- Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469244984
作品紹介・あらすじ
本書の目的は、世間に流布する外国語学習や第二言語習得に関連する「俗説」を取り上げ、それらが正しい根拠に基づいた説なのかどうかを検討することです。現在までの研究成果から、どの説が常識で、どの説が非常識なのか考察していきます。
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
編著者:白畑知彦
著者:若林茂則
著者:須田孝司
ジャンル 英語教育
大学テキスト 英語教育
出版日 2004/12/01
ISBN 9784469244984
判型・ページ数 A5・194ページ
定価 1,870円(本体1,700円+税10%)
英語習得の「定説」「俗説」、そのウソ・ホント
「英語は早期教育で決まる」「英語は『右脳』で学習する」「聞くだけで英語はできるようになる」「男より女の方が英語が得意」・・・などなど、外国語学習について多くの「定説」「俗説」が巷に流布しているが、果たしてその根拠は? あやふやな「説」を何となく信じてしまわないために、第二言語習得研究で明らかにされた客観的データをもとに、そのウソ・ホントを検証する。
〈https://www.taishukan.co.jp/book/b197023.html〉
【目次】
はじめに:あやふやな説にだまされないために
第1章 まず母語習得について考える
【検証1】 「母語は模倣によって習得する」のか?
【検証2】 「母語習得で誤りの訂正は役に立つ」のか?
【検証3】 「生まれつき備わっている言語取得能力がある」のか?
■コラム1
茶飲み話と第二言語習得研究と(その1)―あまりにも大ざっぱでは話にならない
第2章 学習者の習得順序と外国語の学習法について考える
【検証4】 「教科書で習った順番に覚えていく」のか?
【検証5】 「繰り返し練習すると外国語は身につく」のか?
【検証6】 「外国語学習は音声から導入されるべき」か?
【検証7】 「聞くだけで英語はできるようになる」のか?
【検証8】 「多読で英語力は伸びる」のか?
■コラム2
茶飲み話と第二言語習得研究と(その2)―さらに話題を絞る
第3章 学習者の誤りについて考える
【検証9】 「教師が誤りを直すと効果がある」のか?
【検証10】 「日本人学習者も goed や comed と発話する」のか?
■コラム3
第二言語習得と第二言語教育(その1)―研究の応用の難しさ
第4章 学習者要因について考える
【検証11】 「やる気があれば上級学習者になれる」のか?
【検証12】 「頭のいい人の方が外国語学習で有利」なのか?
【検証13】 「ものおじしない性格の人は第二言語習得に向いている」のか?
【検証14】 「第二言語学習者と外国学習者では習得の仕方が違う」のか?
【検証15】 「学習者の言語適性はテストで測定できる」のか?
【検証16】 「言語学習においては女性の方が男性よりも優れている」のか?
■コラム4
第二言語習得と第二言語教育(その2)―研究を外国語教育に役立てる
第5章 臨界期仮説について考える
【検証17】 「第二言語学習は幼少期から始めないと遅すぎる」のか?
【検証18】 「大人になって始めてはネイティブ並みにマスターできる領域はない」のか?
【検証19】 「幼い内なら日本人でも/l/と/r/を聞き分けられる」のか?
【検証20】 「運動機能の衰えが言語取得の到達度に影響する」のか?
【検証21】 本当に「言語習得の臨界期はある」のか?
■コラム5
実際の第二言語習得研究(その1)―その測定方法
第6章 脳科学からのアプローチにについて考える
【検証22】 「『英語耳』や『日本語耳』という区別はある」のか?
【検証23】 「英語は『右脳』で学習する」のか?
■コラム6
実際の第二言語習得研究(その2)―理論やモデルの必要性
第7章 簡単に信じない力と研究の面白さ
科学研究に対する一般的な誤解
なぜ俗説を信じたくなるのか?
研究成果は「机上の空論」なのか?
研究の面白さと、それを楽しむために
引用・参考文献
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目から鱗なお話ばっかりなのに、わかりやすくておもしろい。
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第二言語習得の研究をしている人間として、
世間のみなさんにぜひともご理解
いただきたいことが丁寧に説明されている。
コラムの部分だけでもいいから、
ぜひ多くの人の目に触れて欲しい。
一部「この点はまだ論争中だ」
というふうに説明しておいた方が
いいんじゃないかと思うところもあるけれど、
それを差し引いても☆☆☆☆☆かな。 -
「母語は模倣によって習得するのか?」「教科書で習った順番に覚えていくのか?」「繰り返し練習すると外国語は身に付くのか?」「外国語学習は音声から導入されるべきか?」「教師が誤りを直すと効果があるのか?」など、興味深いテーマ(俗説?)について、第二言語習得研究の見地から検証する。研究論文等を基に論理的に書かれてはいるが、「第二言語習得研究」は、外国語習得のメカニズムを探る研究であって、「外国語教育研究」とは別のものという。そういう意味ではやや期待はずれな感じ。俗説の問題点がいろいろと指摘されてはいるが、じゃあどういう方法がどう効果的なのか、というところには及んでいないのが残念。
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『外国語学習に成功する人、しない人』とほぼ同時期に出版された本、こちらの方が例も詳しくわかりやすい。第二言語習得研究の現状がよくわかる。英語のlとrに関して、子どもは音声に関して全く白紙の状態で生まれ、余分な音を識別しなくなるという指摘は面白い。第二言語習得研究イコール外国語学習法研究にはならないが、いろいろヒントを得ることができる。