クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

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制作 : 井口 典夫 
  • ダイヤモンド社 (2008年2月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478001738

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭の感想・レビュー・書評

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  • 人間の創造力や問題解決能力はどういう環境や組織、はたまた都市で育まれていくのか、クリエイティビティに興味を持って手に取る.


    都市経済学者の著者が2000年代初期に出版。
    今後の社会は単純作業をするワーキングクラスではなく、新しいアイデアや技術、コンテンツを創造し、再編集し、問題解決をおこなう人材(クリエイティブクラス、コトラー
    がいう知識労働者にかなり近い)の時代が到来し、彼らがどれだけ都市の中で存在し、より生産性の高い業務を行うことができるかが今後の国家や都市の競争力を決定するというもの。

    組織の肩書が個人のアイデンティティになっていた工業社会の時代からライフスタイルが変化し、自分自身の関心や興味による自己表現を重視する時代になっているため、自分たちの行動を規制、規定するのは家族や組織、近隣ではなく、自分のアイデンティティに変化し、またそのアイデンティティを作り上げる努力をしなければならない時代である。
    近代のクリエイティブクラスが家庭をもつことや家族や周囲の人々との弱いつながりを好むのは自分のアイデンティティに基づく行動の選択の結果であり、以前より多くの人と関わりながら自分の関心を高めていることによる。


    その高い専門性やアイデンティティを持つクリエイティブクラスによって現在の経済成長はドライブされ競争優位が決定している。


    企業の競争優位がそういった人材の高い専門性によるものである以上、
    クリエイティブな人材が好む自由で寛容、多様性を受け入れる機能が都市がとして求められるという。

    統計上、近年の経済成長はゲイ指数、ボヘミアン指数等の都市の自由・寛容さ・多様性を測る指標と、クリエイティブな人材(エンジニア、アーティスト、デザイナー、芸能文化に従事する者等)の集積度、経済成長率に強い関連性があることを統計データで分析してる(有意何%等は記載なしですが)

    自由・寛容・多様性がさまざまな人と関わる機会や自由な発想を助長し,彼らの好奇心を満たし,多様なアイデア
    の源となる。

    ではそのような人達が自由で寛容な都市に何をのぞんでいるか。

    クリエイティブ人材が好むのはスポーツ観戦等の受け身なものではなく(スポーツ観戦が好きなクリエイティブ人材もいるが)単位時間当たりのエンタテイメント性の高さだったり、地理上そこでしか経験できない文化に触れること、またそのような環境で未知なる体験をしたり自己表現できるかどうかだという。


    国や自治体は、人口減少・経済成長の鈍化を食い止め、競争力を高めるために様々な方法を試している。
    われ次のシリコンバレーは自分たちだといわんばかりに。

    例えば雇用創出、スタートアップを生み出すような経済特区、法人税の引き下げ、学術機関の投資、設置等。
    しかし、クリエイティブクラスが好むような、地域でひっそりと自発的に育っている大衆文化や住む人の多様性に目をやったり、その意見を取り入れるしくみはなかなか存在しないのでどうしても剥離が生じているように感じてるという筆者。


    日本でも様々な地方都市が第二のシリコンバレーを生み出そうとしてるが、多くの方法は単にスポーツスタジアムを誘致したり、画一的な大型ショッピングモール等を
    作り、地域の文脈を無視した興業開発や観光客誘致にとどまる。



    チームラボ猪子さんのおっしゃることのほとんどが一致してるわけで、このままだともし社会が未来志向性をもっていたら東京に多くの人が集まっていくと思われる。
    しかし東京から日本独自の多くの文化が生まれていることは事実だが、誰もが簡単に自己表現しやすいような環境であるかどうかはわからない。
    日本の場合は東京より多様な都市がないだけで、もし様々なバックグラウンドを持つ人が住む都市が形成し、優秀な学術機関さえあれば面白いと思う。





    ここまで読んでみて、「ああなんだ最近では割と一般的な話だな」と思う一方で、一般的に言われてたことが実際のデータで裏付けられそれなりに妥当だなという確証を得られたのが一番の学び。

    政府主導のクールジャパンや地域の活性化を行う当事者が、経済成長を担う人材が好む文化の重要性や社会が向かう方向を見極める目をきちんと持っているか、また持っていなければそれを正そうとする仕組みが属人的になっていることが問題であると思う。

    やはり地理や文化の優位は必ず存在する。
    感性をこれからも大事にしていきたい。

    これがもう10年以上の前の本であったことに結構驚きを隠せない。
    もっとわかりやすくして中学生とかに読ませるべき良書。

  • ・クリエイティビティは究極の経営資源
    ・クリエイティブ時代を支えるのは、開かれた競争
    ・地域の選択は主にライフスタイルの観点からなされる
    ・経済発展は、寛容性が高く、多様性に富む
     (クリエイティブ資本が高い)地域で起きている
    ・クリエイティブな人は、
     クリエイティブな人が集まるところに住みたがる(類は友を呼ぶ)
    ・1人の人間が多様な顔を持つ。
     作家であり、研究者であり、自転車乗りであり・・・
    ・「スーパークリエイティブコア」
     新しい形式やデザインを生み出す。問題解決/問題発見を行う
    ・殆どのクリエイティブな労働者は、フリーエージェントではない。
     フリーエージェントの世界は、大企業なしには考えられないものだろう。
    ・「上司は部下の仕事について理解していない」
     (The New World of Work バーレイ 1996)
    ・ドレスコード:多様性と寛容性のコード
    ・人は自分の近くにいる人と最も相互作用しあい、
     23m以上離れている人とはめったに相互作用しない(Allen, 1997)
    ・クリエイティブクラスは、長時間働く
    ・クリエイティビティは、仕事と遊びがまじりあったもの
    ・絶えず刺激や経験を求めずにはいられないというのも、中毒のような状態
    ・企業が集まるのは、才能ある人々が集中することで生まれる力を利用するため
    ・人的資本理論によれば、経済成長は高等教育を受けた人々がいる場所で起こる。
     クリエイティブ資本理論では、クリエイティブ資本を保有する人々が 
     好む地域に経済成長が起こる。
     社会関係資本理論では、社会的結束と信頼そしてコミュニティーの連帯の
     産物として経済成長があると考える
    ・クリエイティブな人々は少ない強い絆と多くの弱い絆を好む
    ・ジェイコブスの古典「アメリカ大都市の死と生」1969
    ・地域経済の原動力としての大学:技術、才能、寛容性を相互連関させる
    ・子供にやさしい都市はクリエイティブ

  • 3

  • 創造的な都市とは何か?を考える上で具体的な指標が紹介されています。
    ※アメリカの都市を中心に分析されているため、世界的な比較、日本の都市におけるクリエイティビティの分析ができると良い。

    ▼労働人口を5つに分類
    ⅰクリエイティブ・クラス
    ⅱスーパー・クリエイティブ・コア
    ⅲワーキング・クラス
    ⅳサービス・クラス
    ⅴ農業

    クリエイティブ・クラスとカテゴライズされる人が増えてきている。クリエイティブクラスが集まる地域には特徴がある。その特徴を表す指標として、クリエイティビティ・インデックスが使われています。

    ▼新クリエイティビティ・インデックス
    技術・才能・寛容性のスコアリング
    下記4つの指数をもとに算出される。
    ⅰ労働力におけるクリエイティブ・クラス人口の比率
    ⅱ一人あたり特許件数で測るイノベーション
    ⅲハイテク指数
    ⅳゲイ指数、多様性の開放度


    多様性とクリエイティビティの相関性に関する考察が面白い↓

    ▼三つの多様性指数を合成した合成多様性指数(CDI)
    ①メルティングポット指数
    移民の地域別集中度

    ②ゲイ指数
    ゲイの地域別集中度

    ③ボヘミアン指数
    作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を職業とする人口の比率を測定したもの。

    ゲイ人口の地域別集中度を示し、その指標とクリエイティブ都市の相関性を導き出している。ゲイコミュニティへの開放度が高い地域は、ハイテク産業の集中度と相関性がある。

    ▼考察
    成功している地域は、スタジアムの建設や、工場や小売チェーンの誘致、新事業インキュベーション施設の整備を実施してきたわけではない。

    重要なのは、解決策はそれぞれの地域のなかにあるということだ。住民の知識、知性、クリエイティブな能力にかかっている。

    都市開発を行う際に、クリエイティビティ・インデックスを一つの指標として取り入れられると、持続的に成長する地域をデザインすることができるのではないかと考えています。


    高知県で地方の魅力を発掘し続けるでデザイナーの梅原 真さんの活動は参考になります。
    http://colocal.jp/topics/think-japan/innovators-intaview/20130225_15709.html

    地域を豊かにするという発想を、より定量的に分析し、現場に活かすために非常に参考になる本です。

  • 回転寿司チェーン店が軒を連ねる通りに、 他府県から行ってみたいと思うだろうか。 では、国賓の接待に使われる寿司屋さんの ある町ならどうだろう。 多彩なカップラーメンが並ぶ店に行ってみ たいだろうか。では、これ以上無いほどパ ワフルな味のスープや、独自の注文用語が 飛び交うラーメン屋さんのある町ならどう だろう。 あなたの町には、他府県から人が来たくな るコンテンツはあるだろうか。では、他府 県ではなく他国から希望がある程だろう か。

    グレートリセットからのリファレンス。都 市社会学者である著作が提唱するクリエイ ティブ・クラスの定義に迫る一冊。

    そこにしか無い、そこでしか得られない。 そんなブランディングに気づきが得られた と感じます。

    ブランディングについては、以下ブログと も併せて検討する良い材料となりました。 http://ameblo.jp/s-teranishi/archive-201404.html

  • アメリカだな~と思った

  • how, where, who, which community …
    人の仕事が機械に代替される中、資本(特にクリエイティブな)が集うところでイノベーションが起こる。どのような環境で発生するのかを人口統計や社会学の観点から分析を加える。
    ゲイ寛容、大学という知的生産拠点の有無、コミュニティの力。アメリカでは本書にて基準があるが、今の日本(tokyo)では、当てはまるのか。
    クリエイティブな発想を持ち合わせられる環境下に自らを置けるかどうかが、今後に影響を与えると感じた。

  • 農業時代:土地、人
    工業時代:原材料、労働力
    知価時代:知識、知恵

    組織人:同質性、順応性、適応性
    クリエイティブ:個性、自己表現、差異

    20世紀半ば
    製造業→サービス業
    脱工業社会

    社会変化、クリエイティブ階層の台頭

  • 21世紀は知識社会になると提言した人は、ドラッガーであったり、ベルであったりと結構多い。PCの登場で、個人でも情報を簡単に生成、蓄積でき、インターネットの台頭で、その情報がクリック1つで全世界まで拡がることを知った。そして、スマートフォンの拡大は、その情報が私たちの生活にまで浸透するファーストステップだったように思う。これだけ情報がアンビバレントに拡がり、いわゆる20代を中心としたY世代では、情報がどこにでも手に入るということが当たり前になってきている。これから必要なのは、その情報をうまく知識にデザイン(もしくはリ・デザイン)できる能力だと思う。それこそ、デザインは意味が無さそうな繋がりから、有を生み出す行為でもある。そこには創造する力”クリエイティビティ”が必須なのだ。

    一般にクリエイティビティとは、「無」から「有」を生み出す行為とされる。でも、僕はその概念自体は真であっても、これだけ無数に情報がある社会ではむしろそこから構築していく能力といったほうが適切なのだと常々思う。本著はあくまで、そういうクリエイティビティが必要だという前提に立ち、それを発揮しながら仕事をするクリエイターたちにはどのような環境が必要なのか、という環境論に終始している印象がある。でも、その中でもクリエイティブ・クラスに必要な要素はいろいろ語られる。

    これはクリエイティブな思考は、仕事をするといういわゆる勤務時間という概念が無意味になってきていることを示している。僕はワークライフバランスで語られるライフワークという概念よりも、よりもっと広い意味でワークをライフにできるような仕事の形、それがライフワークではないかと思うし、企業も積極的なそういう新しい仕事の形を模索していかねばならないのではないかと常に感じている。

    でも、これも裏腹で、それだとそのような思考な状態に入ったときは、いつでも仕事をしていることになる。こういうときに今までの勤務時間、それに絡んだ給与の在り方はどうなるのだろうといった、セコい考えも生まれてしまう(笑

    それとはまた別の議論として、クリエイティブな思考状態にいるのは常にいろんな考えに対して、自分の思考の窓をオープンにしていなければならないということがある。そうした多様性と人とのネットワーク、もっと広げて、都市の在り方にまで言及しているのが興味深かった。アメリカの都市では例えばデトロイトのような、工業都市の場合は工業製品の需要・共有というサプライヤーの関係のみでつながり、生産性向上という1つの目的に対しては動きが早いが、同質的な”強い絆”の考えが重要視され、都市としては閉鎖的になる。こういった都市はクリエイティブな職につく人は少ない。一方、サンフランシスコのような西海岸の都市は、そもそも宗教的にも、文化的にもオープンな土地であり、多様な民族や様々な考えをもった人々を受け入れる土壌がある。その中で人々が”弱い絆”で結びつき、様々な製品・サービスを多種多様に生み出す。こういった都市にクリエイティブ・クラスは多くなるといった傾向がある。都市デザインと、そこに結びついた産業の振興は、日本の地方都市にも早急に適応できるような考え方だと思う。

    ただ、そうしたクリエイティブといった能力の中身の話は全く触れられていない。クリエイティブ・クラスをいかにして増やしていくのか、教育論も含め、そうした人材の育成にスポットを当てた議論を著者には今後期待したい。

  • つまんない本だった。
    これ、原題は『創造的な階級の台頭』でしょ?
    経済関係の本って、日本語にすると、ぜんぜん売れそうじゃない題名がけっこうあって、そういうのを現在のニュースや話題に関連付けたり、やたらとショッキングな題名をつけたりして、売ろうとする場合が、多いような気がするんだけど。
    それにしても『クリエイティヴ資本論』なんて、そんな大げさな題名をつける必要があったのか?

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クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭の作品紹介

多くの先進国では、クリエイティブ・クラスと呼ばれるまったく新しいタイプの労働者が総労働人口の3割を占める、クリエイティブ経済の段階に入っている。クリエイティブ・クラスとは、新しいアイデアや技術、コンテンツの創造によって、経済を成長させる機能を担う知識労働者層を指し、その所得水準も高い。クリエイティブ・クラスは、自分の能力が生かせる、または暮らしたい環境がある場所を選び移動していくため、クリエイティブ・クラスが集まる地域とそうでない地域の間で経済成長の格差が拡大しているのが現実だ。著者の主張は世界的に注目され、地域経済の再生に実践されるようになってきた。本書では、クリエイティブ経済に不可欠な3つのT(技術、才能、寛容性)の関係を明らかにし、クリエイティブ経済の本質を、マクロ経済、働き方、日常生活、社会制度の側面から広範に解説している。

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