ことばの地理学: 方言はなぜそこにあるのか

著者 :
  • 大修館書店
3.82
  • (3)
  • (9)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 151
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469213607

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 方言で使われる言葉を日本地図にプロットしたら、どんな傾向が方言にはあるのか?あるとしたら、その要因は何か?を探った方言学に関する書籍

  • ゆる言語学ラジオで紹介されていた本。

    自分の知識の無さもあって、理解が追い付かないところもあったが、楽しく読める部分が多かった。

    やはり九州の人間としては第3章と第6章が興味深い内容だった。

  • ちゃんと理解するためには、方言学の別の入門書が必要だと思うが、門外漢でも面白く読み進められる。方言がなぜあるのか?という問いに答えるための研究方法や研究成果を丁寧に示してくれている。
    この本を読んで、方言について興味を持って、いろいろ勉強してから、また戻ってくる、というのが良いかもしれない。

  • 「人は、生きる世界(地理環境)に縛られる。
    ならば、言葉も世界(地理環境)に縛られる」

    豊富な事例と共に方言がある理由を探っていく。一章は短く、凡そ30ページほどでサクサク読み進める。章の締めで述べるまとめがウイットに富んでいて、クスッと笑えて面白い。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001091200

  • ●方言や言語についての知識がなくとも面白く読めた。とある方言がどのように成立したのかを事例を交えて解説してありわかりやすかった。

  • 柳田国男による「方言周圏論」(中央で発生した言葉が同心円状に広まる)と、東條操の「方言区画論」から話を起こし、各論をまわったあとでそこへ戻ってくる。著者の立場としては後者の立場だが、それでも「蛇の目」はあるというもの。言葉は江戸や京都だけで発生するものではなく、〈同じ場所が繰り返し言語変化の出発点となることは、きわめてまれ〉なものだという説明であり、たいへん妥当な考え方に思える。終章で著者は、〈これまでの言語地理学は、幾何学的志向に寄りすぎていた〉として、〈ことばと人間の諸側面との関係について地理空間を通して考え、人間とは何かという問題に接近することを目指す〉とより広く再定義している。

  • 方言の分布と、傳播過程を推測する話。
    理由の接続助詞「サカイ」が傳播して行く経路で、受容を拒否した地域がある。その中に、順接確定と逆説確定の接続助詞が対応関係を持つ体系的構成になっているため、順接のサカイが拒否された、という推測が面白い。
    また、同じ交易に見えても、生活必需品の場合は言葉が傳播し、付加価値品の交易では傳播しない、という仮説も興味深い。
    活用形の統合では、終止形「起くる」否定形「起きらん」と言う地帯が九州の脊梁に分布しているそうで、その成立過程の推測が面白い。
    五箇山で太陽が擬人的に扱われている。同じ庄川流域でも、中下流では第三者として尊敬される存在だが、上流の五箇山では対者として尊敬されるというのが、大変興味深かった。「日様が昇らさった」

    柳田國男の蝸牛考の「同心円」に疑問を突きつけ、面白い本であった。

全13件中 1 - 13件を表示

著者プロフィール

大西拓一郎(おおにし・たくいちろう)
国立国語研究所教授。専門は言語地理学・方言学。
著書に『現代方言の世界』(朝倉書店、2008 年)、『ことばの地理学―方言はなぜそこにあるのか』(大修館書店、2016年)などがある。

「2023年 『方言地理学の視界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大西拓一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×