学習優位の経営―日本企業はなぜ内部から変われるのか

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478002247

作品紹介・あらすじ

本業こそ次世代成長の宝庫。次世代の成長の可能性は、それぞれの企業の内側に眠っている。それは、企業には事業を続けてきたそれぞれの歴史があり、そこで育まれたDNAが生きているからだ。自社のDNAのどの部分を残し、どの部分を捨てるか。この課題に、外資系コンサルティング会社で20年の経験を積んだ著者が、日本企業の現実に合った解を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 経営コンサルタントの著者による、リーン・スマート経営に関する書籍。余分なものを削ぎ落とすのがリーン、顧客体験価値を大きくする仕掛けがスマート、ということ。粘着度の高いマーケティングが必要だが、顧客視点での価値設計を従来よりも重視する、そのための社内体制を整備して、というあたりは理解しやすい。顧客視点でインサイトを得ること、それに技術をぶつけることということの全体設計が経営視点で必要である。
    最後には、独立する著者によるこれまでのコンサルティング経験のまとめのような経営者へのアドバイスがあり、全体としていいまとまりだったと思う。

  • 競争優位ではなく学習優位を実践するための経営フレームワーク本。変化が激しい時代には合ってると思うし、大企業向けなことや日本の現場論にも通ずる点は非常に共感できる。が、肝心の、顧客接点→組織DNA→顧客洞察→事業現場、のフレームワークが全く腹落ちしなかった。単なるPDCAを難しく表現しているだけのようにも感じる。

  • 序章 今、なぜ成長か
    第1章 スマート・リーンが拓く次世代成長
    第2章 資産構造を組み替える
    第3章 スマート・リーン経営のダイナミズム
    第4章 成長を駆動する組織要件
    第5章 組織のメビウス運動
    第6章 組織の慣性を打破する
    第7章 企業進化の実践
    第8章 日本企業復活に向けて

  • 改めて強い商品、競争力とは何かについて考えさせられる。2時間の移動の中で一気に読み上げることができた。自社にしかできない価値提案をし続けるために、そのような仕組みをまわすか(メビウスと表現)、を提言する。タイトルと内容のリンクは理解し切れていない。筆者の提唱するスパイラルアップの形ができていることを“学習”と表現しているのか?

  • この夏の課題図書のひとつ。内容はものすごくストレート。キーワードの作り方がコンサルっぽい。すぐにでも企画書で使えそう、なんてことを考えるのは、一部の人間だけだけでしょーか。

  • 本業こそ次世代成長の宝庫!!
    自社のDNAを覚醒させ、自社の強みをずらしていく。
    読み直せば、都度発見があるようなシブい本。

  • 1.概略
     アップルに代表される高付加価値化(:本書では“スマート”と表現)に長けた
    欧米企業と、コスト競争力に強みを持つ(:本書では“リーン”と表現)韓・中・
    台企業に押され、劣勢に立たされる日本企業は、スマートorリーンの二者択一的
    な問いから、コストと価値を両立させる(:スマート・リーン)にはどうすれば
    よいかという本質的な問いかけへと発想を転換する必要がある。
     スマート・リーン実現を目指すには、本業を重視する日本企業ならではの戦略
    があるはずだと筆者は説いており、それは“事業から学ぶ”仕組みを作ること、す
    なわち「学習優位の経営」であると提起している。
    スマート・リーンをいち早く実現し、確固たる地位を築いている日本企業とし
    て、ユニクロ(ファーストリテイリング)や任天堂、セブンイレブン、リクルー
    ト等を挙げており、こうしたプレイヤーは、闇雲に確度の低い「飛び地」の未開
    領域で新たな事業チャンスを模索するのではなく、本業に軸足を置き、そこから
    「拡業」をすることで、競争力を高め、他社を大きくリードすることに成功して
    いると論述。
    本書の独自性としては、筆者オリジナルのフレームワークである、「イノベー
    ションの4 1ボックス(P.109)」を用いて、本業の中に隠れる4つの「見えざる
    資産」を、「メビウス運動」 でつなぎ、継続的なサイクルとして回していく手
    法や、それを可能とする組織論などを提唱している点がある。

    2.所感
    いわゆる経営戦略論には大きく2つのアプローチがあるとされています。1つ目
    は、外部環境(市場、競合)の分析の上に立ち、自社をどこに位置づければ競争
    優位に繋がるかを検討する「ポジショニングベースの戦略論」。2つ目は、まず
    自社が内部に持つ固有の経営資源を基点とし、そこから戦略を構築する、「リ
    ソースベースの戦略論」であり、本書の主張は、後者に分類されます。戦略論と
    して、目から鱗が落ちるような新鮮なアプローチをしているわけではありません
    が、「飛び地」の新規事業を夢見るのではなく、本業に軸足を置き、そこから
    「進化(深化、新化、伸化)」させることで、「拡業」を目指す方が、地に足の
    ついた、日本企業らしい成長戦略になり得るという主張は、皮膚感覚からも納得
    感のあるものだという印象を受けました。
    又、そのためには、自社の本質的なDNAを見極め、組織内で共有し、徹底的に磨
    いていくことこそが出発点と説いていますが、翻って、「当社の本質的な DNAと
    は何か?」と考えた時、果たしてコンセンサスとなる解が組織(経営層、経企
    室、事本)内に醸成されているかという観点も、当社中期戦略検討の一助になる
    と思料致します。 

  • フレームがちょっと複雑で(私にとっては)
    フレームをきちんと理解するのには、最後まで読みきる必要がありました。

    「脱学習」というコンセプトには、大きな気づきがあり、
    今後の仕事に活かしたいと。。。

    再読したい本です。

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著者プロフィール

一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)客員教授
東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。三菱商事の機械(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。マッキンゼーのディレクターとして、約20年間、コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。2010年一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)教授、20年より現職。

「2021年 『稲盛と永守 京都発カリスマ経営の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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