カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478003695

作品紹介・あらすじ

グローバルに成長を続けるプライベート・エクイティ投資会社カーライルの投資理念の核心に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • MBOには上場企業の非公開化、オーナー企業の分散株式の集約、ノンコア事業のスピンアウト等、が主な選択肢であり、それぞれの実例が学べた。特にキトーの事例は興味深く読むことができた。

  • 2022.4.9 読了
    PEの存在意義、カーライルの戦略、日本企業の資本市場に求められるもの、などの観点からまとめられていて読みやすい

  • 【目的】
    カーライルの投資案件ケーススタディ
    【評価】
    案件としては4つ具体的に取り上げられている。物語形式で背景や企業価値向上施策がよく纏まっていて良い。一方投資案件なのでリターン等の計数面も開示可能な範囲でもう少し具体的な情報が欲しかった。昨今の日本のPE業界の発展を鑑みると、分析対象としては少し古い案件ではあるが、バイアウト投資の本質的な部分は同じであり、逆にこれら投資先のその後の状況を調査する事で、カーライルが残したインパクトを正負両面から後追いで考察する事が出来た点は良かった。
    又、案件のケーススタディとしても良かったが、カーライルの歴史や企業カルチャー、日本社会における存在意義の話などが非常に興味深く、また個人的に共感出来る部分が多かった。

  • P172 カーライル・ジャパンの投資後の方針とその背景

    ひとつ重要な事実は、カーライルも日常の経営執行については経営者に全面的に委任するという点である。

    ドラマにあるように、彼ら経営陣の成長戦略を吟味したうえでその計画に乗ることを決めたために、プライベート・エクイティは投資するのである。

    P178 経営の執行はあくまで経営陣にゆだねながら、彼らが戦略を遂行できない課題に注目し、それを取り除くという協同の仕方がカーライル流~~それでもわれわれコンサルタントの目でみれば、「社長の限界が会社の限界」という事実は避けられないように思える。

  • カーライルの実態や、せっかくNYまで行った際のグループ会長とのインタビュー内容というよりは、
    投資先の企業いくつか(KITOやWILLCOMなど)にフォーカスし、採り上げに至る流れや、事業内容の説明、投資先経営者・社員とカーライル社員のやりとり諸々がツラツラと書かれた本。

    カーライル社員が書いた内部事情的な本ではないため、ちょっと期待していたものとは違った。また、著者のちょっと気取った(カッコつけたがる)文体があまり読んでいて気持ちのいいものではなかった。

    2007年に書かれた本のため、投資先企業を取り巻く実態などもかなり古い。

    一方で、以下はカーライルというファンドがどういうタイプのファンドか、イメージを掴むのに参考になった。
    ・カーライル社員が自分たちの投資先に、情熱を注ぎやすくするため、社員自ら株を買っていることもある
    ・カーライルジャパンは全員日本人で構成されている
    ・カーライルは①日本へのコミットメントが高いファンド②オペレーションをローカルに任せる
    ・コンサルとカーライルの一番の違いは、カーライルスタッフが現場が好きという点

    技術は優れているはずなのに、グローバル化の波にのまれて埋もれそうになっている日本企業。昔ながらのモノづくりを誇りに思って、経済的に危機的状況から脱却できない経営者には是非読んでほしい本。

  • 聞いたことはあるけど実態を知るチャンスがないPEファンドについて分かりやすく、かつ読み物としても面白く描いた本。戦後、日本の産業拡大を牽引したのは銀行の資金であり、ボトルネックとなる資金をメインバンクが提供し系列企業に対する株主という立場でコーポレートガバナンスの役割を担ったということが新たな学びだった。

  • ◼︎目的は顧客価値にあり、企業価値は結果に過ぎないと考えるのがメーカーの経営陣である。
    一方で、ファンドというものは企業価値が目的である。
    「われわれが目的ではなく結果だと位置づけているものを、ファンドは目的としている。彼らの存在意義は、われわれの存在意義とは異なっている。」(P75-76)

    ◼︎「日本の経営者はモノづくりを尊びます。それはよいことですが、一方で金融を嫌う傾向があるのではないでしょうか」
    嫌いだから学ばない。しかしそのことによって、せっかくこれまで優秀な社員が基礎研究に膨大なエネルギーをつぎ込み、世界の中でもトップクラスの技術力を保持してきた日本企業が、グローバル競争の中で沈んでいかとすれば話は別である。経営者は金融資本主義を嫌ってもよいが、同時に真剣に学ばなければならない。(P241)

  • ボスコン出身者のコンサルティング会社代表がカーライルに取材した内容をまとめたもの。
    カーライルは本部から各国に自国のマネジメントを派遣することをせず、各国のオペレーションはローカルの人材に任せる、という記述が印象的。
    コバレントやウィルコム、この書が出版された頃はまだ問題が噴出していなかったようです。

  • 国内書籍には珍しく、プライベートエクイティファンド(以下「PE」)を好意的に描いている。PEが本来負う役割を丁寧に解説した本だと思う。

    題名に反して「カーライル」の本質に迫ったといえるような記述は少なめに思える。事前知識があればブラックストーン等他PEとの違いが読み取れる程度。公表事実とインタビューを丹念に追うことで本書は構成されている。

    事例は製造・通信・製薬と豊富で、特にカーライル社の山田氏は相当異色な感を受ける。カーライル人を通して、ファンドとしては珍しく人間味溢れる組織像が浮かび上がる。そうした動きが出来るのも、カーライルという組織が現地に権限委譲を行い、企業価値向上の支援とEXITというPE本来の機能に忠実だからこそ出来るのかもしれない。

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著者プロフィール

経営戦略コンサルタント

「2022年 『日本経済 復活の書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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