    ・SEL/SOL(フランス)
    ・REKA
    ○バーマカルチャー
    ○コレクティブ・インテリジェンス
    ○バーターカード・ネットワーク


    ■持続可能な社会

    「持続的な開発とは、未来の世代が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズが満たされるような開発である」(地球サミット)
    短期的に儲かる投資に資金が集まりやすい陽通貨から補完通貨
    FEASTA 二酸化炭素の排出権  ebcu


     
    【目次】

    第1章 今の経済の問題点(今の経済の問題を考える
    お金の三つの機能とその矛盾 ほか)
    第2章 お金について考える(お金とは何か?
    補完通貨の考え ほか)
    第3章 地域通貨から補完通貨へ―日本経済の抱える問題と補完通貨(少子高齢化
    フリーターが増える日本 ほか)
    第4章 世界の補完通貨の実践例(外国から学ぶ
    LETS(地域内交換システム) ほか)
    第5章 持続可能な世界に向けて(持続可能性とは?
    持続可能な社会の具体像 ほか)

  • 分類=地域通貨・エコマネー。05年8月。(参考)Miguelの雑学広場→http://www3.plala.or.jp/mig/index-jp.html

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現在の経済制度の弊害を剔出しそれを補完する新たな通貨システムを構想する。地域通貨の斬新な理論や実践例にあふれた意欲作。

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