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- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473036469
感想・レビュー・書評
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京都のお寺に関するエッセイをあつめたものだが、
特に良いなあとおもったのは、
瀬戸内寂聴さんと竹西寛子さんのエッセイだった。
瀬戸内さんの仏道への思いが熱く、古寺の佇まいの描写も美しく、
読んでいるだけで景色や仏像が目に見えるかのようだ。
なかでも、清涼寺に関しては、御本尊である釈迦像を拝見して拝ませていただきたく思った。
生前の釈迦のお姿をモデルにし、釈迦本人が開眼された真像であり、ご縁があって印度からこのお寺に渡来され、御本尊として尊崇されている。
青年であった法然上人が、修行してきた天台宗の仏教に迷い、比叡山から降りた際にまっすぐ訪れたのがこの清涼寺だという。
御本尊をまえに、回心のきっかけをつかんだという。
御本尊がおられる釈迦堂の庭にうづくまる庶民の群れをみたことも、法然上人の浄土の教えを鑑みれば、大きなきっかけになったことは頷ける。
竹西さんは建仁寺のエッセイだった。
禅宗といえば道元禅師だが、そもそも禅宗は、栄西禅師が中国から伝えたものであり、比叡山からの弾圧を受けながらも布教に努めた。
茶道の祖でもある、その栄西禅師が興したお寺だ。
他の本で読んだのだが、栄西禅師は大変な情熱家だ。中国へは2度も渡り、時の権力者に近づき取り入り、鎌倉と京都に寺を創立した。
それはともかく、竹西さんの描く、禅寺の静謐さ、厳しさ、秩序にたいしての、あるいは地元の人々とお寺の静かで穏やかな関係性に感じ入る文章が素敵だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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