藤森照信×山口晃 日本建築集中講義

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  • 淡交社 (2013年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473038852

藤森照信×山口晃 日本建築集中講義の感想・レビュー・書評

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  • これはタイトルを変えたらどうかな。「日本建築漫遊記」とかどうでしょう。

    ほんとに真面目な「集中講義」かと思ってパスしてたのよ。東大名誉教授と天才絵師の組み合わせだもの。でもこのお二人、「路上観察学会」と「ヱセイ漫画」の方でもあるわけで、いやまったく面白い。こういう本って他にあるかしらん。

    山口画伯の絵については、もうあれこれ言う必要もないだろうけど、何とも味わい深く、実に楽しい。圧倒的な画力あってこその飄々とした筆遣いに魅了される。今更ながら「省略」の凄さに感嘆。ささっと描かれているのに、しっかり量感や奥行きがある。各章の扉となっている絵に特にそういう感じがあって、旧閑谷学校の回などすばらしい。ご自身をヒゲのオジサン風に描かれているが、実物は長身の男前。かっこいいなあ。

    そして藤森先生がこれまたケッサク。えらい先生なのに、どこへ行っても言いたいことを言い、すぐに寝っ転がり、団体行動ができない。山口画伯による似顔絵がその雰囲気をすごくよく伝えていると思う。でももちろん、お話は深い。教養と見識に裏打ちされた「講義」はもっともっと聴いていたくなる。今でも学生を連れてあちこち見学に行かれるそうだ。学生たちがうらやましくなる。

    ワハハ!と笑ったり、なるほど!と唸ったりする所があちこちにあるが、二箇所だけ抜粋。

    (訪れた「聴竹居」のあまりに完璧なしつらえに辟易して)
    藤森「あのさ、めちゃくちゃデッサンがうまくて有名な藝大の先生っていましたよね。合唱する女学生たちを描いた…」
    山口「小磯良平でしょうか」
    藤森「そう。もう、ヤだよねえ(笑)」
    山口(笑いながらうなずく山口さん)
    藤森「あまりに非の打ちどころがなくて、直しようのないものをつくれちゃう人がいるんだ」
    この後、藝大時代デッサンは上手だったかと尋ねられた山口さん、「人並み、でしょうか」と答えていた。とんでもなくうまい人っていうのがやっぱりいたけど(白黒写真で撮ったようなデッサンなんだって)、そういう人は絵を描かなくなってしまうんだそうだ。ふーん。

    (横浜の三渓園がお二人ともいたく気に入って)
    藤森「僕の構想段階にある建築に『車の茶室』っていうのがあるんです。(略)本物の車を茶室化して、街を走って好きな所でお茶を飲む。今まで自家用車でそれができればと思ってたけど、船形の聴秋閣を見てたら、バスでやれば、と思ったの。『建築が走ってる』ように見えるのが大事!デザインは和風にしないだろうけど、フロントガラスは障子でね」
    山口「しょ、障子ですか」
    藤森「フロントガラスの障子をあけて『さあ、出発!』ってなかなかいいでしょ?運転手は僕で、車掌は山口さん(笑)」
    藤森先生のご自宅であるタンポポハウス(屋根にタンポポが植えてある)や、茶室「高過庵」(名前通り木の上で揺れている)、「空飛ぶ泥舟」(ワイヤーで吊ってある)などを見ると、これがあながち冗談でもない所がすごいです。

  • たまもひさんのレビューを見て購入。たしかに漫遊記のタイトルの方が内容に合っているかな。でなければ放談記とか。

    藤森先生の建築探偵の本や赤瀬川源平氏たちとの路上観察学会の本は30年ぐらい前の愛読書。先生の著書も面白いのだが、先生の後書きにあるボケ役というか話の引き出し役があるとまた一味違った面白さが得られる。赤瀬川氏のような芸術家や井上雄彦さんや山口氏のような絵師とが波長が合うんだろうな。

    しかし、藤森先生って団体行動や人の話を聞くのが苦手にようで、勝手にどんどん先に行っちゃうし、畳があると寝ころぶし、マイペース振りが何とも可笑しい。しかし、出てくる学識の豊かなこと。宗教と建築の関係や都市の成り立ちなど。あ~そうなのかと何度も思った。僕も先生の解説付きで建築探偵したいよ。ホント羨ましい。
    で、その羨ましい人、山口画伯の絵はどこかで見ているのだろうが、僕は浅学でよく存じ上げない。サラサラと描いたスケッチも良い味だが、何箇所か克明な絵にゾクッとした。投入堂の建築の図。先生監修で本気で描いたら凄そう。
    しかし、下膨れの中年オヤジの自画像と写真のハンサムなオジサンは全然似てないゾ。食事に無頓着な先生や編集者にブツブツ言っているのも可笑しい。タイミングの良いボケ役の妙。

    突発的に藤森先生の作品、矩庵や高過庵、空飛ぶ泥船の探訪もある。本人が作品を語るのは読んだが、他人の体験記は貴重。(やっぱり揺れるんだ。)

    箱木千年家で山口画伯が竪穴式と高床式の途中と描いているのにアレッと思う。雑誌に連載されたころは先生の茶室学は出版されていなかったのかな。著作では竪穴式は進化して土間のある民家になる縄文系の流れで、高床式は寝殿造り、数寄屋に進化する弥生系の流れとのこと。茶室は縄文系と藤森先生は認識している様子。そんな訳で読了後、民家園や民俗博物館(大阪・千里)で囲炉裏や土間を見ると成程、成程、竪穴から進化したのかと納得してしまうぐらい影響受けてます。
    千年家は一度でいいから見てみたいな。

    伊勢神宮に白石を献上したいとの言葉もあったが、これは井上雄彦さんをソソノカシテ実現していますな。

    最後に文句を一つ。写真や画伯の絵にカラーがないのが残念だった。

  • ≪目次≫
    1  法隆寺
    2  日吉大社
    3  旧岩崎家住宅
    4  投入堂
    5  聴竹居
    6  待庵
    7  修学院離宮
    8  旧閑谷学校
    9  箱木千年家
    10 角屋
    11 松本城
    12 三渓園
    おまけ 西本願寺

    ≪内容≫
    ぼけとつっこみ…こっから始めちゃダメだった。日本の建築史について、詳しい藤森照信と奇才の日本画家山口晃のコラボ。ぼけの山口さんも実は高邁な知識をお持ちで、最初はその漫才についていけない感じだが、慣れるとお二人の講義を聞きながら、こうした建築物を鑑賞したくなるとても素晴らしい本です。
    特に待庵と角屋はいいですね…。

  • 『探検!東京国立博物館』(淡交社)での藤森センセイと山口画伯の絶妙なかけ合いがすてきだったので、こちらも読んでみました。

    投入堂、待庵、松本城、角屋…などなど、日本の名建築13件の見学記。
    藤森センセイの解説もおもしろいし、その解説をより広がりのあるものにしていく山口画伯のコメントもおもしろい。
    日本で一番しっとり感のある神社・日吉大社と、沼のような光沢があるという漆塗りの床をもつ旧閑谷学校、行ってみたいです。

    お二人のバランスがちょうどよいのです。
    法隆寺の石碑に刻まれたマークを見て「競馬だったかなぁ…」と呟く藤森センセイに、心の中で「世界遺産ですよ…」とつっこむ山口画伯。
    楽しそうな様子が伝わってきて、にこにこしてしまいました。

    山口画伯の漫画がいい味出しています。
    一見ゆるい感じなのですが、書くべきところはきちんと書いてあって、奥行きや絶妙なアングルがちゃんと表現されているところがすごい!

  • 大好きな画家・山口晃と、赤瀬川原平の盟友・藤森照信が、日本各地の建築を訪ね、対話をかわす。
    いくらか、山口晃による、「藤森照信観察日記」の様相を呈している。藤森さんの自由さ、最高。人間こうでなくっちゃ。
    紙面そのものが「対話」になっていてとても楽しめた。藤森氏の建築講義、山口氏の四コマ漫画、それから編集部による写真。こういった表現は変化もしれないが、ページをめくるごと、ものすごく「フェア」な感じがして風通しがよく感じた。

  • 藤森先生の解説と画伯のまんがで、日本建築を解説してくれる本。

    現代建築から古典までいろいろで、軽快な解説。
    画伯のユーモア。 面白い。

    建築を深く知るより、興味がわくような入門書。

  • 愛読書

  • 建築

  • 建築家と日本画家という組み合わせで建築史にそって日本各地の建築を渡り歩く対談式エッセイ。
    紹介されている建築は、法隆寺、日吉大社、旧岩崎家住宅、投入堂、聴竹居、待庵、修学院離宮、旧閑谷学校、箱木千年家、角屋、松本城、三渓園、西本願寺。
    おもしろかったーーーー!!!
    対談形式なのでテンポもいいし、ところどころ挿し絵(と漫画)がありつつ、意外と内容が専門的、というとりあえずこの本持って全部行きたい~!

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藤森照信×山口晃 日本建築集中講義の作品紹介

〈ヘンな建築好きの建築家・藤森照信センセイと平成の絵師・山口晃画伯の建築談義〉
〈“なんかヘン” 専門の二人が日本建築を見たら……?!〉

先生役に路上観察的視点をもつ建築家・藤森照信氏、聞き手兼ツッコミ役に気鋭の画家・山口晃氏。その二人が、「集中講義」の名のもとに日本各地の名建築を見学し、発見や建築の魅力を語り合います。建築の魅力はもちろん、見学のさなかの珍道中や二人の愉快な妄想など、対談と山口画伯のエッセイ漫画とでたっぷり伝えます。時に大マジメに、時にユーモアたっぷりに、教養と雑談を交じえつつ繰り広げられる二人の掛け合いはまさに「爆笑講義」。寺社、茶室、城、住宅……知っているようで知らない日本の伝統建築の魅力を、二人の独特の視点から再発見!

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