- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784474025127
作品紹介・あらすじ
都市は縮小する。絶対的所有権からの脱却を!-私たちは都市の存続のために『総有』を主張する-総有の現代的価値は、限られた宇宙、生存の場である地域に対してみんなで、共存しながら働きかけていくということにありこれなしには、持続的で、安全・安心なそして何よりも美しい都市は創造できない。
感想・レビュー・書評
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まず、都市計画制度について、各方面から議論をいただくのはありがたいこと。被災地の復興と災害法制の見直しがすんだら、都市計画制度の見直しを考えたい。
FB友達の上村さんが総有とか所有と利用の分離といっていたので、この本を読んでみた
この本を読んだ率直な感想。
(1)役人は現行憲法下で維持されている国民の土地所有権とそれに対する意識を前提にして制度改正を考える。少なくとも、明治維新の混乱期を除いて、堅固な土地の所有意識がある中で、どのように適切な都市計画を実施していくかを考えるのはあたりまえであって、それを現行制度改善型と批判されても、そのとおりですとしかいいようがない。
(2)そのような堅固な土地所有権を前提として、いかに、公共の福祉のためにその所有権を制限するか、国民の利益のために一人一人の所有者に我慢を強いる理屈を真剣に詰めた結果が、今の制度であり、それを、入会地や欧米のコモンで実施されている、個人の持ち分権の処分を認めない、「総有」にすべきといわれても、どうしてその制限の必要性を説明するのか、そのための国民の権限の一部を無償でとりあげる理屈が全く理解できない。そのような議論をするのであれば、現在、被災地で一部実施しているように、土地の公有地化をはかり、(その前提としては土地収用法がある)、地権者といての市町村が市街地の土地利用を強力にコントロールする方がいい。
(3)高松丸亀の事例を総有の事例に近いものとして紹介しているが、土地の所有権と、上物の所有者であるまちづくり会社を分離するのは、地代が適切なものであれば、別に、何か事業の採算性を改善したりするものではなく、別に土地自体を現物出資しても同じ。要は、その建物で行われる事業の収益できちんとまず、建物の建築費用までも返していきつつ利益を上げられるかの問題。丸亀の例でも土地所有者はいつでも所有権を売却できるので、別に総有でもない。
いずれにしても、現実に発生している課題、問題に対してどうやったら解決できるかという意識で役人は考えており、問題とする部分については、共感する部分も多いが、それが「総有」という概念を持ちだしたからといって解決するとは到底思えない。
厳しいコメントになったが、関係者にはご容赦ねがいたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示