村上春樹―都市小説から世界文学へ

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著者 : 松本健一
  • 第三文明社 (2010年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476033038

村上春樹―都市小説から世界文学への感想・レビュー・書評

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  • 権力者は必ず歴史を書き換える。過去を書きかえる。
    過去を書き換えたところでたしかにそれほどの意味はあるまい、現在という十字路に立って過去を誠実に見つめ、過去を書きかえるように未来を書きこんでいくことだ。それよりほかに道はない。

    自由になりたいという個的な思いで近代の人間は都市に出てきた。
    誰が健康で誰が不健康なんていうことは言えない。みんなが歪みを抱えている。違うのはそれぞれの歪み方であるという認識。

  • 村上春樹の初期の作品は、「都市小説」として捉えることができる。「都市小説」とは、近代都市、特に村上春樹作品では高度資本主義社会下のあらゆるものを記号として消費する都市と、そこに生きる人間の孤独や虚しさを描いたものだ。しかし筆者によれば『1Q84』のような比較的新しい作品では、「都市小説」というよりも「世界文学」といったほうが適しているという。「世界小説」とは人々の拠り所となる「大きな物語」を提示するものであり、極めて単純に言えば村上春樹が社会へのコミットメントを志向しだした現われといえる。そのため松本は、村上春樹はいずれノーベル文学賞をとるのでは、と述べているがはたして。

  • ま、まさか、あの北一輝を書かせたらこの人の右に出る者はいない松本健一にして、この様とは。たしかに、今まで再販を含めて110冊以上は上梓されている彼の著作のうち、右翼思想や政治思想について以外に書かれたものは、中里介山や太宰治や石川啄木や三島由紀夫や司馬遼太郎や谷川雁や竹内好や藤沢周平や二葉亭四迷や芥川龍之介や小林多喜二、そして村上春樹もあったにはあったけれど、どちらかというと文芸評論というよりは、彼らを通して時代精神を読み解くといった行為だと思って来ました。それが、一冊を費やして提灯持ちを演じようとは、夢にも思いませんでした。240頁程の本書、あっという間に読了しましたが、そもそも最初からの困惑と憤激いや噴飯という心情では、まともに読むのは困難なこと、たしかに読んだはずなのに一向に頭に入って来ないで熱くなっている自分が、限りなく愚かで愛想が尽きます。冷静になって再読するしかありません。

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