- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473034229
感想・レビュー・書評
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三島由紀夫、大佛次郎、井上靖という昭和の文豪たちが、桂離宮、仙洞御所、修学院離宮といった宮内庁管轄の庭園をそれぞれ訪れたエッセイが収められている。
旧い言葉が使われていたり、さらりとは読めないエッセイなのだけれど、言葉の使い方や感性が美しくて、読んでいて、庭がとてもとても素晴らしいもののように感じられてくる。
桂離宮だけは何年か前に参観したことがあったけれど、案内に遅れないように写真を撮りながら進むことに忙しくて、ちゃんと感性を働かせて庭を楽しめていなかったなあ、と自分の心の貧しさをしみじみ感じる。また改めて、今度は写真は撮らないくらいの気持ちで、訪れてみたい。
最後に、建築史家である伊藤ていじ氏が、三つの庭についてそれぞれ造られた時代や往時の天皇、上皇との関係などを丁寧に解説してくれていて、非常にわかりやすい。
三文豪のエッセイで庭の美しさ、尊さを感じ、最後の伊藤氏の文章でその背景や歴史がわかり庭の輪郭がはっきりする感覚がある。
興味深い内容の一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この作家たちに庭を表現させた企てがすばらしい。良本なり。
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桂の離宮、仙洞御所など、極上の日本庭園を、日本を代表する作家が訪れ、それぞれの感性で庭を表現する。極上の作家に表現されることでその庭の魅力が更に引き立ちます。個人的に、ここ最近の大ヒットです。
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宮内庁管轄の要手続な国管理の3つの宮。京都御所もあるけど、それは割愛で。もしくは仙洞御所に併合。
この3つの庭に共通するのは静けさですね。
一度に限られた人しか入れないから、観光地にある賑わいがない。しかも、京都で。
けれど、庭ってそもそもそういう風に静けさの中で鑑賞するに相応しいものですね。
3人がそれぞれの庭について語って、伊藤さんが最後にそれぞれの庭について軽く触れる。
大沸さんの書き方が好きだなぁ・・・ちなみに彼は修学院だった・・・かな?
桂離宮に行ってから読む予定だったのに、時間がなくて行けなかったので先に読む事に。
仙洞御所と修学院離宮は以前の記憶が思い出されて、桂離宮は期待が高まったのでそれはそれで良かったのかも。
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-実際、仙洞御所の苑内を経廻りながら、私は私の目、私の頭脳、私の感覚そのものが、この床しい静寂をかきみだしていることを認めざるをえなかった。それすらが一つの騒音なのだ-
引用は三島由紀夫の文章。うーむ。これだけで行きたくなってしまいますな。文豪とともに「庭めぐりの旅」なんておつです。字が大きくて、写真もきれいだし、お勧めの一冊。 -
午後9時30分〜10時19分
NHK総合テレビ
「桂離宮 知られざる月の館」
桂離宮、一般公開していないと思い込んでいたため、これは
見逃せない、宝物のような番組、と身を乗り出し食い入るように
見た(実際は一般公開している)。
八条宮智仁が徳川幕府に対抗する公家らの象徴的存在
後水尾天皇を招くために王朝文化の再興を目指し心血注いだ
別邸。
御幸門までの道、一見地味な御幸門、海を模した池のある庭園、
さりげなく質素なたたずまいのようで実は技巧を凝らし、
意匠を尽くした建築。
井上靖の嘆声、「美しいものが仕舞われてある一劃に近づいて行く心の
ときめき」(『終わらない庭』淡交社)。まさに
そんな境地を感じた。
とくにすばらしく感じたのは、
光の当る方向の変化に応じて色が
変化する、書院の襖にはられた桐文様の
唐紙(製造工程紹介で、雲母と黄土を乳鉢でこねただけの
材料と知り、驚いた)。
長押に使われたしぼの入った貴重な一木杉。北山杉の中でも
繊細なしぼが入った杉がみつかるのは数万本に1本ほどらしい。
その他にも襖の取っ手に使われた七宝、松琴亭の襖の大胆な
市松模様、笑意軒の腰壁貼り付けの市松模様のビロード、
書院の月見台から見上げる満月など、
もうもう……、美の極地
NHK、やっぱすごすぎっ