[新版]グロービスMBAファイナンス

  • ダイヤモンド社
3.69
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478008768

感想・レビュー・書評

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  • ★ケースを使って説明されていてわかりやすい。楽しい。定量的分析と定性的分析の両面から解説されており、背景も学べる。

  • ファイナンスの本。さすがグロービス。

    〈メモ〉
    ・リストラを実施すると売上が減り、会計上の利益も減る。しかしキャッシュフローは増加する。赤字によって、損金となり税金を減らすことができる。節税効果。税金はキャッシュの支払いなので税金は減る。利益を考えるとリストラはマイナスだが、キャッシュフローからはプラスになる。
    ・NPVに対して、節税効果の分価値を付加した概念がAPV
     事業の経済的価値=FCFの価値+節税効果の価値 で表現される。
    ・WACCが有効なケース。会社の本業のプロジェクト→会社のWACCを使う。会社の本業とは異なる事業領域の新規プロジェクト→プロジェクトの属する業界のWACCを使う・APV法が有効なケース。会社の資本構成が大きく変化する場合→企業買収、リストラ、会社の本業だが、社運をかけるような巨大プロジェクト。ゼロから独立したプロジェクトを始める場合→起業。
    ・EVAの現在価値の総和がNPV。EVAを上げるためには、1売掛金の回収サイトの短縮2在庫の削減3余剰資金の有効活用 4EVAマイナス事業からの撤退 5EVAプラス事業のM&A
    ・EVAを活用しにくい局面。固定資産のウエイトが高い事業は 流動資産のウエイトが小さくなり、投下資本にかかる資本コストを大きく削減することは難しくなる。流動資産のウエイトの高い事業では流動資産のコントロールがEVAの結果に強く反映されることになるのでEVAを使いやすい。
    ・企業価値は資産の市場価値であり、負債と株主資本の市場価値に等しい。
    ・経営の多角化について。投資家は自らポートフォリオを変更できるため、事業を多角化して収益が安定しても資本コストが下がり、企業価値が向上することはない。
    ・負債が増加した時のコスト
    1倒産コスト 売上から得られる営業キャッシュフローは変動するが、負債の金利と元本返済は必須であるため
    2エージェンシーコスト 債権者と株主の利害が衝突することによって発生するコスト。負債が増えると債権者が回収の安全性を優先して、起業価値を増やす投資機会に難色を示すことがある。
    3財務的柔軟性の喪失 借り入れ余力と手持ち資金で予測できない事態に対応できるが、絶好の事業機会が突然おとづれても資金に余裕がないと投資できなくなってしまう。
    一程度までは節税効果により企業価値は上昇するが、ある段階からコストが上昇して企業価値が減少するようになる。
    ・価値の源泉が取引しやすいものは隔日制が高いので借り入れを活用しやすい。貸しビル事業の源泉はビルという有形資産、石油金属なども同様。食品事業はブランドという無形資産。価値の源泉の取引がしやすい事業は負債を積極的に活用することが可能で資本構成に於ける負債比率を高くすることができる。これとは逆に開発力、ノウハウ、アイデアなど価値の源泉が目に見えないものは取引が難しい。ハイテク事業、製薬事業、ソフトウェア事業などがこれに該当する。不確実性が高く株主資本が活用されることになる。
    ・株主に報いるにはNPVがプラスのプロジェクトを行うこと、借入を行うこと、節税効果で企業価値が増加し、株主の経済価値が向上することになる。
    ・利益還元策は利益の分、企業価値を下げるため価値中立的である。企業が成熟期に至ると営業キャッシュフローが潤沢になる一方魅力的な投資機会は減ってくる。そのため配当や自社株買いを行うことが適切となる。
    ・リアルオプション 事業への投資プロジェクトはオプションとして捉えることができる。事業の経済的価値の評価にオプションの考え方を適用することをリアルオプションと呼んでいる。走りながら市場の状況を見極め、オプション(戦略的な打ち手)を駆使する。ある時点においてダメと判断したら撤退し、行けると判断したら追加投資を払って勝負に出る。リターンの経済的価値が投資金額よりも大きければ投資する。
    ・市場が魅力的で、競合の脅威はコントロールでき、自社がKSFをモノにしていることがわかればGOできる。
    市場規模の見通しはどうか、ターゲットセグメントは明確か、顧客は具体的に決まっているか、リーディング企業が自社顧客になるか、競合各社の戦い方はどうなっているか、KSFは何か、モノにできているか、競争優位の相対的ポジションと目標シェアに整合性があるか。
    ・競合他社よりも戦略のオプションを用意できているか、
    リアルオプションが示唆するオプションとしては次のようなものがあげられる
    延期のオプション 
    拡張のオプション
    切り替えのオプション
    撤退のオプション
    選択のオプション

  • 23/5/7
    入門書として良書。

  • 約20年前に初版を読んでいるが、改めて新版を読んでみた。節税効果等の記載が充実し、コーポレートファイナンスのテキストとしてはより充実したものになっている。ファイナンスを基礎から学ぼうという人にはオススメの一冊になった。

  • コーポレートファイナンスの入門書。基本的な理論はもちろんのこと、数値例があり、理解しやすい。

  • 難しい数式もあったが、それを飛ばしたとしても、理解できる内容であった。お金の流れから会社を考えるという新しい視点を持てた。

  •  

  • ファイナンス関連の基礎知識が網羅されており、かつ架空ビジネスの実例を踏まえて考察されており、分かりやすい。内容は広く浅いため、バリュエーションの実践等には、他の専門書で理解を深める必要がある。

    【メモ】
    ・ファイナンス理論をどのように経営判断に活かすか?
    >ビジネスの分析において、定性分析「経営戦略論」定量分析「ファイナンス理論」
    >企業経営とはキャッシュの流れ。キャッシュインプット(投資)、アウトプット(リターン)投資の意思決定、財務の意思決定
    >「経営におけるもっとも重要な指標は何か」ジャック・ウェルチ
    (1)顧客満足
    (2)従業員満足
    (3)キャッシュフロー

    ・M&A、証券分析以外はどこでファイナンス理論を用いるか?
    >プロジェクト可否判断、最適調達構造、資本構成、連結ベース経営判断、リストラやスピード経営、配当や自社株買い判断

    ・ファイナンス理論を活用した実例はどのようなものがあるか?
    >ロッキード社、洞爺湖ホテル、バブル時の東京地価はファイナンス感覚の欠如による失敗
    >利益の極大化を目的関数とした経営は、スロー経営に陥りやすい。一方、米国ではCF極大化を重視したスピード経営・リストラが断行される

    ・ユニークリスク(アンシステマティックリスク)はポートフォリオで回避できる

    ・βの推定期間は任意。実務上は2~5年が採用される。リターン間隔(日次・週次・月次)も同様。実務家はBloomberg 2年 週次データをベースにβを推計している。

    ・CAPMの代替モデルとしてのスリーファクター・モデル(FFモデル)(1)β、(2)規模、(3)簿価/時価比率

    ・個別プロジェクトのファイナンシングは、Debt 100%としても全社資本構成に基づくWACC計算が原則

    ・残存価値はEBITDAマルチプルで計算できる。ファイナンス業界ではEBITDA倍率、事業会社では売上倍率が好まれる。M&AファンドではEBITDAに次いでDCFが用いられる

    ・資本構成が著しく変化する場合はAPVを用いてTS(Tax Shield)を考慮する

    ・EVA導入で成果を出している企業が多い。具体的には(1)売掛金の回収サイト短縮(2)在庫削減(3)余剰資金の有効活用(4)EVAマイナス事業の撤退(5)EVAプラス事業のM&A
    ただ、固定資産ウェイトが高い場合は業績管理しようとして機能しにくい
    ※EVA = 税引き後営業利益ー資本コスト×投下資本額

    ・M&Aによりイナーシャ(現状安住)の打破により不採算事業から撤退できる

    ・ハイテク企業の適正価格は分かりずらいため、事業価値の源泉が有形資産やブランドにある企業や、ローテクでCFの安定している企業がM&A対象になりやすい

    ・企業価値を高められる経営陣は、M&Aを恐れる形だけの買収防衛策に勝る

    ・MM理論:企業価値はB/Sの左側で決まるのであって、資本構成に依らない。配当や自社株買いは企業価値に対して価値中立的である。

    ・プロジェクト判断は静態的にNPVで判断できるが、実際のビジネスにおいては不確実性を考慮してリアルオプション価値を踏まえた経営判断が求められる

    ・債権者は債務者に対して貸付と同時に有限責任の破産に対するプットオプション売りを行っていることになる。

  • ファイナンス理論によれば、どんな事業も収益的には収束するし、新規事業を作り続けないと企業として死ぬ。

  • ビジネススクール受講に先立った予習としてざっと読みました。
    事業の経済的価値をどう評価するか?を論点にNPV等の様々な手法の解説があります。
    周りにファイナンスの理論を使う人が少ない環境なので実務でどのように活用するかが課題と感じます。

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著者プロフィール

ビジネスの創造や社会の変革に挑戦する高い志を持ったリーダー輩出のために尽力。2022年2月時点で在校生・卒業生の累計は約1万人に達し、日本最大のビジネススクールへと成長しています。その他、関連事業として、 グロービス・コーポレイト・エデュケーション、グロービス出版、GLOBIS 学び放題、グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャー・キャピタル事業、 GLOBIS知見録、出版/電子出版事業 一般社団法人G1、一般財団法人KIBOWがある。

「2023年 『読めば3年後の未来に先回りができる 入社1年目からの「働き方」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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