言語学の散歩

著者 :
  • 大修館書店
3.71
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469210514

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  いろいろな言語について(数や人称などの文法カテゴリーの話など)、言語学や言語学史について(比較言語学、構造主義の成り立ち、言語学の課題など)、言語学者について(マテジウス、ボドゥアン、トルベツコイ、ヤコブソンなど)書かれた23のエッセイ集。
     もともとは月刊「言語」などに掲載されたエッセイを集めたもので、研究者を相手に書かれたものということがあり、話が難しいと思うところもあった。印象的なのは、「言語間にある共通性とはいつも言語間にある多様性の砂漠の向う側にある蜃気楼のように思える」(p.58)という言葉で、いかに想像のつかないような仕組みをもつ言語が多様に存在しているかということを教えてくれる。名詞のカテゴリーの話で、昆虫だけを別のカテゴリーに入れる「アンジイ語のリクバイ方言」や、女性の一部と怪獣が同じカテゴリーに入る「ラック語」というのがあるなんて、本当に想像できない。
     また、「女と石炭」のソルブ語の話も興味深い。「言語はそれ自体の性質からいって自目的的であることは許されない。言語はつねに直接的にではないにせよ現実を反映していく運命を担っている」(p.304)ということをよく教えてくれる。(12/01/30)

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

千野 栄一(ちの・えいいち):1932-2002年。東京大学言語学科、プラハ・カレル大学スラヴ語学科卒。東京教育大学助教授、東京外国語大学教授、和光大学教授・学長を歴任。主な編著書に『言語学大辞典』(全6巻、共編)『世界文字辞典』(共編)『言語学の散歩』『プラハの古本屋』『外国語上達法』、主な訳書にチャペック『ロボット』、クンデラ『存在の耐えられない軽さ』などがある。

「2022年 『言語学を学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

千野栄一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×