人形記―日本人の遠い夢

著者 :
  • 淡交社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473035677

作品紹介・あらすじ

浄瑠璃人形、生人形、糸あやつり、からくり人形、伏見人形、御所人形、奈良人形、流し雛、土偶、埴輪、フィギュア…辻村寿三郎、四谷シモン、竹久夢二、堀柳女、林駒夫、宇野亞喜良、結城孫三郎、ムットーニ、ボーメ、…人形と人形作家、人形を操る人に出会う18の旅。

感想・レビュー・書評

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  • 人形について小説を書くため、調べている途中で出会った本。執筆前に出会えて良かったと思う。多少読み過ぎのきらいもある気がするが、著者・佐々木氏の、詩人の鋭敏な感性が、様々な人形を取材するにあたっては見事に響き合っているように感じられる。ひとつひとつの章を辿るたび、前の章と連続しているようであり、まったく新しいようでもある人形に、また人形作家(という言葉が適当かどうかはわからないが)に出会える感覚がある。またこの本は全体として、人形についての大きな『何か』ーー魂や心、或いはそう呼ばれるものの不在という存在のあり方ーーを伝えてくる。自分に都合がいいように人形を描こうとしている私のような人は一読すべきだろう。

  • さまざまな人形の写真と共に紹介した文章で綴られた本。山車の写真がとっても美しい。

  • 数々の人形や人形師に対しインタビューを行った書籍
    人形は他の芸術品、玩具とは一線を画す何とも不思議なものですが、人形についてよく知らなくても、その魅力の一端を感じることができました

  • 吉岡久吉の浄瑠璃人形、松本喜三郎と安本亀八の生人形、辻村寿三郎の人形、結城座の操り人形、宇野亜喜良の指人形、ムットーニのからくり人形、飛騨の江戸時代のからくり人形、京都の伏見人形、御所人形、竹久夢二の人形、青い目の人形と答礼人形、四谷シモンの球体関節人形、林駒夫の桐塑人形、木彫りの奈良人形、鳥取県の流し雛、堀柳女の人形、ボーメのフィギュア、土偶と埴輪を紹介し、各作者の人形への思い、人形のカラー写真で構成。凄いと思ったのは、安本亀八の相撲生人形。等身170cmの相撲の相手を今にも投げ出しそうなアンバランスな体勢の2人が組み合った人形だが、1人の両足ともう1人の片足の爪先の3点で自立している。もの凄いバランス。この本は人形を作る人は読んだ方が良いと思う。各々が読み終わった後に、それぞれの「人形とは何か?」という答えが見つかる導きになると思う、それぐらいの良著。

  • 1310夜

  • 詩人である佐々木さんの深い洞察力が効いてる。
    おかげで未知の人形世界にすっかり嵌ってしまった。

  • (2009.05.20読了)
    B4というか、週刊誌の大きさの本で、結構重いので、通勤電車で読むにはちょっとしんどいのですが、なんとか読み終わりました。170頁ほどで、カラー写真も結構入っているので、簡単に読めると思ったのですが、版が大きい分、1頁あたりの文字数も多いので、思ったより手間取りました。
    いろんな人形について見に行ってそれを作った人や収集者に取材して書いています。
    浄瑠璃人形、操り人形、指人形、からくり人形、伏見人形、御所人形、アメリカから贈られた「青い目の人形」、奈良人形、流し雛、美少女フィギュア、土偶と埴輪、「生人形」、いろんな人形があります。

    ●青い目の人形(95頁)
    1927年にアメリカから日本に1万2千7百3十9体の「青い目の人形」が贈られ、その答礼としてアメリカに5十8体の市松人形(答礼人形)が贈られた。
    「青い目の人形」は、全国の小学校や幼稚園、そして植民地であった満州や台湾、朝鮮の小学校に贈られた。
    1942,3年頃、戦時色が濃くなる中、そのほとんどが人形は各地の小学校では気処分に遇った。現在までの調査で約三百体が生き残っていることが分かっている。
    (梨木香歩の作品にこのことを扱ったのがあったような)

    人形というのは、彫刻であるような、ファッションであるような、おもちゃであるような、呪術的であるような、ちょっと不思議な雰囲気の分野です。
    (2009年5月25日・記)

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著者プロフィール

詩人。1947年奈良に生まれ大阪で育つ。同志社大学文学部哲学科中退。
ミシガン州立オークランド大学客員研究員、東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文芸非常勤講師を歴任。
詩集に『蜂蜜採り』(書肆山田、第22回高見順賞)、『明日』(思潮社、第20回萩原朔太郎賞)など。
評論・エッセイ集に『中原中也』(筑摩書房、第10回サントリー学芸賞)、『アジア海道紀行』(みすず書房、第54回読売文学賞)、『やわらかく、壊れる』(みすず書房)、『雨過ぎて雲破れるところ』(みすず書房)、『旅に溺れる』(岩波書店)、『瓦礫の下から唄が聴こえる』(みすず書房)、『東北を聴く―民謡の原点を訪ねて』『中原中也―沈黙の音楽』(ともに岩波新書)など。『新編中原中也全集』全6巻(角川書店)責任編集委員。
最新刊に、共著『大正=歴史の踊り場とは何か── 現代の起点を探る』(講談社選書メチエ)、詩集『鏡の上を走りながら』(思潮社)、英訳詩集『Sky Navigation Homeward』(Dedalus Press)。
第1回大岡信賞受賞。

「2020年 『猫には負ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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