- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784476032864
作品紹介・あらすじ
靖国・領土・歴史教科書・憲法などを巡って噴出するナショナリズム-いま最も注目される歴史家が対立を和解へ、そして共生へと転換する道を開示する。
感想・レビュー・書評
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イデオロギー的に中庸を行こうとしているのは分かるのだけれど、内容は薄い。竹島の歴史認識に関して言えば読み込みが浅いと言わざるを得ないし(この問題はこんなに簡単にまとめられる話ではない」、アジアの地域力をことさら強調するために連呼する造船量は単なる産業特化で国力を表す指標にはならない。もっとも最低の★1をつけないのは、筆者の筆熱が伝わるような箇所が何個かあったから。あと諸々の小エピソードは面白かった。
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大学の論文の参考文献として
読んだ一冊です。 -
北一輝や竹内好の研究で知られる松本さんの日中韓のナショナリズム論。第三文明社から出ているだけあって、公明党の主張に近い。竹内好流にいえば、今度の戦争は、中国に対しては侵略戦争であり、アメリカ等欧米諸国に対しては帝国主義同士の戦争となる。松本さんもその立場に立つ。そして、日本がアメリカ等と靖国神社は国家の名の下に死んだ兵士を追悼する場であるが(それ自身問題はある)、現在は完全に政治イデオロギーを代表している。つまりは、今度の戦争を正当化する立場である。だから、ここに小泉さんが参拝するのは、まったくおかしなことなのだが、情の論理をかざし、自己の論理矛盾をあえて直視しようとしない小泉さんにはなにも通じない。
最近天皇の側近のメモがでて、天皇が靖国に参拝しなくなったことが話題になったが、本書はそれが出る前に、その理由について言及している。あのメモがにせものだとかいう議論があったが、あのメモがなくても、ある程度の予測ができるのだ。歴史問題では、共通の教科書をつくるのは、日本においても無理だから、ましてや三国で共通のものをつくるのはなおさら無理。しかし、そのことを通じて違いを知るのはいいと考えている。ぼくもそう思う。あと、独立国は軍隊をもつべきだというのは、ぼくもそうだと思うが、戦前の延長としての軍隊ではこまるし、軍をあくまでシビリアンコントロールの元におくという保障が必要だ。日本の軍隊がどれだけひどいところで、軍がどれだけ暴走し、政治家たちを殺し、日本国民だけでなくアジアの人々を苦しめたかをぼくたちはつねに想起すべきだ。