世界経済危機 日本の罪と罰

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著者 : 野口悠紀雄
  • ダイヤモンド社 (2008年12月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478007938

世界経済危機 日本の罪と罰の感想・レビュー・書評

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  • 今回の経済危機を豊富なデータと共に解説した本です。

  • わかりやすい。グローバル化の本質がわかった。特に食糧自給率向上は意味ないなど。

  • たぶん会社でもらってきた本。2008年当時の経済情勢についての解説だが、いま読んでも参考になる。この分野は弱いので、一部は飛ばし読みしてしまったが。折に触れてこういう本を読んでおかないと、すぐついていけなくなりそう。

  • 世界経済危機という大げさなタイトルだと思っていましたが、この本を読み進めていくうちに、内容を端的に表現されているなと思うようになりました。昨年(2008年)の夏ごろまでは国内海外ともに経済はとても好調だったように思います、ところが、秋以降の展開はいまだに何が起きたのかがわかりません。

    そのために、それらを解説した本を読んでいるのですが、その原因は漠然としています。日本の強みである製造業ばかりに頼っていてはいけない、社会構造を変える必要がある(アメリカ型になるのが良いのか?)という論調の野口氏の意見も今後の日本にとっては重要なのでしょうか。

    彼がどれほど日本の製造業の現場を見ているのかが疑問に残るところです。特に、金の価値を基準とすれば、原油・商品の価格があまり変化しなかった(p165)、というのは新たな認識でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本もバブルが発生していた、わかりにくいかたちで生じたためにバブルであったこと自体が意識されていない、それは異常な円安である(p15)

    ・トヨタの場合、1円の円高ドル安は、約400億円の減少、1円の円高ユーロ安は、60億円の営業利益の減収要因となる(p21)

    ・日本の輸出増は、日本の輸出産業の真の競争力増強によって実現したものではなく、輸出量の拡大と円安によって、日本の輸出産業の価格競争力が実力以上に高まったことによる(p29)

    ・日本は6850億円の住専処理のときには大騒ぎしたが、10兆円の公的資金の銀行への投入は問題視されなかった、それ以外にも銀行の不良債権処理償却を法人税上損金とみなす処理により、国民は更に39兆円負担している(p45)

    ・経済学者は、住宅価格の上昇率は賃貸料の上昇率をはるかに上回っているので、バブルと言った(p52)

    ・アメリカの投資銀行はなくなり、証券業務と商業銀行業務の分離を基本原則としているアメリカの方針は、歴史的な転換となった(p68)

    ・サブプライム問題は、本来であれば、ファイナンス理論や金融工学を利用して投資対象のプライシングを行うべきであったのに、それをしなかったことにある(p78)

    ・アメリカが赤字(経常収支)を切り抜けられるのは、アメリカへの資本流入があるから(p91)

    ・ガソリンに対する税負担率は、日本は44.6%、ヨーロッパは60%に対して、アメリカは12.7%と低い(p96)

    ・サブプライム問題はいずれ落ち着くだろうが、過剰な住宅を支える税制は、変わっていない(p99)

    ・アメリカに資金を提供し、そして円安を維持することによってしか、日本の企業は生きられない、この構造は変える必要がある(p105)

    ・日本の対米投資(682億ドル)、アメリカの対日投資(マイナス485億ドル=引上げ)で、合計1167億ドルが、対日経常収支赤字(1102億ドル)と対応している、日本は経常収支(貿易収支)で、対米黒字を実現して、それを資本取引を通じてアメリカに還流させている(P126)

    ・円高は、円キャリー取引の巻き戻しであり、外国への投資に向かっていた資金が戻ってきたため(P145)

    ・1トロイオンスの金価格と、1バレルの原油価格は、10対1の関係がある、金の価値を基準とすれば、原油・農産物も、価格が上昇したわけではない(P165)

    ・食料自給率はカロリーベースで考えると、野菜・果実は同じ重量でもカロリーが低いことから、価値に比べて低い評価した与えられない、生産額ベースの自給率は70%、鶏卵は生産額ベースでは96%だが、餌(とうもろこし)の自給率が9.7%なので、カロリーベースでは自給率が9%となる(P172)

    ・食糧問題とは、食料が不足して食料が手に入らなくなることではなく、高くなった食料を買うことができるか、という問題である(P183)

    ・2008年7月において、東京都内のビックマックは280円、ニューヨークのマンハッタンでは、3,4ドル、これから為替レートを求めると1ドル=82円である(P200)

  • リーマンショックが起こった構造、そして日本の構造的な問題。ミクロではなくてマクロ的な視点でリーマンショックを考える必要がある。4年がたち今ヨーロッパ発の経済危機が起きようとしている。歴史は繰り返すというけれど、同じような大きな経済危機が起きたとき、私たちはうまく立ち回れるだろうか?、今、試されようとしている。

  • サブプライムローン問題、リーマンショックとは何ぞや!という方にお勧めの本。

    経済学を知らない一般者向けにわかりやすく説明されている。

  • この経済危機はアメリカだけで起こされたわけではない。共犯者がいる。それはアメリカに資金を提供した日本、中国、産油国だ。
    これらの国が、USAに対して貿易収支で黒字を計上し、それによって得たドルをアメリカに投資した。つまり資本取引によってアメリカに黒字を還流させた。
    日本に関しては、輸出産業の利益のために無理のある円安を続けてきた。その結果、日本の株価下落はUSAのそれよりも激しい。まさに輸出立国の危機だ。
    上記がこの本の論旨。これを様々な統計を使って示している。
    住宅バブルかどうかを判断するには、住宅価格の上昇率と平均給与の上昇率を比べてみるとよい。
    各章各項に、Pointがまとめられているので、まずはそれを読んでからがよい。また本文は重要な個所は太字で書かれている。
    P58 危機の進展年表
    P116 マンデルフレミングモデル
    P112 国民経済計算
    P133 量的緩和、非不胎化、円キャリー取引
    P142 ミンスキー・モーメント
    p223 PERの算出に用いられる利益や、PBRの算出に用いられる純資産は過去の値だ。経済情勢が急速に悪化する昨今ではこれらに頼って投資をするのは危険

  • 日本のバブル崩壊は金融機関の問題だったので救済や不良資産の買い上げで問題解決できたが今回は実体経済の問題が背景にあるため解決が難しい、02年以降の日本の景気回復は持続可能でない2つの異常な条件によって実現したものでありいずれは崩壊する性質のものだった、巨額の借入で投資額w膨らませてリスク資産に投資するという投資銀行モデルは崩壊・日本の輸出立国モデルも崩壊(表裏をなすもの)、輸出増は真の競争力増強ではなく輸出量の拡大と円安によって価格競争力が実力以上に高まって生まれたもの(実態は旧態依然)、本当は産業構造の変革が必要だったにも関わらず古いタイプの産業を支えるためまったく逆の金融緩和と円安政策がとられた、今回の株価下落の主要要因は無理ある円安を続けてきたこと(バブル)が崩壊し元の状態に戻っただけのこと、不況が続く限りは資本注入で不良債権問題は解決できない、金融機関が本格的に損失処理を行うのはこれからの問題←マクロ経済の歪みがありこれが是正されるには相当の時間を要す、MBSやCDOが株式と異なるのは市場で大量に取引されているわけでないので客観的な価格が存在しないこと→格付期間がクローズアップ、元々格付けは住宅ローン証券化商品のリスクを完全に評価することはできなかったもの、サブプライム問題の本質は本来行われるべき「資産の価格付け」ではなく似て非なる「格付け」に全面的に依存したこと、分散投資で回避できるのは「個別リスク」であり「市場リスク」は回避できない、市場リスクは相互扶助(保険)では対応できないもの、信用デリバティブなど金融革新はこれまで不可能だったリスクの移転を可能にするという意味で進歩と言える、問題なのは信用デリバティブの価格評価、日本の金融機関の大部分は古い伝統的な業務に終始しており信用デリバティブのような先端的分野では大きく立ち遅れており今後大きな問題となってくる、アメリカ経済に対する信頼があったからこそアメリカは経常赤字のファイナンスを続けられドルが減価しないで購買力を維持できた、アメリカは税制上住宅が優遇されているので住宅バブルが起こりやすい、80年代後半以降アメリカ経済の順調な成長に伴ってアメリカ人の生活が豊かになりそれが経常収支の赤字増大になって現れた、アメリカは税制上の措置によってガソリン価格が安く住宅建設が有利になっている→豪華な郊外の住宅・自動車で移動→ガソリンと自動車・住宅への支出が世界標準から比べて過剰(変えるのは難しい)、対米投資が続いたのはアメリカが借金を確実に返すという期待によるドル高維持と黒字国が自国内に適切な投資対象を見つけられないことにより対米投資を続けざるを得なかったため、アメリカの赤字が大きくなりずぎてくるとその持続性とドル暴落の危険が議論されるようにはなった→主流にはならず、日本はその潜在的な経済力(経常黒字)を生活の豊かさ実現には使わずひたすらアメリカに貢いできた(貧困な経済政策)、日本の産業構造が大きく変わらない限りアメリカに資金を提供し円安を維持することによってしか日本の企業は生き延びられない、貿易黒字に頼った成長はできないことが明確になったにも関わらずそれからの脱却は大きな摩擦を伴うため実現はほとんど不可能、アメリカから資金を引き揚げればドルが減価し保有しているドル資産が暴落する(実現不可能)→アメリカに資金を還流させる構造が継続し住宅バブルも継続した、日本はアメリカに巨額の投資を行ったという意味で住宅バブルを支援し円キャリー取引を通じてアイスランドや東欧の住宅ローンも支援した、日本の住宅産業は円安に乗ってアメリカでの販売を増加させそこで得たドルを投資しそれによって住宅ローンも支援しバブルの増殖に手を貸した、トヨタの利益が年々驚くべき勢いで増加したのは住宅バブル抜きには考えられないこと、アメリカの輸入増大=日本の輸出増大→日本の景気回復に寄与、アメリカはゼロに近い貯蓄率を続け消費を謳歌しその穴埋めを区黒字国からに資金を受け入れることで行ってきた、為替の問題を忘れてはならない→ドルの信認の問題、アメリカの経常収支赤字問題は解決にはほど遠い状態→問題は短期間では終わらない(金融機関の安全性確保では終わらない)、90年代の日本の不良債権は不動産と金融に限定された問題だった(闇勢力と金融機関の掩蔽工作が長期化の原因であり死体処理)、今回の問題は金融機関が淘汰されても巨額の投機資金は存在し続けている←日本の場合と大きな相違、黒字国が黒字を還流させたためアメリカは赤字をファイナンスできドルは減価しなかった、一般個人投資家が投機取引に乗り出しその成功が取り上げられるのはバブルがかなり進行した証拠、日本の産業と企業の構造は金融緩和と円安によって旧体制が維持され古いタイプの企業が収益増大により株価が上昇したもの、投機がピークに達したことを市場が急激に認識し市場流動性が一挙に枯渇し突然バブルが崩壊する時点をミンスキーモーメントと言う、英国は07年第二四半期に対米投資から商品に投資戦略を大転換した→ドルの減価と金・原油の上昇をもたらす、円高は日本の生産性が評価されたのではなく対外投資資金が戻されただけ、これまで投資してきたドル建て資産の1/4は円高によって失われた、物を作りアメリカに売って手に入れた資産をアメリカに安い金利で貸し(米国債で運用)円高により実質踏み倒された、知恵がある者に対抗するにはこちらも知恵をもつ必要(いくら生産現場が強くても財務部門も強くないと工場で稼いだ金を知らない間に取られてしまう)、ガソリンなど商品価格は異常だった高騰が2年半前の水準に戻っただけで中期的にみればまだ高い水準→ドル信認が揺らいできた証拠、商品価格の上昇は実需要因と投機的要因を明らかにする必要がある、新興国の世界経済に与える影響が「供給の増加」→「需要の増加」にシフト(世界経済の大きな転換点)、商品価格は新興国の所得向上に伴い需要が増えるため上昇圧力が加わる、金の価値を基準と考えれば生じたのは「ドルの減価」であり原油・農産物もそれ自体の価格はさして上昇していない、一次産品の価格上昇に対しては「円高」が必要←要金利引き上げ、マネーゲームだけでは食料価格は高騰しない→高騰の基本的原因は実需の増加、日本の食料自給率の低さは「カロリーベース」の指標を用いることにより不当に臓増幅されている側面あり、原油の必要性を考慮すると日本経済はそのものが海外に依存しなければ存立しえない構造になっており自給率云々は意味がない、食料自体は増産が可能な物であり全世界的な絶対量の不足の問題ではなく分配の問題→貧困国には深刻、日本の立場から言えば価格が高くなっても買い続けられるよう所得水準を維持することが肝要→中途半端な農業ではなく比較優位を持つ産業に特化すべき、食費支出を削減するのに効果的で確実なのは米の輸入関税撤廃(日本は米価が以上に高い)、食糧問題を考える場合には投機よりも実需増加の影響を考慮することが重要、経済原則を無視して自給に拘れば日本は貧しくなり本当に買い負けすることになる、食糧問題とは「食料が絶対的に不足して手に入らなくなること」ではなく「高くなった食料を買うことができるか」という問題、国際的な食料価格上昇に対して日本で必要なのは輸入規制を緩和撤廃すること(国内生産者を守るだけで国民のためになっていない)、食料の安定供給を確保する確実な方法は自給率を上げることではなく供給源を全世界に分散させること、経済危機の原因がアメリカ経常収支赤字の膨張にある以上それが持続可能なレベルまで縮小しない限り解決せず混乱は収まらない、中長期的に見てより大きな問題を抱えているのはアメリカより日本(制御不可能な事態に直面する可能性)、アメリカの赤字縮小のしわ寄せは日本と中国に集中する→△5%成長もありうる、株価はサプライズにより変動するがサプライズは予測不能なものなので将来の株価は予想できるはずがない、ファンダメンタルズとの比較によりバブルが価格をどの程度歪めたかについてある程度見当がつく→価格がどこまで落ちるか評価できる、労働者が賃金のみで購入できる住宅価格は年収の5倍程度、想定レートを超える円高が生じれば利益は現時点の予想より減少し株価も下がる→将来の株価を考えるには為替の動向が極めて重要、中国・インドは経済成長率は10%程度だが株価は70%以上上昇している→高過ぎる伸びと言える(成長率で説明できる水準が正常)、円は1ドル60円程度が合理的説明のつく水準(ビッグマック指数でも80円)→円の過小評価、今後異常な円安による濡れ手に粟的利益は減少する、不動産は不動産収益率と金利水準の格差が価格を押し上げたと言える(本来はもっと高くあるべき長期金利が人為的に抑えられていた)、不動産の収益率が長期金利より高い場合の「イールドギャップ」が東京では2%程度の水準で世界最高水準だった、不動産価格は長期的に下落するのは不可避、原油・食料の一次産品は価格レベルを模索している段階でありその過程ではオーバーシュートもあり得る、世界的な資金の流れは存在し続けるためその仲介役が必要(中東産油国の存在)→英の金融的仲介活動は不可欠、アメリカ全体がマクロ指標で落ち込んでも一部のハイテク企業は成長している、株価のPER・PBRの計算に用いられる数値は過去のものという点に注意が必要、インフレ基調だった成長期の日本では借入をして不動産を購入するのは最適な資産運用法だった→長期的に不動産は値下がりするので今後は最適とは言えない、成長国の株式への投資は原理的には成長の果実を享受可能だがこれまで株価がバブルで膨張していたので今は注意が必要、外国株式投資は為替リスクが伴うのでより広い分散投資が必要、FXは円キャリー取引の一種と言える、事態が落ち着くまでは定期で運用して待ち落ち着いてから成長国・セクターへ分散投資するのがよい、円高こそが経済成長の利益を日本人が享受するための自然な方法←円高とは日本人の労働価値が高く評価されること、円安では労働価値が下がり生活水準の切り下げが必要とされる、円高による貧しさは実感しにくくわかりにくいため為替を歪める経済政策を施しやすい、自動車・電機など輸出産業が日本の中核産業であり円安を望むバイアスを持っている、日本人は自国通貨のアプリシエイション(通貨が増価する)をアプリシエイト(感謝)しない珍しい国民、金融緩和・円安政策を進めようとする勢力を抑え方針転換させられるだけの声があがるかどうかが将来を決める、改革実現のための経営大転換には外国資本による買収が必要、海外からの直接投資はGDPの2・2%(英は36・6%)、日本の農業は国際競争を拒否し衰退産業となった、製造業は農業と違い明示的な補助金は受けていないが円安という補助金を受けているので一緒、日本にとって問題なのは豊富なキャッシュを生かすビジネスモデルをもっていないこと、対外経常赤字を一時的なものと考えず長期的・構造的なものと捉えるべき(輸出立国は不可能となる)、モノの輸出ではなくカネの運用によって国を支えられる時代ではファイナンスの手法を活用して対外資産の収益率を高めることが重要、日本が英と同じような資産運用ができればGDPを1%ほど高めたのと同じ効果が期待できる、高度な金融専門家の養成が必要だが気が遠くなるような努力が必要、今回の危機はファイナンス理論が使われたためではなく使われなかったために起こった、日本経済が今回の危機を乗り切るには為替が60円になっても収益が上がる産業構造をつくり資本面で国際的に開かれた国とすることが必要、起業のための客観的な条件はクラウドコンピューティングによって有利に展開している→起業家にとっていまはチャンスの到来

  • 21/5/23 75

  • 金融危機がどのようにして起こったのかということとそれに対して日本がどのようにお金を供給するという形で加担していたかをわかりやすく解説しています。

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