- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434219436
作品紹介・あらすじ
日中関係論者のカリスマ!
宮脇淳子氏の最新刊!!
近年悪化の一途を辿る日中関係。
その原因はどこにあるのか?
また、この関係は修復が可能なのだろうか?
右派的論調を封印し、近現代における日中間のしがらみを冷静に分析する―宮脇氏渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
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本書の内容の大半は清朝史で、世界の動向と清朝史をリンクさせて理解する上では、非常に分かりやすく読める。ただ、日中戦争(本書では支那事変)辺りから現代につながる共産党史についてはほとんど触れられていないのはタイトルからやや乖離か。また、ソ連が登場して以降の時代では、所々で世界的なコミンテルンの陰謀を仄めかしているが、この辺りはやや陰謀史観寄りな気もする。
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歴史は権力によって書き変えられる。専制権力であれば尚更お構いなしに書き変えられる。これが中国の歴史記述に一貫して流れる論理である。中国の諸王朝にとって歴史とは過去の正しい記録ではなく、権力を正当化するプロパガンダに過ぎない。中国では歴史は政治そのものなのだ。毛沢東は「中国共産党はペンと剣で権力を握った」と言ったそうだが、「ペン」とは宣伝による情報戦のことだ。その延長線上にある「正史」を真に受けて書かれているのが日本の教科書である。こうした見方は著者宮脇淳子氏の師であり夫でもある岡田英弘氏が主張してきたことだが、岡田氏にしても宮脇氏にしても、モンゴル史や満洲史といった漢民族以外の歴史が専門であり、だからこそ漢籍の資料だけからは見えてこない中国の真実の歴史を視る目を持ち得たのかも知れない。
宮脇氏とともに中国近代史を振り返って改めて感じるのは、支配者と民衆の全き乖離である。どの国も近代以前には大なり小なりそういう面はあったに違いないが、秦の始皇帝の時代から中国共産党に至るまで専制国家の伝統が染み付いた中国では、誰が権力を握ろうと支配者と民衆が全く別の世界を生きていることに変わりない。このことは中国に「反日」はあっても、真のナショナリズムが存在しないことと裏腹の関係にある。国益より私益を優先し、或いは同じことだが、自らの権力基盤を固めるために外国勢力と結託して「反日」を焚き付けるという繰り返し現れる構図である。そのこと自体をとやかく言っても詮無いことだし、彼らの思想や政治体質まで変えることはできない。そういう国であることを我々自身がきちんと踏まえておけばいい。だが歴史の歪曲については毅然とした対応が必要である。国際社会では嘘も言い続けるとそれが「真実」になる。「大人の対応」は静かに、そして確実に国益を侵食していく。その意味で本書の意義は大きいし、英文でこそ発表すべきだ。良書であるが『 真実の中国史【1840-1949】 』との重複が多い点を考慮して☆一つマイナス。 -
先生のこれまでの研究を、初学者向けにまとめた感じの本かな。
拝見したことのある内容が多かった気がする。
シナというところは、事実に関係なく、正当性のために歴史が必要なのである。
今の我は政党である。
故に、歴史はこうであったのだ。
日本からしたら、はいはい、なのだが、しょうがない。
ので、冷静に歴史を俯瞰し直そうじゃないかという本。
軽いが、面白いです。
つか表紙、タイトルだけで後真っ白なんですけど。
なんか意図が? -
支那の始まりから現代に続く流れが分かり、面白かった。
最後に中国共産党史について、いずれ本を書くとあったので是非読みたいと思った。 -
黄河文明から支那事変まで支那の歴史をじっくり学べた贅沢な本だった。清朝末期の動きを重点的に知ることができたのも良かった。
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中国史の通史 各国・地域の歴史は通史で学ぶべき
世界史の教科書では、地域と時代が交錯して整理されない
中国から見た、アヘン戦争・日清戦争は一貫した視点を授けるので、歴史の因果が理解しやすい
宮脇淳子先生は剛速球派 尖閣列島問題は沖縄喪失に繋がる
実にストレートで明快な論点を明示してくれる
新聞テレビのマスメディアにない痛快さがある
他の著作にも挑戦してみたい -
一年前に読みたかった本
ようやく読了しました -
◆きっかけ
「中国で教えたい」でググったら本書のAmazonページが一番上にヒットして。目的とは違ったけれど面白そうと思って。レビューに著者の夫である岡田英弘氏の名前も出ていて彼の著作も気になる。2017/2/237