経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478002254

作品紹介・あらすじ

"伝説の外資トップ"と呼ばれる著者が、20年以上に及ぶ経営職経験で得た知見を初めて体系化した「社長の仕事」実論。

感想・レビュー・書評

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  • 社長になる人のみならず、人をまとめる立場に就くすべての人に読んでほしい良書。シンプルで余計な飾りのないカバーも、本書の内容を体現しているようで良い。この本はたった一度読んだだけで満足して終わるようなものではなく、自分の置かれている状況や悩み事に応じてその都度読み直し、繰り返し学ぶことができる。まさにこれこそ『本』の良さである。

    以下、本書より抜粋。
    「A man is a sum total of all people he has met in his life. 」

    「経営者に知識や経験が必要なのはいうまでもないが、それに負けず劣らず重要なのが、実は『情熱の火を分けてくれる人と付き合う』ということなのである。人間は環境により大きな影響を受ける。自分が付き合う人は、広い意味の環境という概念の一部である。」

    「『俺についてこい』とむりやり引っぱっていくのは、三流のリーダーのやることである。そこには『やらされ感』しかない。二流のリーダーは、説明して、それなりに納得させて人を導いていく。だが、一流のリーダーは違う。喜んで人がついていくのだ。なぜか。だれもが納得しうる『トンネルの先の光』を示しているからである。先の光を示すと社員のいままでの『やらされ感』は『やりたい感』に変化する。強制動機は内燃動機となる。」

    「会して議せずの愚を避けるためにも、つねに会議の本質、すなわち『根』を意識しておく必要がある。この会議はそもそも何を目的とする会議で、何時に始まって何時に終わり、終わったときに何を達成しているべきか、といった『根本』を冒頭で明確に宣言し、出席者の意思統一を図っておくことが肝要である。」

    「『人は結局、思ったとおりの自分になる』文豪ゲーテが残したとされるこの言葉も、長年にわたって私の支えとなってきた。人は『こうなりたい』と願い、それを行動に移すことで少しずつ自分の理想像に近づいていく。」

    「理念こそが、閉鎖間を感じる社員たちが求めている『方向性』であり”トンネルの先の光”ということだ。
    - ビジョン:わが社はどういう会社になりたいか
    - 使命:わが社はだれのため、何のために生きているか
    - 価値:経営を行う時に何を大事にするか
    このままでは抽象的すぎるので、理念に数字を加える。するとより具体的な『目標』が生まれる。『どうなりたい』とは『理念』と『目標』の二つからなる。前者が概念的、抽象的であるに対し、後者は計数的で具体的であるという特徴を有する。」

    「この5段階を経たうえで目標を設定すれば、よほどのへそ曲りでないかぎり、普通の人はいやでもやる気が出るはずである。全体像という森を理解したうえで、自分が認められて、十分に任される。必要に応じて適切なアドバイスがもらえ、みごとに目標を達成したあかつきには、結果にふさわしい評価と処遇が待っている。言葉にすれば実にシンプルなことだが、多くの組織ではこのプロセスが満足に機能していないのである。」

    「経営者として他責に陥らないために、自戒の念を込めて私がモノにした他の歌をご紹介したい。『難しい とてもできない 忙しい 人が足りない 金も足りない』責任転換は成長機会の自己否定である。ぜひとも会社のなかに経営者から自責の風を吹かせたいものだ。」

    「査定と言うのは、査定すること自体が目的なのではない。査定をすることによって、部下のやる気を高め、会社に対してさらに大きな貢献ができる人間になってもらうことが、本来の目的である。経営者や上司は、そのためのヒントやアイディア、提案、提言を供することに心を砕かなければならない。査定の場とは、自分の能力を高めるためのアドバイスをもらえる場だという意識を部下が持つと、年回査定の機会は部下にとって『苦しみ』ではなく『楽しみの場』となる。」

    「部下が上司を評価する360度評価がきちんと機能するためには、『上司を評価する精神的な成熟度が部下にある』という前提が必要になってくる。そうでなければ、単なる人気取りの上司が評価されるようなことになりかねないからだ。同様に、お客様からの評判が良い社員がいたら、これも手放しに評価するのは危険である。どういう理由でお客様からの評判が良いのかと言う『真相』を、じっくりと吟味する必要がある。評価は評判ではなく、事実に基づいて行うべきだ。」

    「これからの数年間で、たとえあなたが社長としてどれだけ立派な業績をあげたとしても、社長を辞すときまでに自分の後継者を育てていなければ、私はあなたに50点以上の点数はつけられない。」

  • この本に書いてある内容のことを考え、実行している社長だったら、従業員幸せだろうなぁと感じた。
    経営者だけでなく、一般のビジネスマンにとっても参考になる話がたくさん。

    理念、ビジョン、目標、人材、経営にとって欠かせないものの質をいかに上げるかが重要なんだろうなぁ。

    結構おもしろかった。

  • 私は平社員ですが、私の実感がある範囲でも「そうだよね、そうだよね」と首肯する内容でした。また大手日本企業で働く中で、理念をやたらと持ち出すこと、プロセスを評価すること、顧客を感動させることを説かれていたことなど、その狙いが言語化されて、ようやく手に取るよるように理解できたと感じました。(平社員まで理解できるよう浸透させるのが経営者なので弊社はあと一歩足りないですが…)
    おそらくこれから更に経験を積むに連れ、理解できること、自分の糧にできることが増えてくると思うので、数年ごとに読みたいと思いました。

  • 部長職以上は必読。

    【ざっと内容】
    タイトル通り、新さんが経営者として最低限必要なマインドや行動を30項目あげ、丁寧に解説。
    目標とは、部下とどう接するか、後継者はどう作っていくか等々。

    【こんな人にオススメ】
    ・部下がいるマネジメント層の方
    ・将来社長になりたい、なる可能性がある方

    【こんな人は読まんでいい】
    ・入社2,3年以内や学生の人
    ・部下を持つ予定のない人
    ・具体的かつ細かい経営事例をinputしたい人

    【感想】
    さすがという感じ。
    言われてみれば当たり前のことだが、出来てないことがたくさん見つかった。
    各項目に「こんな人はいないか?」「これが大切な理由は〜だからである」と少ない言葉で的確かつ丁寧に述べられていて、「あーこれあの上司やってて、俺嫌だったわー」「俺たまにこれやっちゃってるな……」「あの時部長が言ってたことはこういうことだったのか」といった内容が盛り沢山だった。
    経営というタイトルではあるが、「人の上に立つ人が備えておくべきマインド」が詰まった一冊なので部下ができる前の準備や出来てしばらくした後の振り返りとして繰り返し読むべき本。
    いい言葉にたくさん出会えたが、個人的なお気に入りは「慢性的な残業は無能力の証であり悪徳である」。耳が痛かった。

  • 真正面に経営についての考えが述べられている本
    数多くの会社を経営してきたからこそ考えられるエッセンスが詰まっている

  • 企業理念が会社にとってどれほど大事であるかは、言われ飽きているくらいである。では、経営理念が策定のみに終わらず、生きた企業理念となるためには何が必要なのか。著者は10の条件を挙げている。

    ①紙に書いてあり、"見える化度"が高い
    ②表現、内容、長さがユーザーフレンドリーであり、人を鼓舞する
    ③作成の過程に社員の参加・参画がある
    ④社内外のステークホルダーに対し、徹底的にコミュニケートされている
    ⑤経営判断・決断や業務の場で"仕事上の道具"として使われている
    ⑥差別化があり、戦略の根源として機能している
    ⑦定期的に実践評価が行われ、是正処置がとわれている
    ⑧必要に応じて改訂を加えている
    ⑨グローバルに通用する
    ⑩トップの強いコミットメントが具体的な形で示されている

    本書ではこのように条件や原則にわけ、わかりやすく丁寧に記載されている。その他気になった内容は、以下と引用に残す。

    顧客を感動させる会社になるための五原則(P95)
     ①我が社にとっての重要顧客を特定する
     ②顧客期待をしっかり把握する
     ③顧客満足度と不満足度を把握する
     ④顧客満足を果たし、上回るための行動計画をつくり、実践する。
     ⑤改善状況の定期的評価と是正処置を行う

    社員にとって悲しいこと4つ(P184)
     ①会社から何をきたいされているかわからない
     ②結果は出したが、それがどのように評価されているかがわからない。
     ③成果が評価・処遇にどう結びつくかがわからない。
     ④将来の方向性が見えない。
    この逆を行えば、会社にとってのグッドと自分に取ってのグッドが両立する。

  • 47u2

  • 最近読んだ小宮一慶さんの「社長の教科書」での理念やお客様志向に重きを置いている点に共通点が見られます。

    経営者向けの教科書の様にも思えますが、実際には社会人特にマネージャー職の人にとっても十分参考になります。

    文章がすっきりまとまっており、後からも読みやすい内容になっており手元に置いておきたい一冊です。

  • 30か40の人が書いた本かと思ったら70過ぎの方で驚いた。
    すごく論理的で合理的な思考。戦前生まれの人の言葉とは俄には信じられない。

    すごく分かりやすくていい本でした。

  • 著者の新 将命(アタラシ マサミ)氏はJ&Jをはじめ社長職を渡り歩いた経営者
    「経営の教科書」と聞くと社長限定の指南書に思えるがドラッカーをはじめ数多くの著名人の言葉が散りばめられているので
    普通の会社員にも有用な本でもあるし普通の会社員にも読んでおきたいポイントがいくつもある

    「人を育てるための最も効果的な方法は任せることである」

    これはドラッカーの引用であるが社長に限らず部長や課長など役職のある人
    生活面にしても子育てに通ずる大切な言葉と言えます

    おわりには昨今のリーマンショックによる不況を経営者視点で書いてある

    「100年に1度などと危機感をあおっていられるのは、経営の現場に身を置いていない評論家や学者くらいなものだろう。
    100年に1度だろうが500年に1度だろうが、そんなことはどうでもよい。
    経営者にとっての問題は、厳しさをどう乗りきるか、ということなのだ。」

    経営者やリーダーはタフでなければやっていられない
    現在はリーマンショックに続き大震災に襲われた日本であるが下を向くことなく復興と社員の生活を支える経営者には敬服したい
    星1つの減点は自分自身が経営者ではない立場だからであり経営者にはこれほど重宝される1冊は見つからないかもしれません

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著者プロフィール

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。
1936年東京生まれ。早稲田大学卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から2011年3月まで住友商事株式会社のアドバイザリー・ボード・メンバー。2014年7月より株式会社ティーガイアの非常勤取締役を務め、「伝説の外資系トップ」と称される日本のビジネスリーダー。
主な著書に『経営者が絶対に「するべきこと」「してはいけないこと」』『仕事と人生を劇的に変える100の言葉』『他人力のリーダーシップ論』(いずれもアルファポリス)、『経営の教科書』『王道経営』(いずれもダイヤモンド社)など多岐にわたる。

「2017年 『自分と会社を成長させる7つの力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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