読み手に伝わる公用文: 〈やさしい日本語〉の視点から

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著者 : 岩田一成
  • 大修館書店 (2016年7月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469213584

読み手に伝わる公用文: 〈やさしい日本語〉の視点からの感想・レビュー・書評

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  • ホントに、この本のおっしゃるとおりなんです。
    でも、かつてお役所体質のインフラ企業に勤めていた身から申し上げれば、書く方にもそれなりに事情があるんです。もちろん、一文が長くて名詞ばかり使った文章の方が格調高くてよろしいなどとふざけたことをぬかす上司が多かったのはその通りなのですが、役所やインフラ企業というのは、あまねく公平に住民やお客様にサービスを提供しなければならない・・・つまりは、自分の勝手な思い込みでいちゃもんをつけてくるようなお客様、今でいうところのモンスタークレーマーも相手にしなければならないことが多々あるのです。私もそのようなお客様を相手にしたことがあります。そんなとき、わかりにくい公用文ながらも、とにかく法律や契約約款がベタ打ちしてある文章にどれだけ助けられたことか…「お客様、ここに書いてあるんです」って。役所やインフラ企業はお客様を選べないのです。どんな無茶を言ってくる人をも納得させなくてはいけない…そうなると、どんな細かいケースでも、書いておいた方が結果的にはトラブル防止になる、といろいろ盛り込んでしまうんです。ホント、仕方ないところもあるんだよなあ…と思ってしまうのです。
    もちろん、大多数のお客様はそんなことないし、だからわかりにくい文章を申し訳なく感じることも当然あります。硬い文章のままのものと、要点を簡潔に提示したものとを両方用意して、必要に応じて適宜使い分けるなどという努力は、もちろんするべきだとは思います。
    法律の条文に関しても、わかりやすさを優先すると、かえって定義があいまいになり、解釈に幅が出てしまい、トラブルのもととなってしまうのは本末転倒であるわけですから、定義をきっちりするために、いろいろな要件が足された結果、わかりにくくなってしまうということも言えるので、条文そのものにわかりやすさを追求するのは限界があるようにも思います。
    さらに、確かに公用文は分かりやすく書かれるべきだと思うのですが、そしてこれは公用文に限らず最近の風潮のようにも感じるのですが、わかりやすさを追求するあまり、情報の発信側にばかりその責任を負わせて、受け手である私たちが、わかろうとする努力を放棄してふんぞり返っていることが多いようにも思うのです。
    この本に対する反論ではないんです、決して…。ただ、どうしてわかりにくい公用文が生まれてしまうのか、昔その現場にいた者として事情がわかるところもあり、私は同情を禁じ得なかった、それだけです。

  • カテゴリ:教員著作物
    日本語日本文学科:岩田一成准教授の著作物

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