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- Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469210514
感想・レビュー・書評
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いろいろな言語について(数や人称などの文法カテゴリーの話など)、言語学や言語学史について(比較言語学、構造主義の成り立ち、言語学の課題など)、言語学者について(マテジウス、ボドゥアン、トルベツコイ、ヤコブソンなど)書かれた23のエッセイ集。
もともとは月刊「言語」などに掲載されたエッセイを集めたもので、研究者を相手に書かれたものということがあり、話が難しいと思うところもあった。印象的なのは、「言語間にある共通性とはいつも言語間にある多様性の砂漠の向う側にある蜃気楼のように思える」(p.58)という言葉で、いかに想像のつかないような仕組みをもつ言語が多様に存在しているかということを教えてくれる。名詞のカテゴリーの話で、昆虫だけを別のカテゴリーに入れる「アンジイ語のリクバイ方言」や、女性の一部と怪獣が同じカテゴリーに入る「ラック語」というのがあるなんて、本当に想像できない。
また、「女と石炭」のソルブ語の話も興味深い。「言語はそれ自体の性質からいって自目的的であることは許されない。言語はつねに直接的にではないにせよ現実を反映していく運命を担っている」(p.304)ということをよく教えてくれる。(12/01/30)詳細をみるコメント0件をすべて表示
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