- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784474024656
作品紹介・あらすじ
「いつかは腰を据えて勉強しよう」時にはそんな決意もするものですが、そんな機会が訪れることはまずありません。十数年前に比べても法改正のスピードと分量は飛躍的に増え、これを追い続けて暗記するのはかなりの時間が必要となるからです。しかし、諦めることはありません。ネット上に公開される情報など、法令に関する情報は十数年前の比べものにならないくらい豊富で、分かりやすいものとなっています。現在では、法令を読むための最低限のスキルがあれば、知りたい情報にたどり着けるようになりました。私たちは自分に法令知識を詰め込むのではなく、こうした外部の法令情報を検索して、そのポイントを理解できさえすればいいというわけです。
感想・レビュー・書評
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法令の構造や読み方などを分かり易く説明した本であり、軽く読むことができる。
著者は、以前書店で見かけた『法律を読む技術・学ぶ技術』を書いた方らしい。
その本に比べると短い本であり、網羅的ではないのだろうが、これをベースにして、さらに法令を学んでみようかという気にさせてくれる。
第3章では、今どきのウェブを使って情報収集する方法も説明されており、使い勝手は良さそうである。
コンメンタールも気になったので、書店で探してみよう。
[more]
(目次)
■序 章 明るい法令体質改善計画
(「はじめに」に代えて)
■第一章 法令を構造から見抜く
● ? 条文の構造を見抜く
・旨い寿司屋はこれで分かる?「イカ若しくは赤身又は玉」から注文…15
―「又は・若しくは」「及び・並びに」の使い分け―
・花見に借り出された山田くんは有望な社員か…25
―「その他社員」と「その他の社員」ではどう違う?―
・「掟書き」の不備が招いた悲しい恋の結末…35
―「前項の場合」と「前項に規定する場合」が指す所―
● ? 法令の構造を見抜く
・京都と法令、実は同じ?とっておき攻略法…44
―本則の構造を究めるための二つの原則―
・悲劇! 斉藤課長のお小遣い額の変遷をたどる…58
―附則の構造と役割を考える―
・だから、法律は頑固者…70
―制定・廃止・修正、一部改正・全部改正―
・輝け! 中年の星!…79
―法令の「階層性」…法律・政令・省令、通達―
コラム
・法令は星の数ほどある…90
■第二章 法令が発する情報をキャッチする
● ? 条文は意外に「おしゃべり」
・恋人未満と言われたら…95
―対象となる範囲を示す用語を知る―
・教科書を忘れた者は勉強する気がないのか?…105
―省略する表現を味わう―
・あいまいな表現のニュアンスを汲み取る…117
―「当分の間」「妨げない」「関する」「係る」「正当な理由」―
・「違いが」分かる大人になる…126
―「みなす」と「推定する」の違いを理解する―
・「締め」の表現まで意識する…134
―「しなければならない」と「するものとする」―
● ? 先輩が教えてくれない法令理解のコツ
・回遊式理解術…142
―法令用語の処理方法―
・大きなストーリーで読み解く…149
―素朴な疑問から掴む「本質」―
・比べて感じる・比べて知る…156
―「公開会社」と「非公開会社」の違い―
・「知らなかった」は許されるのか…165
―「善意」と「悪意」の間―
・罰則規定を読み解く…173
―懲役、禁錮、罰金、拘留、科料―
コラム
・法令も間違える?…184
■第三章 法令情報へのアプローチ
・焼肉屋の割引券との意外な共通点…189
―「施行期日」に気をつけろ!
・食品も法律も鮮度に気をつけろ!…197
―「静」と「動」の法情報をリサーチする―
・法情報獲得の「裏技」を磨く…206
―官報、国会会議録、国会図書館―
・判例・文献を味方につけろ…216
―裁判例情報、新旧データベース―
・パブコメや審議会情報で一歩先取り…225
・官報を「想像力」で読み解く…232
コラム
・子供なの? 子どもなの?…240
■おわりに
・苦手意識にサヨウナラ…242
■付録
・同僚には教えたくない「正しい送りがな事典」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初心者向けで、とてもわかりやすい本です。
法律に初めて触れる人にはおすすめ! -
「その他」と「その他の」では文章の意味が真逆になるという衝撃。
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昔から法律にアレルギーがあるのに
仕事で関わることになってしまい、
暗澹たる気分でしたが、これを読み、
少し気が晴れたように思います…。 -
後半は読む価値なし。
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法令とか条文に苦手意識を持っている人に薦めたい本。
独特な法令用語の読み方から、法令情報の入手の仕方等分かりやすく説明されています。
『妻が婚姻中に、懐胎した子は、夫の子とみなす。』
『妻が婚姻中に、懐胎した子は、夫の子と推定する。』
たった一言違いで、大変なことに・・・
その他にも、寿司ネタやコンパなど、親しみやすい例で大事な事がよくわかるようになります。
こんなふうに、ウィットに富んだ説明ができるようになるには、たくさんの知識と楽しませる心が必要だと実感。 -
平易で判りやすいが、初心者向け。物足りなかったが、当然か。
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友人から借りた一冊。
ごめんなさい、かなりサラッと流し読みしました。
参考になるなぁ、っておもったところもあるけど、
どれだけ覚えているか…ふむ。
2010.5.11~6.28読了 -
法学部を出なかった私が、会社で金商法に触れる毎日。
そんな生活を1年と3カ月送ってきたけど、法令の読み方があまりわかっていないという危機感があり、当該書籍を読んでみました。
この文言は、こういうニュアンスがあったんだ〜っていう発見がたくさん。読んでよかった。
民法772条1項の規定である「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と〜」に続くのは、?「みなす。」若しくは?「推定する。」のどちらでしょうかという問題がありました。
私はてっきり「みなす。」が正解だと思ったのですが、正解は「推定する。」
婚姻中であっても「推定」なんだなあと少し笑ってしまいました。
そういえば状況によっては、民法によって強制的に「みな」されてしまっては困るケースがあるんだなぁと納得。(推定であれば、仮に奥さんが浮気などしていた場合などに、夫が、自分の子ではないと反証することができる。)
この本で得た知識で金商法を眺めたら、きっと少しは楽しくなるだろうなあと思います。
明日から仕事が楽しみだ。
よし今後もこういった法律の基礎知識をコツコツ学んでいこう。
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著者は元役人で、結構ユーモアのセンスがある。
難しい法令の解釈を、身近な事例を面白おかしい物語にして、説明するところが出色。
たとえば、「花見に借り出された山田君は有望な社員か」と題したコラムで、?「吉田君、山田君その他の若手にでも場所取りを・・・」という場合と?「吉田君、山田君その他若手にでも場所取りを・・・」という場合で、山田君が有望な社員とみられているか否かがわかるというのである。
前者は、吉田君、山田君は若手社員の一人としてあげられており、かつ、若手社員の代表として真っ先に吉田君と並んで山田君の名前が出ているのに対し、?では吉田君、山田君、若手という三者が並列に並んでおり、本来花見の場所取りは若手に任せておけばよいが、若手でない吉田君、山田君もついでに場所取りに行ってきなさい、という意味に解釈できる、というのである。
「その他」と「その他の」、要は「の」があるかないかで、ここまで意味が違ってくる。これは、法令解釈以前に国語の問題でもあるが、このような微妙な違いにも心を配ることが重要であることを改めて知った。