「する」と「なる」の言語学: 言語と文化のタイポロジ-への試論 (日本語叢書)
- 大修館書店 (1981年1月1日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469220322
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「する」と「なる」の言語学―言語と文化のタイポロジーへの試論 (日本語叢書)
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場所の変化として捉える代表的言語英語。
抽象的変化として捉える代表的言語日本語。
両者にはそれぞれ背後に「する」と「なる」という違いが存在する。
英語は個別的にものの変化を捉える好みがあるが,
日本語は個を埋没させ状況の変化として捉える傾向がある。
そのため,英語は主語が目的語に影響を与え,
それのみならず状態変化後の状況までを含意する構文を持つ。
SVだけでなく,SV+PP,SV+O,SV+O+PPという風に他動性を上げる。
自動詞も他動詞のように,I sang a baby to sleep.と他動詞化する。
一方,日本語は英語と比べて必ずしも目的語を必須要素としない。
多くの言語は歴史的に見ると「なる」的要素を多分に含んでいる。
筆者の推論であるが,
英語はドイツ語,フランス語と比べても他動性が非常に強い。
これは,つまり原始の自然に支配されていた頃の形を残しているのが「なる」言語。
科学の力によって,もはや自然を支配する時代の言語が「する」言語と言える。
個の状態変化(場所)の個は,最たるものが人間であり,
このことが筆者の推論を支持する理由の一つでもある。
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