ゲ-ト: 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (1(接触編))

著者 :
  • アルファポリス
4.17
  • (67)
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  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 548
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434142352

作品紹介・あらすじ

20××年、白昼の東京銀座に「異世界への門」が突如現れた。中からあふれ出た「異世界」の軍勢と怪異達。一瞬で阿鼻叫喚の地獄絵図と化した銀座。日本の陸上自衛隊はただちにこれを撃退し、門の向こう側『特地』への偵察に乗り出した。オタク自衛官、伊丹耀司二等陸尉(33)は『特地』の帝国軍勢を退けながら、異世界人達と奇妙な交流を持つことになる…異世界戦争勃発!ネットで人気の超エンタメファンタジー、待望の書籍化!

感想・レビュー・書評

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  • 異世界×自衛隊である種の最強モノ。
    そういうと戦国自衛隊を思わせますが、あちらが一方通行で補給ナシ! 行き着く先は現地に呑みこまれる悲劇でしかなかったのに比較すると、こちらはとてもライトです。
    分量は割とヘビィですが、同社アルファポリスが発刊している同レーベルの中では屈指のお得感。

    さて、こちらは制約ありとは言えちゃんと補給あり、行き来可能です。そこが何度もポイントになるのですが。
    コテコテの属性てんこ盛りのヒロインたちとか、カリカチュアされた各国の政治家たちとか、徹底的に娯楽作に徹しているのが清々しくあります。
    作者は元自衛官の方だそうで、地球側の政治劇については一貫しており、人は選びますが痛快。
    ただしあまり深くはありません。基本的にこのシリーズは”特地”なるファンタジー世界が主舞台なのでそこを細々とやられても論点がズレるというのもあります。

    基本的にその辺の要素は地球側にファンタジーの住人が来訪する一巻と、あとは各巻に細々と喧しい政治事情が挟まれる程度と考えてください。
    主人公は自衛官であり、自身の意見はあるもののいわゆる昼行燈のやる気ないタイプの中年、加えてオタクということもあってあまり嫌味を感じさせないので中和されているというのもあります。

    ただし一方で人の生き死に含めて茶化すような雰囲気が含まれているのが弱点と言えば弱点でしょうか。
    最強モノの宿命と言えば、そうかもしれませんが。
    いきなり日本人・異世界人双方の虐殺から始まるなど、割と情勢は緊迫しているはずなのに主人公はのほほんとしてるわ、とりあえず軍人相手とはいえ十万単位での鏖殺を自衛隊は耐えられるのか、とか。
    その辺は主題とは関係ないのか特に説明なく流されるのでその辺が苦手な方は回れ右です。
    目を瞑らないといけない点は多いことはご承知ください。

    話の流れとしては王道。
    毎回、現場と上層部の認識のズレや悪辣な敵に悩まされるストレス、そこから自衛隊の圧倒的な力によって解放されるカタルシス、思わずやっちまえと言いたくなるその構成は特に三巻で顕著です。
    設定上も狭い門〈ゲート〉を通してしか異世界との間を往来できないという事情があるため納得です。
    読めばわかりますが、この制約によって話が出来ていると言っていいほど重要なのです。

    一巻ではその辺りの分量が前半に回され、後半はよく考えると「ん?」なポリティカル・アクション的な解法なので萌えとか小ネタとかに誤魔化されない人は導入編と割り切ってください。

    導入と言えば、作品はそうですが門〈ゲート〉と言うタイトルに象徴されるような双方の行き来、異文化交流の幕開けについてです。
    言葉の問題はさっさと流し、ファンタジー世界と現代日本が出会ったらどうなるか? 
    読者は自衛隊と言う力の担保が背後にいる安心感を感じつつ、萌えと猟奇に彩られた世界を探索できます。

    自衛隊と言う職自体がある種の異文化であると言えるのでその辺の説明もしつつの、異世界へのワンクッションなのかもしれません。
    こちらで言うゴスロリ服があちらの神官服など、あざといと見せた要素が案外理に適っていると言えば、わかったようでわからない話ですが。
    コテコテな萌え的なパーツを散りばめられた読みやすさは人を弾く一方、ハイ・ファンタジーへの入り口となりました。

    ひとつの前提として現実の国際情勢と中韓に辟易している悩める愛国者にはおすすめの一冊です。
    異世界を通じて日本と言う国が好きになれます。
    よくよく見なくても作品中での総理の交代が小泉→安倍→福田→麻生のそれと一致していると言えば、勘のいい人は先を察せるかもしれません。

    web小説から商業化されたものとしてはこの手のジャンルの嚆矢であるとともに、後続への手本と言うべきこの作品でした。

  • 私の好きな自衛隊モノとファンタジーが一気に読めるとは!と気になっていた。読んで良かった。
     
    特に戦闘シーンのドラゴンとの戦闘と異世界の市街地防衛戦が好き。
    魔法の筒をもった緑色の人達が魔法の呪文を唱えてドラゴンを倒した!と噂になる場面、ワーグナーのCDを用意したヘリによる空中機動作戦は面白かった。
    ただ、ロウリィが出てくるとファンタジー世界の登場人物にしてもちょっと異質な感じがしてしっくりこない気がする。

    描写も細かくて、言葉が通じなかったり、日本では当たり前の事が異世界では謎の行動だったりして上手くいかないのも面白かった。

    登場人物の中では嘉納さんが良かった。

    さらに異世界の資源などについて日本と周りの国々との外交問題も絡んできて続きが気になる。

  • 図書館でちらっと見て興味をもって借りて読み始めた。

    宣伝文句では「累計600万部突破」と書いてあり、そんな大ヒットを知らないとはと興味を持った。また設定が実にばかばかしくて逆に気にもなった。
    その設定とは、突然異世界の門が銀座に開いて、異世界からの攻撃があったので、自衛隊が対処し、防衛出動と称してい異世界の門を逆に進出、そして・・・、といった内容。戦国自衛隊の異世界バージョン。また主人公が単なるアニメオタクで仕事はついでという、不真面目自衛官である事もきょうみをもった。
    さらに異世界には、エルフや魔法少女、異世界の神に仕える使徒といった、オタク趣味その物の世界である事、そして主人公がその世界にのめり込む・・・といった感じにも、ばかばかしさに拍車をかけていると感じて、妙に読みたくなった。

    当初のバカバカしさへの興味が逆に良い意味で裏切られて、非常に面白かった。

    オタク趣味の主人公が異世界で大冒険するぶっ飛び自衛隊戦記などでは全くなく、今の日本の政治文化外交なども風刺し揶揄するような部分もある設定であった。

    感動もし、主人公のドタバタで笑いもあり、人助け自衛隊といった部分もありついつい読み続け、あっという間に読み終えてしまった。然も図書館でのジャンルが、ヤングアダルトになるほどに中身が健全で、少年少女にも私のようなおじさんにもおすすめである。

    続編も期待して読みたい。

    星五つ。

  • WEB漫画を読んで面白かったので、小説も読んでみた。
    文字による解説のおかけで漫画だけより世界観を深く知る事ができた。
    読み易い内容で十二分に楽しめたし、今後の展開が楽しみだ。
    [more]
    「帝国」の政治制度が詳しく書かれていたおかげで、「帝国」が古代ローマ帝国を模している事がよく分かった。また、文中の「女の嫉妬」に関する記述は塩野七生著『ローマ人の物語』をそのまま引用している事から『ローマ人の物語』を参考している事はよく分かった。
    日本と諸外国の関係はかなり極端に書かれているけど、今回に出てきた各国に対するイメージを極端していると考えれば、あながち間違えでもない気がする。
    取り敢えずは主人公がイケイケどんどんでないという事も面白い要素の一つかな。

  • 中世世界に現代兵器持ち込めばこうもなるだろう。
    現代兵器ってもごく一部だけど。本当に怖いミサイル系、化学兵器系は使われていない。
    ただ、あちらにも魔法やモンスターというこちらには無いものがある。それを本気で使われたらどうなるか分からない。
    今は向こうの政治力が機能していないのが幸いしているだけ。
    政治力と言えば、自衛隊がこんなに簡単に戦力を使えるのかという問題もある。動きたくても動けない自衛隊、資金力だってどれだけあるのかわからない。
    それが見た目はスムーズに動いているということは、最初の銀座でひどい被害が出て、それで話が纏まりやすくなってるということなんだろうな。

  • コミカライズとかアニメ化とかで読むことにしました。
    ぶ厚くですが、最初は展開が遅く面白くなるのは後半なので、この分厚さも止む無しと理解しました。
    銀座に開いたゲート一つに対し、日本以外のアメリカ中国ロシア等の各国の思惑やら、異世界側の理解やら帝国の無理解やら、読んでてもどこから手を付けるか、引いては作者がどう書いていくか難しい作品に思えます。
    その中でキャラクターは非常に面白く、自衛隊の伊丹や栗原、異世界側のエルフテュカや亜神ロゥリィらはストーリーヘの没入具合を高めてくれています。
    これなら続きが楽しみです。

  • 内容は嫌いじゃないけど、もう少しテンポ良く進んで欲しい

    異世界に居るのが個人ではなく自衛隊なので、色々しがらみが有るのは判るし、多分そこか好きな人も居るんだろうけど、私はまどろっこしいと感じてしまうかな

  • オタクネタがちょいちょいあるからラノベなのかなぁ・・・
    でも、文章も内容もすごいしっかりしてるし、おもしろい!
    web小説の書籍化って、まぁ新しいジャンルの掘り出しだと思うんですけど、これだけしっかりしてるのはすごいなと・・・
    想定でラノベと思って敬遠している普段ラノベ読まない人も読んでみたらおもしろいんではないでしょうか~!?

  • 異世界と日本の銀座をつなぐ門(ゲート)が開き、そこへ自衛隊が乗り込むお話。
    この作品の発想もそうだが、主人公伊丹の性格が少々特殊で面白い。
    やる気がない、辛い、危険なことからは逃げる。でも困っている人を見るとほっとけないので、結局危険なことに巻き込まれる。
    そんな彼に、異世界のヒロインたちが好意を持つのもわかる気がする。
    テュカはどうなってしまうのか…
    次巻も期待。

  • なんか突然銀座に異界からのゲートが開いたぜ!
    なんか異世界からファンタジーな軍勢が攻めてきたぜ!
    自衛隊が反撃したぜ!異世界軍勢ヨワス!ヨワスー!
    なお話。

    異世界軍はドラゴンやらオーク兵やらで日本を攻めてきたんだけど、その技術力は中世ファンタジーレベル。
    近代科学戦力を持つ自衛隊にはまったく相手にならない。
    あっさり撃退された上に、逆に自衛隊がゲートをくぐって異世界へ攻め込むことになる。
    異世界、チョー弱い。(笑)

    現代から異世界へ、と言う物語は多いが、この作品のように国ごと、自衛隊丸ごと異世界に関わっていく作品は珍しい。
    文章的には地の文が非常に多く、ライトノベルというよりも普通の小説に近い。
    文章力的にはまったく問題なく、非常に読みやすい。
    確かな文章力を感じる。

    ただ、しょっぱなから異常に風呂敷が広がってるので、どうまとめるのか、どこに集約するのかはもうちょっと読んでみないとわからないかな。
    異世界勢力、自衛隊、日本政府、アメリカ政府、中露の思惑などなど、いきなり展開する規模が広い。
    主人公が率いる異世界偵察小隊も12人と多く、異世界ヒロインもエルフ娘、ロリ賢者、ロリ女神、お姫様といっぺんに出てくる。
    場面転換も激しいので、なかなか主人公の立ち位置、物語の焦点がどこにあるのか見えてこないが、文章的には読みやすいのでじっくり読めればと思う。
    まだまだ序盤なんだろうし。

    読了。
    予想以上に面白かった。想定外の面白さだった。
    この小説も元々はwebに投稿された作品だったみたいね。
    才能ってのはあちこちに転がってるもんだなぁ。拾ったり見つけたりするのが大変なだけで。

    この小説は、いわゆる現在主流のライトノベルではなかった。
    主人公とヒロインを中心とした狭い世界で綴られる主流なライトノベルとは違い、もっと広いスケールで、さまざまな視点から描かれた「小説」だった。
    その大風呂敷を十分に描ききるセンスと高い文章力も問題なく装備されていた。
    たいしたものだと思う。

    正直、主人公とヒロインを中心とした普通のライトノベルを想定して読み始めたので、途中までは話がとっちらかっていて主人公の活躍が見えてこない!と不満に思っていたが、広い視野、高い視点からの世界が過不足なく描ききられていた。

    この作品は一般的な萌えライトノベル群よりも、銀河英雄伝説のような小説に近いと感じた。
    極めて個人的な表現になるが、銀英伝のスケールを10分の1に圧縮し、ちょっと可愛いオタク的なキャラクターを配置した娯楽小説、と言うイメージ。
    敵対する双方の思惑、キャラクターたちの個性、国の政策や軍事力、貴族社会や政治の腐敗、権謀術数、そうしたもろもろの要素がそれぞれわかりやすく綴られ、十分に面白い。
    そこに、現代的な萌えオタ要素やミリオタ要素が加わる。
    要所での盛り上げ方もうまい。いや、予想以上に面白かった。
    1巻時点では主人公がほとんど活躍しないのでそこは大いに不満なんだけど、十分面白かったと思う。

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著者プロフィール

東京都在住。自衛官を経験した後、2006年に自営業を開業。本業に従事する傍ら、インターネット上で精力的に執筆活動を展開し、2010年4月、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 1.接触編」で出版デビュー。シリーズ累計490万部のミリオンセラーとなる。他に「氷風のクルッカ 雪の妖精と白い死神」(アルファポリス文庫)、「Walhalla《ワルハラ》-e戦場の戦争芸術-」(ブレイブ文庫)などがある。

「2020年 『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり17』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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